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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
目指せ、Level.50![ 上 ]
31/77

【14】

 ゲーブングの冒険者ギルドにいるヴァリエートに話しを聞きいた俺たちは今、ライオネットワイバーンがいると言われているレーベ平原が赴いていた。

 騎竜に乗る事が出来れば、もっと早く着く事が出来たかも知れないのだが、流石に四人は無理だった。

 なので……ゲーブングで新たに騎馬を二頭借りて向かう事にしたのである。



 ゲーブングを南東にひたすら進む事、五日……

 ようやくレーベ平原に辿り着く事が出来た。


「ここか……?」


 レーベ平原は草木は豊富にお生い茂り、花も綺麗に咲いており自然に恵まれていた。

 ここから、更に西に進むと大きな高台のような岩山があり、そこにライオネットワイバーンは巣を守っているとの事だ。


「行くでちゅ!」


 なんだろう? ウォルガフの様子がいつもと違うような気がする。

 余裕がないというのだろうか?

 でも、なぜ余裕がないんだ??

 平原に入る前にお弁当広げて、ウォルガフのお腹は満たされているはずなのに……


「ウォルガフ、大丈夫か?」

「大丈夫でちゅよ」


 いつもの変わらぬウォルガフの口調ではあったし、大丈夫と言う事から俺は気のせいだろうと思う事にした。




 岩山を目指して西に進み始める事、二日……

 今だに岩山は見えなかった。

 その間、戦闘も幾度となく行わられたおかげで、グゥとの連携についていい練習が出来た。

 だが、一方問題もあった。


 やはり、あの時俺がウォルガフの様子についてもっと深く考えておくべきだった……

 と今更ながら後悔していた。


 独断専行というのだろうか?

 俺と二人っきりの時は、俺が戦力ならない以上ウォルガフが倒すのは当然の事だ。

 それでも、俺のLevelに合わせた魔物が出て来た時は、自ら倒さずに俺に倒させてくれていた。

 そして、なにより今はロジェがいる。

 ロジェと合流してからウォルガフは、ロジェと協力(・・)して魔物を倒していた。

 なのに……

 今は、ロジェとの連携など考えずに自分一人で全ての魔物を倒している。


 こんな事でいいのだろうか?

 歴戦のガルシアたさんたちを殺したと言う、ライオネットワイバーンを本当にこのままで倒せるのだろうか……?


「さっ次、いきまちゅよ!」


 それにウォルガフは、レーベ平原に入ってから口数が減った。

 早く着きたいかのように、休憩も要求しないし、おやつも要求してこない……


 どう考えてもおかしいだろ!!


「ウォルガフ、ちょっと休憩しようよ」

 ロジェやグゥは歩き疲れていた。俺も疲れていたけどね……

「何言っているんでちゅか? レーベ平原に入ってから二日経ったのに、まだ岩山の影も形もないんでちゅよ? ゆっくり休憩している暇はありまちぇん」

「ウォルガフ君……」

 ロジェもグゥもウォルガフが、何かおかしいと勘付いているようだ。

「確かに走りっぱなしで、馬も疲れている頃だし少し休憩しようか」

「リュウイたん!」

「ウォルガフ、休憩だよ」


 俺の言葉にウォルガフは、かなり渋々だったが『じゃ少しだけ』と言う事で納得してくれた。

 小さな岩の上にウォルガフだけ座り込み、俺とロジェ、グゥは木の下にある木陰へと休憩する事にした。

「ウォルガフ君は、なんかイライラしていないかしら?」

「グゥさんも思います? 実は俺もそう思うんですよね」

 ロジェは飲み物を一気飲みしてから、フゥ〜と一息ついた後に俺の顔を見てきた。

「リュウイさんは、なぜウォルガフがイライラしているのかわかっていると思うよ?」

「俺が?」

「うん」

 そう言いながらも、ロジェはお弁当の手を休める事はなかった。

「そして、ウォルガフを元に戻せるのはリュウイさんだけだね」

「……」


 食べながら、言われても説得力ないよなぁ〜


「俺よりロジェの方がいいんじゃないの?」

「俺が言っちゃうと、喧嘩になっちゃうからね。心を開いているリュウイさんが適任かな」

 ロジェは食べ終えた串で、行け行け……と合図を送りそれ以降何も語らず、黙々とお弁当を食べているのであった。


 ……俺が言ってどうにかなるものなのかな〜


 立ち上がりウォルガフの元へと近づいて行く……

 ウォルガフはどこか寂しそうに、遠くの方を見つめていた。

「休憩は終わりでちゅか?」

 ウォルガフは俺が来た事に気づいたんだろう。先に声をかけてきた。

「いや、まだお弁当タイム中だよ……」

 ウォルガフの隣に座るように俺も腰掛けた。

「そうでちゅか……」


「なぁウォルガフ……」

「なんでちゅか?」

「何をそんなに焦っているんだ?」

「別に焦ってなんかいまちぇんよ」

「焦っているよ」

「別に……でちゅ」

「ウォルガフ……」

「焦ってなんかいまちぇんよ!!!」

「じゃなんでそんなにイライラしているんだよっ!!」

「リュウイたんには、関係ないでちゅ!!」

「ああっ!! そうかい!! じゃ、勝手に……」


 しやがれっ!!


 と言葉を続けようと思ったが、踏みとどまった。

 俺は別にウォルガフと喧嘩をしにきたわけじゃない……

 ただ……

 今のウォルガフを見たくないだけだ……


 ふぅ〜と一呼吸。

 自分の気持ちを落ち着かせ、再びウォルガフに話しかける。

「アップルパイ、食べるか?」

「……いらないでちゅ」

 プイッとされてしまった。

「わかった。じゃウォルガフの分はロジェにあげる事にするよ」

 そう言って俺は岩から飛び降り、ロジェのいる方へと歩き出そうとすると、服の裾が引っ張られているような感覚がした。

「食べるのか?」

 ウォルガフは、黙ったまま頷いていた。


 アップルパイの効果は絶大だな……


 いつもなら、一気に食べ尽くすアップルパイをウォルガフは、少しずつ食べ始めていた。

「なぁ、ウォルガフ。お前は何の為に、ここにいるんだ?」

「何の為にって、ライオネットワイバーンを倒ちゅ為でちゅよ」

「それはさっ、いつものウォルガフの気持ちの元で言っている?」

「……ぼくの気持ち? でちゅか?」

「あぁ、ウォルガフ。お前は今、どんな気持ちなんだ……?」

「……」


 図星だったらしい。

 いつもウォルガフは、戦闘を楽しんでいる。

 楽しんでいると言ってしまえば、聞こえは悪いかもしれないけど……

 ウォルガフは戦闘中になると……

 そう生き生きとしているんだ。

 それは、この短い間の期間だったが、ウォルガフの背中を見てきたからよくわかる。


 でも、それが今はない……


 今のウォルガフの背中は、ガルシアたちの仇打ち……

 別に俺は、仇打ちが悪いとは言うつもりはない。

 俺の知らないウォルガフとガルシアたちの仲があったんだ。

 そう思うのは当然だ。


 それでも俺は………

 ウォルガフには、生き生きとしていて欲しい。

 確かにウォルガフは我儘だけど、それを許したくないけど結局最後には俺は許している。


 だから、上手く言えないんだけど……

 今のウォルガフは、はっきり言って俺は見ていたくない……

 うん、そう見たくないんだ。


 仇打ちに囚われているウォルガフは、ウォルガフらしくない!!


「ガルシアさんはなぜ、グゥさんだけを逃がしたのかな?」

「それはっ、きっと……ぼくに……」

「そうだね。ガルシアさんたちに何かあれば、ウォルガフが動くって事ガルシアさんにはわかっていたんだろうね」

「……」

「でも、ガルシアさん仇打ちして欲しいとは、俺には思えないんだよね?」

「……」

「逆に『俺たちの倒せなかった敵を倒すとは流石ウォルガフだっ!!』って、褒めてくれるような気がするんだけど……」

「褒める……でちゅか?」

「まぁ、俺もガルシアさんとそんなに話したわけでもないし、自信はないんだけど……俺がガルシアさんと同じ立場だったらそう思うかな? って……」

「……ぼくは、どうちゅれば?」

「ウォルガフは、ウォルガフらしくやればいいと思うよ」

「ぼくらちぃく?」

「楽しめ、ウォルガフ!!」


 ガルシアなら、そう言うかな?

 と言う事を俺は伝えた……

 果たしてうまく伝わったかな……?

 今まで人を慰める事なんてした事なかったしな……難しいものだ。


 でもダメなんだ……

 自分勝手な思いかもしれないけど、俺はやっぱりウォルガフにいつも笑っていて欲しい!!



 言いたい事を言い終えた俺は、ウォルガフの肩にポンっと手を置き、

「ロジェに全部食べられてしまう前にウォルガフも来いよ」

「うん……でちゅ」

 まだ少し吹っ切れていないような気もするが、多分大丈夫だろう……


 ウォルガフをその場に残し俺は、心配な眼差しを送っているロジェとグゥの元へと戻ったのである。

「リュウイさん、どうだったの?」

「ん〜」

 グゥの質問に俺は軽く頭を掻いた。

 実際、上手く行ったのかわからないから……

「多分、俺の気持ちはウォルガフに伝わったかな? とは思いますけど……」

「フッ……」

 ロジェは鼻で笑い、デザートに手をつけ始めている。


 何が面白いんだよ……


「大丈夫だよ、リュウイさん。ちゃんとウォルガフに伝わっているよ」


 だといいんだけどね……


「リュウイたん!!」

 俺も腹ごなし……と座り込み箸を持った途端ウォルガフは、大声の俺の名を呼び出した。


 岩の上に仁王立ちしながら、片方の手は腰に当て。

 もう片方の手は俺を指差していた。


「ぼくはっ!! 難ちぃ事はサッパリ(ちゃぱり)わかりまちぇん!!」

「……」


 威張って言う事かよ……


「今の話ちぃも、半分はわかりまちぇんでちぃた!!」

「……!?」


 マジかよ……かなり、わかりやすく言ったつもりだったんたけど。


「だから、ぼくは考えるのはもう辞めまちぃた!!

 難ちぃ話ちぃは、全て(ちゅべぇて)リュウイたんに任ちぇまちゅ!

 そして、ぼくは楽ちぃむ事にちぃまちぃた!!」

「……」

「それでいいんでちゅよね?」

「……」

「返事は!?」

「あっあぁ……いいよ。それで……」

「ぶちゅっ!」


 一人で納得出来たのか、ウォルガフは実に満足そうだった。

 俺も思わず返事をしてしまったが……

 んっ? 本当にいいのか? それでっ!?


 そう言い終えると、ウォルガフは岩から飛び降りダダダッと俺たちの側へと走ってきたのだ。

「ロジェたん、ぼくの分残ちぃて置いて下ちゃいよね!」

「そんなの知らないねぇ〜」

「うちゅ〜!!」


「リュウイたん、ぼくのご飯〜」

「んっ? あぁ……」

 アイテムボックスからお弁当を取り出しウォルガフに渡すと、耳元でウォルガフは俺に呟いてきた。


「ありがとう、リュウイたん」

 と……


 本当にウォルガフが、吹っ切れたのか俺にはわからない。

 今は気にしないようにしているかもしれないが、実際ライオネットワイバーンに会った時どうなるかなんて、誰にもわからない事だ。

 もし、ウォルガフが暴走したら今度はロジェに任せよう。

「嫌だよ……」

 小さく俺にだけ聞こえるように、ロジェは返事してきた。


 ありがとう。とウォルガフは言ってきたのだ。

 今はその言葉を信じよう……

 と、俺はそう思ったのである。




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



 ライオネットワイバーンの巣を目指してひたすら西に進む事、三日目の昼下がり……

 漸く大きな高台の岩山が見えてきた。

「あれかな?」

「きっとそうでちゅね」

 俺の疑問にウォルガフは冷静に答えてくれた。


 仁王立ち以来、ウォルガフは独断専行の戦闘はなくなり周りにも気を使うようになった。

 ウォルガフの後ろ姿を見ていても、生き生きとしているのが良く分かる。

 それは、本来のウォルガフの姿だと俺は思う。


 取り敢えず一安心かな……


「それで、この岩山どうやって登るの?」

 グゥは高い岩山も見上げながらそう呟いていた。


 岩山は高さ100m程、外周するのに30分程かかる大きな岩山だ。

 周りには上に登るような道もなく、岩山には自力で登れるような取っ手など一つもなかった。

「ぼくがジャンプちぃまちゅ!」

「へっ?」

 ウォルガフの突拍子もない提案に、誰もが反対した。

 例え、ウォルガフがジャンプで頂上まで辿り着き、そこから紐を下げてもらい登ったとしてもその間にライオネットワイバーンの襲撃がないとは言い切れない。

 危険を犯さずに、頂上に登る方法を考えないと……


 大抵、こう言う登れない場所には通じる洞窟があるはずなんだけど……


 そう思いながら辺りを見渡してみるが、壮大な草原しかなかった……


「リュウイさん」

 考え込んでいる俺にロジェは声をかけてきたのだ。

「んっ?」

「騎竜を呼ぼう。そして、騎竜に乗ってあそこ(頂上)まで行こう」

「いや、でも……」


 騎竜は、俺たち四人は乗せてはくれなかった。

 だから、俺たちは時間はかかるが徒歩よりはマシな騎馬で来たんだ。


「無理矢理頼み込むんでちゅね?」

「うん。四人乗せてずっと飛んでくれと言っているわけではないんだ。あそこ(頂上)まで運んでもらうだけだから、きっと大丈夫だよ」

 確かにロジェの言う通りかもしれない。

 ダメだったら他の方法を考えればいいだろう。

「……わかった。やってみよう」


 オカリナを取り出し、音の出ない音が鳴り響く……

 少し待つと騎竜は、バサッバサッと優雅に降り立った。


 やっぱこいつ(騎竜)カッコいいよな……


 騎竜の頭や背中を撫でながら、俺は『岩山の山頂まで俺たち四人を運ぶように』と念じ始めた。

 すると騎竜は、座り込みまるで『乗れ』と言っているかのように見えた。

「ありがとう……」


 早速俺たちは乗り込む。

 騎竜は重たそうに身体を起こし、翼を羽ばたかせ始める。

 俺たちを乗せた騎竜は、ゆっくりと上昇を初めて行く……


 たまにガクンッと下がる事があったが、それでも騎竜は俺の命令を遂行しようとしていてくれていた。

「頑張れっ騎竜!!」

 俺の掛け声……

「騎竜さん、頑張って!」

 グゥの応援。

「頑張って下ちゃい!」

 更にウォルガフも続いている。

「……もう少しだ」

 冷静なロジェ……


 俺たちの応援に騎竜は答えてくれた。

 岩山よりもほんの少しだけ高く飛んでくれた騎竜は、端の方にいるライオネットワイバーンを視認する事が出来た。


 ドラゴンの頭に、蛇のような身体。そして、コウモリのような翼。

 鷲のような二本の脚に、尾の先端は尖っていた。

 ここまでは普通のワイバーンだ。


 ライオネットワイバーンと言われる由縁はその色だと思う……

 蛇のくせに黄金に光り輝く硬そうな鱗に被われていた。

 そして、俺の知っているワイバーンよりも、三倍以上大きかった。


 こいつが、ガルシアたちを殺したライオネットワイバーン!!



『ライオネットワイバーン』Level.450


 Levelが高い事は分かり切っていた。

 それでも、もう俺たちには引き返せない。

 ウォルガフを先頭に俺たちは、ライオネットワイバーンと直面し戦闘体制に入ったのである。






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