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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
目指せ、Level.50![ 上 ]
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【09】

 騎竜と呼ばれる竜は、前半身が鷲、後半身が馬。

 そして特徴的な大きく綺麗な翼を持っており強いていうのなら、それはまるでグリフォンのようだった。


 ん? そもそもグリフォンは、竜なのか??


「かっこいい竜でちゅね!!」

「そうだろ! そうだろ!!」


 ふむ……この世界では、竜らしい……


「さて、兄ちゃん。どうする?」

「……」


 竜にしろ、竜じゃないにしろ……

 取り敢えず目の前にいる騎竜もとい、グリフォンはカッコいい!!


 という訳で……

「借ります!」

「毎度あり〜」


 俺は取り敢えず、一ヶ月分銀貨30枚店員さんに渡したのである。

 お金を支払った俺に店員さんは、木で出来た穴の空いたオカリナみたいな形をした物を渡してきた。

 これはグリフォンを呼ぶ呼笛との事だ。

 オカリナには一ヶ月分と書かれており、一ヶ月経てば勝手に消えるという騎竜専用アイテムである。

 そして、オカリナが消える前に戻ってくる事が出来れば、差額分返金すると店員さん教えてくれた。


「っとまぁ基本的な乗り方はこんな感じかな。まぁすぐ慣れるさ」

「わかりました」


 大人しく待機している騎竜に乗り、ウォルガフは俺の前に乗ってもらった。


 ……親子だな……まぁいい。


「気おつけてなぁ〜」

「はい!」

 手綱を握りしめ、『飛べ』と念じると騎竜は翼を羽ばたかせ、一気に空高く舞い上がったのだ。


 こうして俺とウォルガフは、グゥがいると街……ゲーブングに向けて出発したのであった。




 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



 あっという間にムーンフェイズは影も形もなくなって行く。

 騎竜の乗り心地は、とても良かった。全く疲れないのだ。

 更に、俺の前に座っているウォルガフは、もう大はしゃぎである。


「リュウイたん! (ちゅご)い! (ちゅご)ぉぉぉぉぉぉいでちゅ!!」


 両手を挙げながらはしゃぐから、風に吹かれて落ちてしまうのではないかと思ってしまう。

 身体三歳児だからね……


 でも確かにこれはいいっ!!

 マイホームが出来た暁には、君、我が家に来ない?


 と思ってしまうぐらいだ。

 購入となると、物凄く高額になりそうだから今は深く考えないでおこう。


「あっ!? なんでちょう? あれは?」

「んっ?」


 上空を飛ぶ事30分……

 ウォルガフは、大地を指差していた。

 指差す方向に目を向けると、確かに黒い豆粒みたいなのが動いていた。


 俺は騎竜に『ゆっくりと降りろ』と念じ、少しずつ高度を落として行く事にした。


 黒い豆粒は次第に形となって行く……

 ゴブリン五匹ぐらいと誰かが戦っているようにも見えた。

「戦闘かな?」

「そうみたいでちゅね」

 更に騎竜は高度を下げてくれた。


「よいちょっと……」

「ウォルガフ? なにを?」

「決まってまちゅ、助太刀でちゅ!」

「えっえぇぇぇっ!?」


 騎竜から大地まで約100mぐらいある高さからウォルガフは、そう言って俺の制止を無視してピョンっ! と飛び降りたのである。




「とぉぉぉぉぉっ!!」

 掛け声をあげなからウォルガフは、元気良くゴブリンを一匹真っ二つに切り裂いたのだ。

「助太刀ちまちゅ!!」

「……ってお前……」

「ふにゅ? ……あっ!!」


 俺にはウォルガフみたいな芸当、とてもではないけど出来ません!!

 約100mの高さは、超高層ビルに例えると34階建てぐらいだろう……

 そんな所からなんの躊躇もなく普通飛び降りんだろう!?

 あれは、身軽だからこそ出来るんだよ!

 いや、身軽でも普通はやらないぞ?

 ウォルガフだからこそ、出来る芸当だよな……


 などと思いながら、騎竜は大地に足を降ろしたのである。


「ウォルガフ、大丈夫か?」

「大丈夫でちゅよ!」

 俺が着いた頃にはもう既に戦闘は終わっていた。

 可哀想だが、瞬殺だった……


「リュウイさん?」

 不思議うな顔をしながら俺を呼ぶのは、朝別れたばかりのロジェだった……

「ロジェ!?」

「騎竜に乗って、竜の巣でも破壊しに行くの?」

「ちがーーーうっ!!」


 ったく……君たちはどうしてそうなる?


「じゃどこに行くの?」

「うんとねぇ〜うんとねぇ〜グゥたんの所に向かっているの」

「へぇ〜」


 知っているの!?


「グゥたんって誰?」


 がくりっ……


 ロジェは思わせぶりな口調が好きだな……天然なんだろうか……


「ロジェたんも一緒に行こうよ!」

「……」


 また勝手に決めるし……


 ロジェは俺の方を向きながら頭を下げ出した。

「よろしくお願いします」

 との事だ……


「まず、状況を説明するね……」

「そんな面倒ちぃ事しなくても大丈夫でちゅよ。ねっ!!」


 いやいや、そうはいかないだろ!?


「説明お願いします」

「ぶぅ〜」

 半分膨れながらもウォルガフは、俺がロジェに説明が終わるのを大人しく待っていてくれた。




「なるほど、ライオネットワイバーン討伐、僕も是非参加させて下さい!」


 絶対そうなると思ったよぉ〜

 ウォルガフと同様、ロジェも戦いに関しては凄く意欲的だ……

 普段とのギャップがありすぎだよなぁ〜

 でも、確かにライオネットワイバーンと戦闘になった時、攻撃職が2人いた方が戦力的にはかなり楽だよな……

 それに、ここで再会を果たしてそのまま別れるってのも、なんか嫌だしな……


「じゃロジェよろしくね」

「はい」

 こうして二人旅だったのが、三人旅になってしまったのだ。


 騎竜の乗り方に俺は悩んだ……

 ウォルガフとロジェを俺の前の方に座ってもらうと絶対二人は、はしゃぎすぎる。

 もしかしたら騎竜の機嫌を損ねて振り落とされるかもしれない……

 前にロジェ、後ろにウォルガフ。そして真ん中に俺……

 後ろでウォルガフが有頂天になって手を離した瞬間、ウォルガフは風になるな……


 悩んだ末に俺は前にウォルガフ。真ん中に俺、後ろにロジェとした。

 ロジェには、俺の身体を絶対に離さない事と何度も念を押しておいた。

 年齢的にはウォルガフの方が年上なんだろうけど、俺はロジェの方がウォルガフより大人だと思えるのだ。

 こんな事ウォルガフには言えないけどね……


 案の定ウォルガフは膨れていた。

「ぶー」

「何怒っているんだ?」

「なんでぼくは前でロジェたんは、(うちぃ)ろなんでちゅか?」

「それは……まぁ、何というか……」

「ぼく(うちぃ)ろがいいでちゅ……」


 言うと思った……


「ロジェには、飛ばされないようにしっかりと俺を掴んでいてもらいたいんだ」

「ぼくだって、リュウイたんを掴んでいる事ぐらい出来まちゅよ?」

「いや、ウォルガフにはもっと別な任務があるんだ!」

「任務でちゅか?」

「うんうん」

 ウォルガフの膨れが顔は次第に明るくなり任務何々? と言う好奇心へと変わって行った。

「さっきウォルガフは、ロジェを見つける事が出来た!」

「ふみゅ?」

「俺には全くロジェを見つける事が出来なかった! でも、ウォルガフはロジェを見つけ出してくれた。

 だから、ウォルガフには前方を注意していてほしいんだ!」

「……」

「そして、何か異変があったら直ちに感じる事が出来るのは、一番前に座っているウォルガフだけだ!!」

「ぼくだけ? でちゅか?」

「そうだっ!!」

「ぼく、前に(ちゅわ)りまちゅ!!」


 ふぅ〜納得してくれて良かったぁ〜


「ロジェ、前に座りたかったかもしれないけどごめんな……」

「んっ? なにがだ? 俺は飛ばされないようにリュウイさんを掴んでいればいいんだろ?」

「……うん」


 二人とも単純だな……


 再び騎竜に乗り込み、俺たちは再出発したのである。




 騎竜は三人乗せても全く疲れを見せなかった。

 流石に乗りすぎじゃねぇか? という顔をしているようにも見えたけど……



 騎竜に乗る事一時間程……

 冒険者ギルドのお姉さんが言っていた通り、河が見えてきた。

「あっリュウイたん! 綺麗な河が見えてきまちぃた!」

「うん、そうだね。一回降りて休憩しようか」

「了解でちゅ!」

「うん」

 俺たちは、小休止を取る事にしたのである。

 乗り心地は最高にいいのだが……

 ウォルガフがはしゃぐと、後ろにいるロジェが俺の身体から手を離すのだ……

 二、三回ぐらい風で飛ばされそうになっていたし……


 俺の心の休息を……少し下さい。


 大地に降り立つとウォルガフとロジェは真っ直ぐ河に飛び込み水遊びタイムを開始していた。

「流されるなよぉ〜」

「はーい」

「はーいでちゅ〜」


 気分はまさに遠足の引率に来ている先生だった。

 騎竜の頭を撫でながら、水を飲んでもらう事にした。

「ご苦労さん、もう少し頑張ってくれ」

「きゅるるるるるっ!」

 まるで、返事をしてくれているようだった。


 お前、いいなっ!! 借りてきて、本当に良かったよ!!


 地面に座り込み、ウォルガフとロジェの水遊びを見ながら休憩を取る事にしたのである。


 ふぅ〜ここはどこら変なんだろう〜

 今の世界とゲームだった頃の世界の地図があれば、俺にも少し地理が詳しくなれるんだけどなぁ〜


 システムメニューからマップを選択するが『マップはありません』と虚しく表示されていた。


 だよねぇ〜

 俺が魔王に殺されてから、転生を果たすまでの間結構時間が経っているし。地理とか変わっているのもまぁ、当然だよなぁ〜


 あれ? でも、俺は殺されてからすぐに転生を果たしたつもりだけど、実際は何百年という年月が経っている……

 その間の俺の魂? 記憶か? と言う物は一体どこにあったんだろう???


「うわぁぁぁぁぁぁっ!! ウォルガフっ!!!」

 突然ロジェの叫び声が聞こえてきた。

 それは、俺の考え事を一気に忘れ去ってしまう程だった。


「どうした?! ロジェ!!」

 慌てて駆けつける、そこにはロジェの姿しかいなくウォルガフの姿はどこにもなかったのである。

「ウォルガフが……」


「あっちの方向に……流されちゃったぁ」

「!!」

 ロジェの指差す方向に俺は、泳ぎ始めた。


 だから、気をつけろよ! とあれ程言ったのに……

 それにウォルガフ、お前……泳げないのかよ!!




「ウォルガフ、何処だぁ〜!!」

 叫ぶ俺の声にウォルガフの声は返っては来なかった。


 くそっ! もっと下流かっ……


 水面を潜りウォルガフを探し出すと……

 ウォルガフはいた……

 水流に巻き込まれてクルクルと、周りながら流されていたのだ。


 ウォルガフの手を掴みとり陸へと上がる……


「はぁはぁ……」

 水から脱出する事が出来たウォルガフは、キョトンとしていた。

「大丈夫……か?」

 俺の問いにウォルガフは、少し悪びれたかのように……

「ごめんなちゃい……」

 と言ってきたのであった。

「……無事で良かったぁ〜」


「でも意外だな。ウォルガフが泳げないなんて……」

「流れが強ちゅぎたのと、足が川底にちゅかなくて取り敢えず息を止めていまちぃた!」

「ふむふむ、ん? あれ? 風呂場では泳いでいたよな?」

「あっあれは……練習(れんちゅう)でちゅ……どうやらまだまだ練習(れんちゅう)不足のようでちゅ!」

「……」


 なんだかなぁ〜

 まぁ、無事だったし良かったと言う事にしておくか……


「ウォルガフ〜リュウイさん〜」

 上流から騎竜を引き連れてロジェは、俺たちと合流を果たしてくれた。


 小休憩に果たしてなったのかは、疑問は残るも気を取り直して再び騎竜に乗り込み、ジグ山脈の手前にあると言う、小屋を目指して再出発したのであった……





 ◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎



 目の前にある太陽オレンジ色に沈みかかっている頃、騎竜の上では大喧嘩中だった……

「なんでちゅって!? ロジェたん!!」

「何度でも言うけどね! 溺れた時に大事なのは犬かきではないよ!!」

「………」

「大事なのは、シンクロナイズドスイミングだよ!!」

「ロジェたんだって、シンクロ……なんちゃらで溺れかけた事あるじゃないでちゅか!?」

「あっ……あれはたまたまだよ!」

「なんでちゅとぉ〜!!」

「なんだよっ!!」


 と言う喧嘩を、俺を間に挟んで喧嘩しているんだ……

 どうやら、ウォルガフもロジェも水遊びは大好きでちょくちょく溺れるらしい。

 だが、二人とも肺活量は凄まじくなんでも五分ぐらい息を止めている事が出来るとの事だ。


「ぼくは、調子がいい時は六分でちゅよ!」

「俺だって六分五秒だっ!」

「じゃぼくは六分十秒でちゅ!!」


 と、まぁお互い引かないんだけど……

 その肺活量のお陰で溺れ死ぬと言う事はなかったのだが、溺れない為に何か手を考えよう!! と二人は思いついたのだ。

 そして、ウォルガフは犬かき……ロジェはシンクロナイズドスイミングみたいだ。

 話しを聞く限り、二人ともまだ満足に泳げないから、俺としてはどっちもどっちだとは思うけどね……


 そして、いい加減俺を挟んでの喧嘩はやめろよな……


「お前たち……そろそろ仲直りしないと……」

「しないと……?」

「ちぃないと……?」

「晩御飯抜きだぞッ!!」

 晩御飯抜きと言われてしまえば仲直りするしかないだろう。

 慌てて仲直りしていたよ……ったく……


「あっリュウイたん! 小屋が見えてきまちぃた!」

「……あれが」


 小屋の正面にそびえ立つのは断崖絶壁な山脈が、俺たちを待ち構えていた。


「ジグ山脈か……」


 予定通り俺たちは小さな小屋で、一晩寝て過ごす事にしたのである。






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