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魔王に再び挑みたい!  作者: kiruhi
目指せ、Level.50![ 上 ]
24/77

【08】

「なっなぜ……ですか?」

「詳しくはわからないんだけど、グゥだけが瀕死の重症で唯一の生き残りね」


 流石……僧侶……だな。


「……それで、グゥさんは今どこに?」

「ゲーブングの街にいるわ」

「……」


 と、あっさり言われましても俺には何処かわかりませんよ……


「……うんとね、ここから遥か南に行くと河があるの。そこを更に行くとジグ山脈と呼ばれる険しい山路を超えると、ゲーブングと言う小さな街があるわ」

「そこにグゥさんはいるのですね?」

「えぇ……」


 場所を聞いてどうするつもりだ?

 どのみち俺はやっとLevel.15になった素人だぞ?

 ジグ山脈で、のたれ死ぬのが落ちじゃないのだろうか?

 もし、仮にうまくゲーブングと言う街に辿り着ついたとして、ライオネットワイバーンと対峙した時……

 俺は、果たして役に立つのか?

『転生者』は確かに強い。でもあれは一撃必殺だ。

 すぐに発動が切れてしまう……


 いや、でも待てよ?

 そもそも手加減する必要はあるのだろうか?

 ロジェの時とは違う。ライオネットワイバーンは討伐してもいい魔物だ……


 ……


 …………



 ダメだ。

 今、魔王はヒューマンである俺を探し回っている。

 ライオネットワイバーンは『転生者』を発動すれば多分倒せるとは……思う。

 でも、そうなれば俺の存在がバレてしまう……


 くそっ……


 なら俺だけここに残るか?

 どのみち、この話しをウォルガフにすれば必ず行くと言い出すだろう……

 それを俺に止める事は出来ない。

 足手まといの俺を置いてでも、ウォルガフは行くべきだろう……


 でも、行きたいなぁ〜


 ペシンッ!!


「いてっ!」

 真面目に考えているとウォルガフは、俺の頭を手刀打ち(チョップ)で叩いてきたのだ。

「リュウイたん、ここにシワよりすぎでちゅよっ!!」

 ウォルガフは、俺の眉間に人差し指を置きグリグリと押しながら、心配そうな顔をしている。

「ぼくは、確かに難かちぃ話ちぃは嫌いでちゅが、それでも話ちぃぐらいは聞けまちゅよ!! ぼくたちは……!!」


 その先の言葉を俺はウォルガフに言わせなかった。

 黙って頷いたのだ。


 ……そうだよな。俺たちは仲間だ……

 二人しかいないヒューマン同士の仲間……

 俺は転生ハイヒューマンとしてここにいる。ウォルガフもフォス族として転生を果たしたが、俺と同じくヒューマンだ。

 ウォルガフ一人で行くなんて言うべき事じゃない……


「ウォルガフ……」

「……」

「ガルシアさんたちPTはグゥさんを残して全滅した……」


 俺はなぜあの時、お姉さんが言いづらかったのか……

 言葉にしてわかった……


 この世界では、死んだらどうなるのか俺にはわからない……

 でも、魔族たちは復活なんてしないと思う……

 そして、俺も生き返る事はないだろう……

 だからこそ、俺はウォルガフに悲しい宣告をしたのだと思う……



 ウォルガフは最初首を傾げ、何言っているんだ? と言うような顔をしながら俺を見つめている。

 だが、それも俺の目を見ながらウォルガフも察する事が出来たんだろう。


 目が涙でウルウルとしてきていた……

 そのウルウルしたウォルガフの瞳は一目見で、いつもの眼差しでない。

 と、いう事はすぐにわかったのである。


「ひっく……ガルシアたんは……最強の守護剣士(ガードファイター)なんでちゅよ……大きな盾を持ってみんなを……」

「……うん」

「ミラージュたんは……ひっく……火の魔法の中で上級魔法を扱える魔導師でちゅよ……どんな敵も……」

「……うん」

「ひっく……エクレウスたんにぼくは良く動きを止められていまちぃた…だから……だから」

「……」

「本当にガルシアたんたちは……?」

「……」


「うん、事実だ……」


 一呼吸置きながら俺はそう告げた。

 ウォルガフは今にも大泣きしそうな顔をしている。

 それを一生懸命耐えているのも俺にはわかった。


 我慢しなくていいのにな……


 ウォルガフは俺に背を向け、泣きそうな涙を一生懸命拭っていた。

「リュウイたん」

「ん?」

「ぼくは絶対泣かないでちゅ!!」

「……」


 両肩をプルプルと震わせ、拳も震えているというのに……

 ったく本当に素直じゃないなぁ〜


「お姉さん……」

 俺は再びお姉さんに話しかけた。

「?」

「その依頼受けようと思います。取り敢えず、グゥさんのいるゲーブングと言う街に行こうかとか思っています。それでいいですか?」

「えっえぇ。わかったわ」




 ーーーーーー




「ウォルガフ、ゲーブングと言う街知っているかい?」

「うんとぉ〜うんとぉ〜」

 行くと決めたら行動は早いのである、冒険者ギルドの酒場でウォルガフだけ食事をしながら今後の方針について作戦を練る事にした。


()っていまちゅ!」

「なら、ここから行くとしてどれくらいかかるかかな?」

「えっとぉ〜」

「……」

「……わかんないでちゅ」

「……」


 うん、予想通りの回答ありがとう!


「ん〜どうするかな〜」

「あら? ウォルガフとリュウイさん? だっけ?」

 そう話しかけてきたのは、格闘家らしきガルヴァルデ族と、杖を持つムーンサン族であった。

 彼らはここで俺のアイテムボックスを始めて見て、話しかけてきた人たちである。


 確か、ドラゴンの鱗を上げた記憶がある。


「あっお久しぶりです」

お久し(ひちゃちぃ)ぶりでちゅ〜」

「相変わらずウォルガフは可愛いわね」

「えへっ♪」

「リュウイさん毎日が楽しいでしよ?」

「えぇっ、たっぷりと堪能させていただいていますよ」


 そんな話しを杖を持つムーンサン族の女性と話していると、格闘家のガルヴァルデ族はドカッ! と椅子に座り始めた。

「でっ? 何に悩んでいたんだ?」

「うんとぉでちゅねぇ〜なんだっけ……?」

 ウォルガフは、そう言いながら首を傾げて考え始めてしまった。


 あははは……


 半分飽きれながらも、俺はウォルガフの変わりに説明することにしたのだ。

「実は俺たちゲーブングに行きたいのですが、ここからどれくらいの日数必要なのかわかります?」

「ゲーブングか、徒歩で一ヶ月以上かかる距離だな」

「!?」


 そんなにかよ……


「まぁ普通は徒歩では行かないな……」

「と言いますと?」

「金はかかるが、騎獣貸し出し所に行って見たらどうだ?」

「なんですか? それ?」

「まぁ移動時の乗り物だな。行ってみれば、わかるさっ」

「ちょれいいでちゅね!!」


 ウォルガフ……お前の場合、乗り物に乗れて嬉しいんだけだろ……!?


「まぁ南門に行けばすぐに分かる。行って見るといい」

「ありがとうございます……えっと?」

「あぁ、俺の名はゼェプ。相方の……」

「ムフルよ。よろしくね」

「はい、ありがとうございます。ゼェプさん、ムフルさん」

「この前のドラゴンの鱗の例だ、気にするな」

 ゼェプはそういい、酒場から出て行ったのである。

 ムフルは俺たちに手を振った後、慌ててゼェプの後を追いかけて行くのであった。


 騎獣か……

 心が踊る感情を押し殺しながら、ウォルガフと同様少し楽しみな俺であった。



 取り敢えずゲーブングまでの道のりは、ウォルガフが知っているみたいだし騎獣を借りて行く事にしよう。となれば、後は回復系アイテムの補充と装備が俺的には欲しいな。


 灰色のローブは優秀だった。

 俺を幾度も守ってくれた……ありがとう。

 でも、灰色のローブはロジェ戦で破れてしまっている。これでは防御力半減だ……

 武器は、木の杖。流石に卒業したいかな?


「次はどこでちゅか?」

「必要な物を補充して昼過ぎには出発しよう」

「買い物〜買い物〜♪」

 なぜか、嬉しそうなウォルガフであった……


 おやつは買わないぞ!?



 まず先に来たのは、防具屋だった。

「んっ? ウォルガフじゃねぇか? 今日はどうした?」

「えっとぉ……」

「灰色のローブが破れてしまったんですよね……」

「ふむ、確かにこれは直すより買った方がいいな。Levelいくつになった?」

「15です」

「随分とスローペースだな」


 俺だってパパ〜とLevel上げたいよ……

 でもね、いいのっ! Level低くても魔法強くするから!!


「まぁLevel.15で辛うじて着れる服が何点かあったな……ちょっと待ってろ」

「あっ待って下さい」

「なんだ?」

「実は、灰色のローブに付加されている『経験値アップX』と『防御力アップX』この二つを付加したいのです」

「ふむ、わかった。ちょっと待ってろ」

 あったかな〜と言いながらおっちゃんは、納戸の方へと歩いて行ったのである。


 待っている間、ウォルガフが大人しくしているはずもなかった。

 金ピカに磨き抜かれた鎧に手あとをペタペタ……

 高級そうな鎧にもペタペタ……


「……」


 俺は敢えて見て見ぬ振りをした。

 なんとなく買ってコールが響き渡りそうだったから……

 すると、今度はウォルガフは俺の方をじとぉ〜と見つめ始めた。

 流石にこれは、俺には耐えられなかった。

「……欲しいの?」


 恐る恐る聞いてみた。

「うんっ!!」

 元気一杯の返事が、返ってきたしまったのである。


「買ってもいいけど、今着ている鎧の方が防御力いいんじゃないのか?」

「もうボロボロなんでちゅ」

 マジマジと鎧を見て見ると、漆黒の鎧は何度も何度も鍛え抜かれたかのような輝きを見せていた。

 だが、ウォルガフの言う通り確かに所々傷がついており、穴も数箇所空いていた。


 よく、今まで使えたなと感心してしまった。

「わかった、好きなの選んでいいよ」

「!!」


「本当ぉでちゅか! リュウイたん太っ腹でちゅね!!」


 太っ腹ねぇ〜買わなかったら駄々こねる気満載だったろうに……


「いひひひっ……どれにちぃょうかなぁ〜」

 再びウォルガフは、高級そうな鎧たちをペタペタと触り始めるのであった。




「お待たせ、Level.15で着れて能力も付加するとなると、これしかなかったな」

 そう言っておっちゃんが持ってきたのは黒いローブだ。

「灰色のローブよりいい代物だぞ?」


 ふむふむ……これしかないのなら、黒のローブにするしかないよな。


「じゃこれでお願いします。いくらですか?」

「金貨5枚」

「えっ? 灰色のローブと同じ値段ですけど?」

「あれは、オーダーメイド代と付加代も入っていたからな。

 今回はオーダーメイドメイドじゃないし付加も移動するだけだ」

「なるほど……」


 まぁいい、ウォルガフの鎧を買うから安く済ませよう……


「リュウイたん、ぼくこれがいいでちゅ!」

 ウォルガフが指差してきた鎧は、どこかのゲームの最強装備と思えるぐらい立派な鎧だった。

 おっちゃんの話し曰く……

 銀色に輝く鎧は、希少価値の高いと言うプラチナインゴットと言う強度の硬い金属を使い、腕利きの職人が生涯最高の作品と言われる程の自信作との事だ。

 そのお値段なんと白金貨2枚……


 えっといくらだ??

 二万か……?

 結構いい値段するなぁ〜


「今なら付加代タダにしてやるぞ!?」

 おっちゃんも高額商品の販売の為、なるとかして売りたいんだろう……商売人の顔をしているし……

「なんで、そんな高価な鎧がここに……」

「なに、簡単なことさっ。ムーンフェイズは闘技場の街だ。

 防具はいい物を揃えておかないと商売できないんだぜっ!!」

「……」


 っと言われてしまった……

 確かにウォルガフの鎧はボロボロだ。俺なら新調するよな……

 でも二万かぁ……


「……付加ってすぐに出来ますか?」

「あぁちょちょいっとやってやるよ」

「俺のローブと付加代込みで、白金貨二枚……でどうですか?」

「……まぁ、良かろう。

 (あん)ちゃん、Level上がったらまた俺の店で買ってくれるんだろう?」

「勿論です」

「わかった、少し待っていろ」


 そう言われて待つ事五分……おっちゃんは付加が完了した俺とウォルガフの新しい防具を持ってきてくれた。


 新しい防具に着替えた俺たちはおっちゃんにお礼を店を出たのである。


 そして、次は武器屋へと足を運ぶ。

 武器屋では、俺の装備できそうなのは白銀の剣だった。

 白銀の剣には、無難な『攻撃力 VI』青い宝石。お値段金貨45枚。

 かなり悩んだけど、これにしてみた。


 杖も……

 と思ったが、俺の持っている杖は常に魔力を溜め込みやすいようにミスリルと言う金属で、出来ておりこれを新調するとなるとLevel.80ぐらいにならないとオススメなのはないらしい。

 宝石の交換は出来るという事なので、奮発して金貨70枚の魔法攻撃を五倍まで増やしてくれる『魔法攻撃力 V』の赤い宝石をはめ込んでもらった。


 VIも良かったのだが、白金貨一枚必要なので諦めました……

 でも攻撃力と魔法攻撃力でこうも値段が違うとは……

 


 そもそも武器となる攻撃力を必要とするのは、ガルヴァルデ族が殆どで他の種族はほんの僅かである。

『種族王ぺディリヴァは前衛職となる我が誇り高く種族で、X以外の使う者など惰弱なフォス族と同様である! そんな者など認めん!!』

 と罵った事により、ガルヴァルデ族はX以外の者を手に入れたとしても全て売りXを買う為の資金にしているそうだ。

 ガルヴァルデ族なら誰もが欲しいと思うXは何でも白金貨50枚以上するとか?

 取り敢えず膨大な金額が、必要なのであった。



 武器屋では、ウォルガフは何故か大人しかった。

 興味がないのか? はたまたお腹がすいたのか?


 きっと後者だろうな……


 武器屋を出た俺は木の杖を持ち、白銀の剣は取り敢えずアイテムボックスの中へとしまった。

 基本二本持ちはないそうだ。

 武器屋のおじちゃんに思いっきり不思議そうな顔をされてしまった。

 まぁ、あちらも商売だから売ってはくれたけどね……


「ウォルガフは剣には興味ないの?」

「うちゅ?」

「防具屋より関心なさそうに見えたからさ」

「ぼくの剣は魔王ちゃまから頂いた大切な剣でちゅ。買い換えたら怒られてしまいまちゅ!!」

「なるほど……」

「それに……」

「それに……?」

「えへっ?」

「……」


 わかっているくせに〜とウォルガフはそんな顔をしながらも俺を見つめている。


 ヤレヤレ……


「次は、どこに行くんでちゅか?」

 モグモグ……とウォルガフは俺から受け取ったおやつを美味しそうに食べていた。

「次は、回復アイテムの補充とウォルガフのおやつだな」

「おやつぅっ!?」

 目をキラキラさせながら、ウォルガフは俺を見つめている。


 まぁ喜んで頂けて何よりです……




 そして、ウォルガフにあれもこれもっと買わされつつ、必要なアイテムを補充し南門へと進む事にした。


 南門では、多数の護衛付き乗合馬車が待機していた。

 乗ってくる客を待っているんだろう……

「いっしゃぁ〜い、にいちゃんたちはどこまで行くんだい?」

「ゲーブングまで行きたいのですが……」

「ゲーブング〜ちょっと時間がかかるなぁ」

「と言いますと?」


 ここから目的地であるゲーブングに行くまで徒歩で約一ヶ月……

 乗合馬車で行くとしたら、まず一度ゲーブングを越えハイランドと言う街に行きそこから馬車に乗り換えて向かわないと行けないらしい。

 約20日……かかるとの事だ

 まぁ、ウォルガフがいる以上護衛はいらないだろう。 だが、一度目的地を越えてから戻ってくると言うのは時間の無駄なような気がしてならなかった。


「ん〜それはちょっと……」

「なら、あそこにある騎獣貸出屋に行くといい」

「ありがとうございます」

 というわけで、当初の予定通り騎獣貸出屋と言う店に入る事にした。


「おぉ〜ちゅごいでちゅ〜〜!!」

 ウォルガフの言うとおり確かに凄かった。

 仕切り板の向こうには馬やラクダなどが多数待機していた。


「あの、馬でゲーブングまで行けますか?」

「行けるちゃ〜行けるけど……」

 俺が話しかけると店員さんはどこなく、首を傾げていた。

「けど? なんですか?」

「騎馬は、魔物に襲われやすいだ。兄ちゃん守れるかい? 後、険しい山脈に馬はあまりお勧めしないなぁ〜骨折とかしてそのまま放置されても、こちらとしては困るしよ……」


 ふむ、なるほど……

 まぁ魔物はウォルガフがなんとかしてくれるとは思うけど、骨折はなんともならないな……


「あの、定員さんならゲーブングまで行くとしたら何で行きますか?」

「そうだな……」

 顎に手を当てながら考え込み始めていた。

「……俺だったら、騎竜を使うな」

「騎竜???」

「竜でちゅか!?」


 なに?

 マジかっ!?


「兄ちゃんたち興味あるのか?」


 そりゃ 男の子ですもの……竜と聞いたらときめきますよ!!


「もっと詳しくお願いします」

「竜は基本、人間にこき使われるのを嫌っている。だがな、竜を従属させる事が出来る竜族ってのがいてな。その竜族の者たちが調教する事により、安全に旅ができるな」

「その騎竜、幾らですか?」

「一日銀貨1枚」

「……」

「馬は銅貨50枚」


 約二倍か……


「どうする? 見てみるか?」

「いいのですか?」

「みたい、みたいでちゅ〜」

「あぁ、構わないよ。こっちだ」


 うわぁぁ……ドキドキだぁ〜


 店員さんの後をついて行き店の奥へと案内されていく。



「ぬぉぉぉぉぉぉぉっ!! リュウイたん! 竜でちゅよ!! 竜っ!! 本物の竜でちゅ!!」

「……すげぇ」


 思わず鳥肌が立った……

 確かに俺の目の前にいる騎竜は、正真正銘の竜であって……静かに眠っていた。

 俺の心はウォルガフと同様に目を輝かさせていた事だと思う。

 それくらい俺は、高揚していた。


 銀貨1枚か……高いけど、乗ってみたいな!!






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