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俺はなろう系主人公をやめたい  作者: 見切り発車
少年期

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分岐点

日が昇り、木漏れ日が少しずつ俺の顔に当たり始めた頃、俺は目を覚ました。


起き上がり、辺りを見渡しながら森林特有の匂いと、朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。


「近くに魔物が来た痕跡はなさそうだな」


周囲の地面や、撒いた木の枝を確認し、魔物の痕跡がないことを確認する。


オーラに来て以来、野営をすることは少なかった為、何か見落としがあるのではと心配だったが、無事に夜が明けたことに安堵する。


俺は寝ぼけ眼を擦りながら体を起こし、カバンをガサゴソとまさぐり、中から干し肉と、拳ほどの赤色の果実を取り出した。


それはオーラ周辺の木でよく見られる、ミーロと呼ばれる果実だ。

手頃な価格でサッパリとした甘さがあり、そのまま食べることも出来るが、保存食として乾燥させたものも普及している。


取り出した干し肉を咥え、噛みながら、カバンに取り付けたもう一本のナイフを取り出す。

それを使い、ミーロの皮をむき、むき終わるとナイフを置き、咥えていた干し肉を手に持つ。

そうして空いた口を大きく開き、ミーロに齧り付く。


今まで感じていた干し肉の塩味から一転して、口の中にサッパリとした甘みが広がる。


そうして干し肉とミーロを交互に食べ進めていき、食べ終わると、消えかけている焚き火に目をやる。


「焚き火も消えてはいないし、日も昇り過ぎてないな」


俺はそう呟くと、置いていた匂い袋やナイフをテキパキとカバンにまとめていき、出発の準備をする。


最後に敷いていた布を畳み、カバンへとしまうと、それを背負い立ち上がった。


この辺りは薬草採取やらで俺がよく使っていた道だ。

ここからそう遠くない場所に川があり、目印として近くにキズを付けた木が何本かあるはずだ。


俺は昨日歩いてきた方向を確認し、迷わないようその反対へと進んでいく。


耳を澄ませば鳥のさえずりや風の吹く音が聞こえ、なんともいえない心地良さを感じた。


少し歩くと、鬱蒼と生い茂る木の中に、幹の部分に浅くバツ印が刻まれた木を何本か見つける。

それを辿っていくと、微かに水の流れる音が聞こえ、草木の間からキラキラとした反射光が見えた。


俺はそれに近づくと、一旦の目的地であった川に着いたことを確認した。


川は朝の光を反射し、まるで宝石のようだった。

透明な水の中には何匹かの魚が泳いでいて、ここが自然の中である事を感じさせる。


俺は思わず川に近づき、掌を川の中へと沈める。

水は、沈めた掌が見えるほど透き通っていて、水につけた掌が急速に冷えていくのを感じた。


そこまでして俺は、川に来たら一番最初にまずやるべき事があるのを思い出した。


周囲に魔物の痕跡がないか確認することだ。


「魔物も獣も、皆この川で水を飲むからな、痕跡があったらなるべく離れなきゃいけない」


誰に言うでもなくそう独り言つと、周囲を見渡す。

すると、少し離れたところに糞があるのが見えた。


まずいな、あれはどう見ても魔物か肉食獣の糞だ。


魔物や肉食獣と、草食獣の糞を見分けるのは簡単だ。

何故なら前者の糞は草食のものと比べ量が少ない、それに形が細長くなっているからだ。

近づけば特有の悪臭もする。

これを見つけたらなるべく遠く離れるのが俺の鉄則だ。


俺はすぐに目的地であるマギアに向けて、川沿いを歩き始めた。


そうして、少しずつ日が暮れていき、ここらで野営の準備をすることにした。


道中では川を泳ぐ魚の群れや、木の実を食べる鳥が見られた。

対岸に小鬼が見えた時はひやっとしたが、水を飲むとまた森の中へと消えていった。


そんな事を思い出しながら俺は、昨日のように野営の準備をしていった。

一つ違うことといえば、川の水を沸かして水を補充したくらいだ。


森での活動を始めたての頃は、川の生水を飲んで盛大に腹を壊したからな。

川の水を沸かしてスープにしていた冒険者を盗み見るまでは水の調達に苦労したものだ。


そんなことを考えていると、暗がりの中に幾つかの黄色い点が浮かび上がる。


俺は咄嗟にナイフを掴み、構えた。

それは暗がりの中から焚き火の光に照らされ、徐々に獣の形を形成していく。


魔狼かっ!!


所々毛に紫色の混じった黒色の狼が、そこにはいた。


この世界の生き物は、魔物と動物の大きく二種類に分類される。

生まれながらにして魔力を有していたり、魔力を有する生物を食すことで、魔力を宿した動物が一般的に魔物と分類される。

前者と後者では、同じ魔物でも名称が違うらしいが、俺はそこまでのことは知らない。


今回の魔狼は魔狼であって魔狼ではない。


動物である狼が、魔力を有する生物を食したことで生まれたものだ。

その証拠に、そういった魔物特有の特徴である紫色があいつの体には混じっている。

そして、狼は基本的に小鬼や魔狼といったここらに生息する魔物を食べることはない。


魔狼は、こちらをじっと見ながら、隙を伺っている。

焚き火に照らされた紫色の毛が、キラキラと光る。


ということは、だ。


目の前のこいつは人を喰ってる。

考えうる限り最悪の状況だ。


そこまで考えて俺は、カバンを引っ張り中の物を全てぶちまけてから、走り出した。

まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。

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