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俺はなろう系主人公をやめたい  作者: 見切り発車
少年期

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真実の独白

俺に髪を梳かせながら、アリシアはこう言う。


「君、魔法についてはどこまで知っているかね?」


俺はこれまでの生活を思い出しながら答える。


「詳しい事は何も分かりません。精々知っているのは、昨日の本の内容と、属性と適正についてくらいでしょうか」


「そうか、その段階か」


そうして暫く彼女は沈黙する。何か思案しているようだ。


俺はそんな彼女を見ながら黙々と髪を梳かしていくと、徐々に絡んだ髪が解けていき、サラサラとした毛並みが戻る。


「ああ、ありがとう。弟子にこうしてもらうのが、私のささやかな夢だったんだ」


彼女はそう礼を言って立ち上がり、伸びをすると、こちらを見据えて手を伸ばす。


「昨日みたいに自力で動かすのもいいが、今はこの私がいるんだ。一緒にやってみようか」


俺は彼女の言葉を聞いて、差し出された手を取ると、またしても温かな感覚を手の内に感じる。


「この感覚に乗じるようにして、動かしてみたまえ。すぐに何かを感じ取れるようになるはずだ」


俺は体内の魔力を動かそうと、力を入れる。

すると、昨日はピクリとしなかった俺の魔力が、彼女の魔力の中で少し動いたのを感じる。


「お、今少し動いたんじゃないかい?」


それは彼女も感じていたようで、俺の顔を見て嬉しそうにそう言う。


暫くそれを繰り返していくと、少しずつ動かせる魔力の量が増えていき、やがて体内の全ての魔力を動かせるようになる。


「よく頑張ったね。一旦休憩にしようか」


彼女の言葉を聞きながら、俺は息を整える。

初めての魔力操作はかなり体力を使うようで、体中に汗が滴るのを感じる。


「君、これに手をかざしてみてくれ」


彼女は、俺が休憩している間に、何かを用意していたようだ。


そちらを見ると、彼女の近くの机には、見覚えのある大きな水晶が置かれていた。


俺は驚いて、すぐさま体を起こし、何が起きてもいいように備える。


しかし、あの時のような既視感は感じない。

まだ水晶に触れていないからだろうか?


「どうやら、君のあの話は概ね本当らしいね」


そんな俺の様子を見て、彼女は面白そうにそう言った。

俺は彼女を見て、惜しげもなく不満の眼差しを向ける。


「そんな不満気な顔をしないでくれよ、確かに君の反応が見たかったのもあるが、必要な事なのだよ」


「だとしても、事前に言ってくれればいいじゃないですか」


俺はそう言いながら、机にある水晶へと近づく。


あの時の水晶と同じような見た目だ。

細かな紋様までは覚えていないが、さほど大きな違いがあるようには見えない。


俺は恐る恐る手を伸ばし、水晶に手をかざす。


途端に水晶はカタカタと震え、唐突に青、白、黒の三色へと光り出し、少しして、水晶はバリンと音を立てて割れてしまった。


適性調査は、案外すんなりと終わったようだ。


「確かに、これは凄いな」


静寂の中、彼女が近くでそう呟いたのが聞こえた。


あの時の既視感は、今回は感じなかった。

これが何を意味しているのだろうか?

俺は、割れた水晶を眺めながら考える。


すると、一つ、気になることが頭に浮かび、それをハッキリさせようと、彼女に問いかける。


「この水晶、壊してしまっても良かったんですか?」


彼女は不思議そうな顔を浮かべ、俺にこう返す。


「ああ、備品ではあるが、そこまで貴重なものでもないからね。こんな見た目だが、一般的に普及もしているし、あまり高価でもないよ」


そこまで伝えて彼女は、何かしでかしてしまったような顔をして、こちらを見る。


「もしかして、あの時、騙してました?」


「さ、さぁ?いつの事か分からないな」


俺の言葉に、彼女は顔を逸らしながらこう答える。

そんな彼女の額には、一筋の汗が伝っているのが見えた。


『別にどうこうするつもりはないよ。ただ、君にはその魔力について聞きたいんだ』


まるで俺に後ろめたいことがあるかのように告げられた、あの時の言葉。


恐らく、こちらの様子を見た彼女は、俺の勘違いに気づいていて、その上でこのような言葉回しをしたのだろう。


「正直に話してくれれば、それでいいんですよ?」


その言葉を聞いて、彼女はどこか諦めたように言葉を紡ぐのであった。

まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。

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