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俺はなろう系主人公をやめたい  作者: 見切り発車
少年期

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19/25

蘇るあの日の思い出

俺は荷物をまとめながら、あの三人のことを考える。


昨日は何も伝えずに魔法学院まで行ってしまったから、心配をかけてしまっただろう。

今日も門の前に行けば、皆に会えるだろうか。


荷物をまとめ終え、カバンを背負って宿の階段を降りていく。


「なんだ兄ちゃん、浮かねぇ顔してんな」


いつものようにカウンターに立っている宿屋の主人は不思議そうな顔で俺にそう声をかける。


「少し、色々とありましてね。もう一泊お願いします」


「そうか。まぁそんな日だってあるさ、気をつけてな」


「はい、ありがとうございます。それでは」


俺は宿を出て、真っ直ぐ門へと向かう。


大通りを少し歩いて門が見えてくると、その近くには見慣れた3人の姿が見える。

どうやら既に集まっているようだ。


俺は最初の一声をどうしようかと考えながら近づくと、マークがこちらに気づいて声をあげる。


「おお!キュクロスが来たぞ!」


アリスとマーシャもその声でこちらに気づいたようだ。

三人は、嬉しそうな、心配そうな顔をして足早にこちらに向かってくる。


「ちょっと、心配したじゃない」


「解散した後、何かあったんじゃないかって心配してたんですよ」


怒ったような顔をしたそう言うアリスと、心配そうな顔をしたマーシャを見て、俺は少し嬉しくなる。


「皆、ごめん。昨日は色々あってね」


俺は皆に謝り、薬草採取の道中で、あの日の帰り道何があったのかを説明する。


「それで、魔法学院に行くために昨日は来れなかったってわけか!」


「まあ、しょうがないわね。そんなこと言われたら誰だって気になるわ」


「それで、魔法学院ではどんな事があったんですか?」


本のことや、その内容を隠しながら、俺は三人の反応を見て話を続ける。


「お弟子さんだなんて、凄いじゃないですか!」


3人の中で、マーシャが一際大きな反応を見せる。

そんなマーシャだったが、俺の表情を見て怪訝そうな顔をする。


「もしかして、迷ってんのか?」


マークに内心を言い当てられ、ドキッとする。


「ああ。休みは貰えるらしいが、皆とこうやって過ごせる時間が減るんじゃないかと思ってな」


気になっているのはそれだけではないが、彼らに告げていないこともまだ多い。

全てをいきなり話してしまっては、彼らも何が何だか分からないだろう。


それに、彼らと過ごす時間が惜しいのも本当だ。


すると、アリスが少し笑ってこう返す。


「なによ、そんな事で悩んでたの?別に毎日一緒にいなくたって、私達の関係は変わらないわ」


「そうだぞ。それよりも、キュクロスがどうしたいかを一番に考えるべきだ!」


「私もそう思います。それに、こんな機会滅多にないと思います」


皆の暖かい反応を見て、少し目頭が熱くなる。


「そうか。わかった、皆ありがとう」


「いいってこった!それなら、今日は皆でうんと思い出を作らなきゃな!」


そうして、いつもより早く薬草採取を終えた俺達は、大通りに並ぶ屋台を見て回る。


あまじょっぱいタレを塗った串焼肉を買って食べたり、様々な装飾品を並べてある屋台を回ったりと、初めての経験をいっぱいさせてもらった。


「これなんか似合うんじゃねぇか?」


「あら、マークにしてはいいセンスじゃない」


俺がマーシャと話す横で、何やらコソコソと話す二人の声が聞こえる。

気になって近づこうとすると、マーシャが慌てた様子で俺を止める。


「そ、それよりもこっちの指輪も綺麗ですよ!」


俺は少し不思議に思いながらも、マーシャの指さした指輪を眺める。


そんなことをしながら屋台を回っていると、辺りはすっかり暗くなっていた。


「今日はもう遅いし、解散しようか。皆、ありがとう」


そう言って三人を見ると、なにやらソワソワした様子のマークが、1歩前へと出る。


「これ、皆でキュクロスにってことで、さっき屋台で買ったんだ」


そう言ってマークは、綺麗なガラス細工の付いた首飾りを差し出す。


「これを、俺に?」


俺は嬉しさのあまり、三人をまとめて抱きしめる。最初は驚いた様子だったが、次第に力を抜いてこう言った。


「大袈裟よ、キュクロス」


「でも、喜んでもらえて良かったです」


笑いながらアリスとマーシャはそう言った。


人からこんな風に物を貰うのは初めてだ。

それに、首飾りだけじゃなく、最高の思い出だって俺にくれた。


「ありがとう、皆」


俺は涙を拭いながら、そう伝える。


「折角だし、付けてみてくれ!」


俺は頷きながら差し出された首飾りを受け取り、首にかける。


「おお、中々似合ってるぞ!」


「あら、いい感じじゃない」


「キラキラ光って、素敵ですね」


三人の言葉を聞きながら、優しく首飾りに触れる。


俺は生涯ここで過ごしたことを忘れないだろう。

そんなことを思いながら、笑うのであった。

まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。

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