紫の朝焼け
またもや遅れてすみません!
今から書きます!
俺が最初に抱いた感情は困惑だった。
「すみません、どういうことですか?」
訳もわからずにそう返すと、その女は困ったように眉間を揉み、こう言った。
「あー、そうだね。もう暗いし、君みたいな子どもとこんな所で話し込むわけにもいかないな」
それは俺に向けて、というよりも自分に言い聞かせているようだった。
「君、魔法学院は知っているな?詳しく知りたければ、明日そこにある私の研究室まで来てくれ。適当な管理者に、アリシアの客人と伝えればすんなりと来れる」
そう言って、鐘塔の近くに見える大聖堂のような建物を指さす。
マギアに入国した際の光景を思い出す。
なるほど、あれが魔法学院か。
それを伝え終わると、女は足早にどこかへと立ち去っていった。
「呪い、か」
突然現れたかと思えば、そんな怪しげなことを口にして去っていった女。
色々と考えたいことはあるが、先ずは宿に戻ろう。
そう思い、俺は宿へと歩いていった。
部屋の中で一人、考える。
そうして、疑問点を一つずつ整理していく。
一つ目は、何故あの女は一目見て俺に呪いがかかっていることに気づいたのか。
魔法的な要因で呪いに気づくことや、俺自身にも心当たりがあることから、一概にでまかせとは言えないだろうが、その可能性だってあるだろうな。
二つ目に、あの女が声をかけてきた理由だ。
確かにあの女は、色々と言いたいことはあるが、と言っていた。つまり、呪い以外の何かが俺にあると気づいたと考えるのが自然だろう。
それに、見知らぬ人が呪いにかかっていたとして、それを教えるほどの義理があるだろうか?あの女にも、俺と話すことで何か得られる事があるのではないか?
三つ目は、あの女についてではなく呪いについてだ。
俺は魔法や呪いといった事について明るくはないため、詳しくは知らないが、呪った相手に何かしら不利益を齎すものという簡単な概要は知っている。
呪いとはなんなのか?魔法とはどう違うのだろうか?
もっと基礎的な部分から知識を得る必要がある。
マーク達には悪いが、明日の予定を断ってでもこれは知るべきだ。
この不気味な本についても何か分かるかもしれない。
そう思い、机に置かれた本をちらりと見る。
キュクロス・ミトス
俺が唯一覚えていたこの文字を冠した、古びた本。
呪いとは一体何なのか。
そんな思考がこの本と結びつきつつあるのを感じ、それを振り払う。
今は考えたって仕方がないな。
そうして俺は、明日を迎えるため眠りにつくのであった。
朝、目を覚ましすぐに荷物を整えると、足早に魔法学院へと向かう。
近づくにつれ、道を歩く人々が、ローブや杖を身につけた、所謂魔道士であろう者へと変わっていく。
暫く歩くと、ようやく魔法学院へと着いた。
白を基調とした装飾に、色鮮やかなステンドグラスが散りばめられていて、大きさと相まって一種の神聖さを醸し出していた。
俺は正門であろう場所に近づいて、門の近くの人に声をかける。
「すみません。アリシアさんの研究室をお訪ねたいのですが…」
「ああ、話は伺っていますよ。どうぞこちらへ」
どうやら本当にすんなりと着きそうだ。
案内をされながら庭を通り抜け、建物の内部へと入ると、複雑な廊下を幾つか乗り越え、やがて一つの部屋の前で止まる。
「では、私はこれで」
「はい、わざわざありがとうございます」
どうやらここがアリシアの部屋みたいだ。
ドアを数度ノックすると、中から声が聞こえる。
「入りたまえ」
部屋の中には様々な物が置かれていて、随分と散らかっている。
しかし、積み上げられた本や大量の資料の山、見慣れないガラス瓶に入った液体など、そのどれもが彼女が優秀な学者であろう事を物語っていた。
「おお、よく来てくれたね。本当に来てくれるとは思わなかったよ」
奥の机から、聞き覚えのある声が響く。
そこには昨日見た、紫髪の女が座っていた。
「昨日のことについて、詳しく聞かせて頂きたいのですが、一体どういうことですか?」
「まずは自己紹介からしよう。私の名前はアリシア。一応ここ、魔法学院で教鞭をとっている。」
彼女は立ち上がり、こちらへ近づきながら丁寧に自己紹介をする。
「私は、キュクロスです。どうぞよろしくお願いします」
それに返し、本題を切り出そうとすると、彼女は予想外の一言を放ってくる。
「君、オーラで水晶を割った子どもだろう?」
俺は、自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、できるだけ平静を装うのであった。
まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。




