円環の呪い
街を出て、暫く薬草を採取した俺らは地面に布を敷いて、昼ご飯を食べていた。
「やっぱり男子ってお肉ばっか食べるよね」
俺とマークを見ながらアリスはそう言う。
確かに俺は干し肉ばかり食べているが、マークもそうなのだろうか。
そう思い横を見ると、無心で干し肉に齧り付くマークの姿が目に入る。
「確かにそうかもしれないな」
そう言いながら、二人のご飯へと目を落とす。
アリスはパンに肉と野菜を挟んだものを、マーシャは干した果物や木の実を食べているようだ。
「色々なものを食べないと、体に悪いですよ」
諭すような口調でそう言うマーシャに、マークは笑いながらこう返す。
「動物には植物を食べるやつもいるだろ?つまり、俺はそいつらの肉から野菜を摂ってるから大丈夫だ!」
俺とアリスは呆れるような目でマークを見ていて、マーシャは困ったように笑っていた。
昼ご飯を食べ終えた俺達は、また採取を再開し、日が暮れる前には街へと帰った。
「今日こそは飯に行こうぜ!」
薬草の換金を終えた俺たちは、マークのその言葉に賛成し、マーク行きつけの食堂へとやってきた。
席につき、注文を済ませると、次第に料理が次々とテーブルへと運ばれてきて、やがて全ての料理が揃った。
「やっぱりここの骨付き肉はうめぇな!」
人の顔ほどもある骨付き肉に豪快にかぶりつきながら、マークはそう言った。
「あんたまたお肉ばっかり食べて!」
その様子を見たアリスは咎めるようにそう言って、マークの頭を軽く叩く。
「そう言えば、マークは最初会った時に最高の冒険者になるって言ってたよな、なにか目指すきっかけとかあったのか?」
マークは骨付き肉を食べる手を止めて、たっぷりと溜めてからこう言い放つ。
「それはな、特に理由はないんだ!」
あまりに拍子抜けな言葉に、吹き出してしまう。
「マークはこういう奴よ、諦めてちょうだい」
呆れた顔で言うアリスの言葉に、納得してしまう。
そうだ、確かにマークはこういう奴だな。
「そう言うキュクロスは、夢とか目標とかあったりするんですか?」
マーシャにそう言われて、俺は少し悩む。
今までそんな余裕はなかったからか、そういったことは考えたこともなかった。
一つ、あげるとするならばあの本の事だろうか。
しかし、あれについてはまだ殆ど分かっていないし、どう扱えばいいのかも分かっていない。
「それが、特にないんだよな。マーシャはお母さんの家業を継いだりするのか?」
あれについてどう告げればいいか分からなかったため、話題を変えて誤魔化すことにした。
「まだハッキリとは決まってないけど、私はお母さんの後を継ぎたいなぁって思ってます」
そうして話題は弾み、気づけば外は暗くなっていた。
「じゃあ、解散だな。また明日会おうぜ!」
「皆、気をつけて帰るのよ」
「う、うん。また明日」
皆と解散した俺は一人、大通りを歩いていた。
すると、通行人の一人が俺へ声をかけてきた。
「君。話したいことがあるんだが、ちょっといいかな?」
「はい、どうかされましたか?」
いきなり話しかけられた俺は、警戒心を隠しながらそう返す。
俺は、その人物を注意深く観察する。
身長は俺より少し高く、黒色のローブに紫色の髪をした女性だ。
手は外に出されていて、ナイフなんかを持ってるようには見えない。
「いやなに、色々と言いたいことはあるんだがね」
彼女はどう伝えようか、悩んでいる様子を見せ、意を決したようにこう言った。
「単刀直入に言おう。君、呪われているよ」




