初めての友達作り
宿に戻った俺は、新しく買ったカバンの中に道具を詰め込んでいた。
二本のナイフをカバンに取り付け、ロープと干し肉を中へと入れる。
今日は夜になる前に街へ帰る予定の為、野営道具は必要ないだろう。
「おっと、通行証も必要だったな」
俺は白いカードをポケットの中に入れて、不足がないことを確認した後、宿を出る。
先程よりも大通りに人が多く見え、宿を出た時よりも賑わいを見せている。
日の位置からして昼時なのだろう。
そう考えて俺は、昨日からずっと寝ずに動き続けていたことに気づく。
今すぐにでも眠りたいところだが、金を稼がねば。
少しふらついた足取りで、門へと向かう。
近くにいる兵士の顔を見てみたが、先程の兵士は見当たらないようだ。
俺は見知らぬ兵士に通行証を見せ、街の外へと出る。
野原には疎らに冒険者が見えるが、どれもまだ若い。
身につけた剣や防具も、上等な物には見えない。まだ新米の冒険者なのだろう。
そんなことを考えながら、薬草や野草を摘み、それを適当にカバンへと放り込む。
そんなことを暫く繰り返していると、遠くから三人の子どもがこちらへと近づいてくるのが見えた。
「おーい!一人で薬草集めてんのか?一緒に集めようぜ!」
先頭を歩く赤髪の少年が、近づきながらそう声をかけてくる。
「ちょっとマーク、恥ずかしいからやめてよ!」
「わぁ、この子、採取がとっても丁寧…」
マークと呼ばれた少年の後ろから、気の強そうな金髪の少女と、それとは対照的におずおずとした様子の黒髪の少女がやってくる。
「なんだよアリス、おい、引っ張るなって」
そう言って、金髪の少女と赤髪の少年は、こちらにはお構いなしで揉み合いを始める。
「あの、急にごめんなさい。私、マーシャって言います」
マーシャと名乗った白髪の少女は、そう言いながら申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる。
「いえ、構いませんよ。それよりも、どうしたんですか?」
「一人で冒険者なんてすげぇやつだと思ってな!スカウトに来たんだ!」
いつの間にか争いを終えた赤髪の少年が、息を切らしながらこちらへと言う。
「俺はマーク!世界一の冒険者になる男だ!」
遅れて、不満気な顔をした金髪の少女がやってくる。
「だからやめてってば、この馬鹿があなたをスカウトするって言って聞かなくてね、邪魔をしたなら謝るわ」
「いえ、構いませんよ。それに、少し興味もありますしね」
「私の名前はキュクロスです。貴女は?」
「アリスよ、よろしくね」
そう言って握手を求めるアリスの手を握り返す。
マーク、マーシャ、それにアリスか。
寄せ集めにしてはかなり仲が良さそうに見える。
もしかしたら友達でパーティを組んだ口か。
そう考えながら、俺は一つ訂正する。
「なにか勘違いをしているようですが、私は冒険者ではありませんよ」
「まじか、冒険者じゃねぇのか!?動きが慣れてるから、てっきりそうかと思ったぜ!」
「あんたが確認もせずに突っ込むからでしょうが!」
そう訂正した俺の言葉に驚くマークの背を、バシバシとアリスが叩く。
「あの、薬草の採取の仕方、どこで学んだんですか?」
マーシャは、興味深そうにじっと薬草を見て、そう口を開く。
「資料を幾つか見たぐらいですかね。それでも、長くやってたら慣れるものですよ」
冒険者から盗み見て覚えたとは言えないため、適当な嘘を伝えておく。
「マーシャが聞くって事は相当な腕だぜ!やっぱり俺の目は間違ってなかったな!」
そう笑いながら言うマークの脇腹をアリスがどつく。
マークは苦しそうに蹲り、静かになった。
「私達に、薬草採取の仕方を教えて貰えませんか?」
遠慮がちにそう聞くマーシャに俺は快く返事を返す。
「ええ、いいですよ」
こんなにワクワクするのは初めてだ。
そうして俺は、初めての友達作りを実行するのであった。
まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。




