赤毛の少女
遅くなってすみません!!
俺は数枚の硬貨を眺めながら考える。
最近の俺の仕事は、そのほとんどが森の薬草や果実の採集だった。
マギアの周辺は野原になっていて、森はここから離れている。
ここから森に行き、採集をして帰ってくるにはかなりの時間がかかり、下手をしたら門が閉まってしまう。
ここに来るまでに、野原には何種類かの薬草が生えていたから、稼ぎは減るだろうが、マギア周辺の地理や植生を詳しく調べるまでは、それらを売って凌ぐしかないな。
そこまで考えて、俺は残り少なくなった硬貨をポケットに詰めて部屋を出る。
宿を出て周りを見回し、歩き出す。
見れば、食堂や屋台には人が集まり始めている。
野原は見渡しがよく、警戒さえすれば魔物や獣には気づけるだろうが、それでも備えが欲しい。
そう考えて俺は冒険者がよく利用するような雑貨屋に行くことにした。
新しいカバンやロープ、欲を言えば疑似餌や匂い袋に使う材料まで欲しいが、予算的に難しいだろうな。
そうして歩いていると、視界の端に袋の書かれた看板を掲げている少女を見つける。雑貨屋の売り子だろう。
そう思い眺めていると、その子と目が合った。
ちょうど同い年くらいだろうか。肩まで伸びた赤い髪が印象的で、目を惹かれる。
そんな事を考えながら近づくと、あちらから声をかけてくる。
「こんにちは!何かお探しですか?」
ニコニコと笑いながらそう言う彼女を見てこう返す。
「はい、最近カバンに穴が空いてしまいまして…何か良さそうなカバンはありますかね?」
彼女は少し驚いたような顔をしてこちらを見る。
「どうかしましたか?」
「いえ、凄く丁寧に話すものだなと思いまして。
少し驚いてしまいました」
そう言う彼女も大概だろうと思い見つめていると、ハッとしたような顔で慌ててこう言った。
「あ、新しいカバンですね!こちらへどうぞ!」
彼女は、店のドアを開けてこちらへ手招きをする。
扉の近くにはでかでかと、パミール雑貨店と書かれていた。
店内に入ると無数の棚が並べられており、そこにテントやナイフ、寝袋や火打石といった野営道具に始まり、ポーチ、ベルトといった身の回り品や、果てには携帯食までも売っている。
店内の品揃えに驚く俺を見て、彼女は自慢げな顔でこう言った。
「どうですか?ここなら、お客さまの必要な物はなんだって揃っちゃいますよ!」
「そうですね…こちらのカバンなんかどうですか?」
そう言って彼女は、一つのカバンを取り出す。
それは俺が以前使っていた物より少し大きいが、それでも取り回しは良さそうだ。
バッグの側面には幾つかのポケットが付いていて、ナイフなんかも入れておける。
「これ、いくらですか?」
「銀貨一枚と、カバンにしてはちょっと高いですが、負担がかかるところは補強もされてて、耐久性も、収納力もバッチリですよ!」
俺がどうしようかと悩んでいると、彼女は畳み掛けるように問いかけてきた。
「他に何か必要な物とかありますか?今ならセットでお得にしちゃいますよ!」
「それなら、ロープと干し肉をいくつか欲しいのですが、ありますか?」
「もちろんありますよ!それなら、それに鞄も合わせて銀貨一枚と銅貨二枚でどうですか?」
残る手持ちはほとんど使い切るが、これで必要なものの殆どは揃う、悪くはないだろう。
「ではそれでお願いします」
そう伝えると、彼女は嬉しそうな様子で店の奥へと入っていった。
奥からロープと干し肉を幾つか手に持ち出てきた彼女に、硬貨を手渡す。
「まいどありがとうございます!」
カバンとロープ、それに干し肉を手に持ち、店と彼女に背を向ける。
思えば同年代の子と話すのは初めてだな。
赤色の髪を思い出しながら、そう考える。
道具が手に入ったとはいえ、俺はほぼ一文無しだ。
早めに出てたっぷりと取って帰ってこなきゃな。
そう考えながら宿へと歩く俺の足取りは、心做しかいつもより弾んでいるように見えた。
この小説を少し見直していたのですが、主人公の行動原理や目的がまだハッキリと伝わってないし、せっかく人と話せる環境なのに人との絡みが少ないなと思ったので、今後ガッツリ書いていきます。




