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俺はなろう系主人公をやめたい  作者: 見切り発車
少年期

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一瓶の謎

周りの冒険者や商隊が動き出すのを見て、もしやと思い、門へと目をやった。

門は大きく開かれており、その近くには人や馬車やらで既に人混みができていた。


俺は荷物から硬貨を幾らか取り出してポケットにしまい、立ち上がると、人の流れに沿って門の方へと移動した。

列が進むのを待つ間周りを観察していると、明らかにフードやローブを身にまとい、杖を手に持つものが多い。

それに数は多くないが、メガネをかけた学者の様な風体の人物もチラホラ見える。


なるほど、流石はかの魔法国家だ。

オーラでもあのような装いをする者はいたが、これ程多くはなかったはずだ。

ポケットの硬貨を弄りながら、そう考える。


暫くして、俺の番が回ってきた。

外壁と同じような意匠を施された、白い鎧を着た兵士が、こちらに話しかけてくる。


「ここは魔法国家マギア、魔の最先端を行く国だ。

通行税は銀貨一枚、各ギルドの登録証や身分の証明が出来るものがなければ三枚だ。」


多めに出したつもりが丁度三枚とはな。

俺はポケットの銀貨を三枚、兵士へと差し出す。


「それと、その荷物を軽く確認させてもらう。

持ち込みに申請が必要な薬なんかがあれば、先に言ってくれ。」


「荷物の中身の大部分は一般的な野営道具です。

薬の類は持ち込んでいないので、大丈夫だと思いますが…」


そう言って荷物を解くと、兵士がそれを確認する。

すると突然、ガサゴソと中を確認していた兵士の動きが止まる。

そして、荷物の中から一つの瓶を取り出す。


「この瓶の中身はなんだ?」


俺は兵士の言葉に動揺する。

あれが何なのかは俺にも分からない。

手がかりになると思って持ってきたが、それが裏目に出るとは思わなかった。


そんな俺の様子を見た兵士の顔付きが徐々に険しくなる。


まずい、何とかしなければ。

今更取り繕っても怪しまれるだけだ、いっそ正直に話してしまおう。


「困った事に、その瓶の中身が何なのかは私にもさっぱり分からないのです。

マギアなら解明できるかもしれないと思い、持ってきたのですが…」


そう言いながら兵士の様子を伺う。

困った顔をした兵士の反応を見るに、申請の必要な類の物には見えないが、これの正体が分からないので断定は出来ないってとこか。


数秒の沈黙の後、兵士が口を開く。


「これは魔法学院で解析させてもらう。

魔法学院に引き渡すまでの間はこちらで、引き渡し後は魔法学院で管理する。

三日もすれば解析が終わるだろうから、三日後に魔法学院に取りに行け。

何もなければそこで返されるが、もしこれが申請の必要な物や、禁制品に類するものであれば、罰金や刑罰を受けてもらうことになる」


兵士はそう言うと別の兵士を呼び、瓶を渡した。

瓶を渡された兵士はそれを持ち、門に隣接する塔の様な建物の中へと歩いていった。


「今後、詳細の分からない物を持ち込む際は事前に提示するように。これがマギアの通行証だ。」


門番はそう言うと、外壁と同じ文様の書かれた白色のカードを渡してきた。


「お手数お掛けしてすみません、ありがとうございました」


俺はそれを受け取り、そう述べてからお辞儀をした後マギアへと進んだ。


マギアに入って、まず一番最初に目を引いたのは、目の前に見える大きな鐘塔だ。

今いる門から真っ直ぐと石畳が敷かれていて、その最奥には立派な鐘塔がそびえ立っていた。

近くには白を基調とした大聖堂のような巨大な建物が建設されていて、まるで城のようにも見える。


そんな光景に思わず見とれてしまいそうになりながらも、通りを進んでいく。


辺りを見渡すと、近くにある建物の看板の多くが宿屋や飲食店だ。

門が近いからこの辺りに密集しているのだろう。

マギアを見て回る前に荷物を置きたいし、まずは今日の宿を見つけるべきか。


俺はそう考えて、辺りにある店から、一番近くの宿屋に入ることにした。


「いらっしゃい、何人で何泊だ?」


開けられたままの入口をくぐると、正面にはカウンターがあり、そこに筋肉質の男が立っていた。


「一人で取り敢えず一泊、お願いします」


そう言いながら俺は店内を見渡す。

店内は開けていて、カウンターの横には階段がある。

右には幾つかの机や椅子が置かれており、まばらに客が座っていて、様々な料理を食べている。

客も居るし、食堂もある。料理だって美味そうだ。

ぼったくりではないだろうな。


「あいよ、それなら銀貨一枚だ」


俺は布の間から手を入れ、荷物の中から硬貨を引っ張り出す。

そうして取り出した銀貨を男へと渡す。


「おいおい兄ちゃん、財布くらい持った方がいいんじゃないか?」


そう言いながら男は、鈍く光る鍵を一つ手渡してきた。


「それが部屋の鍵だ。兄ちゃんのは階段を上がって手前から二つ目の部屋だからな、なくしたりするなよ」


「分かりました、ありがとうございます」


そう言って俺は階段を上がり、手前から二番目の部屋の鍵を開ける。

部屋の中にはベッドや机、椅子に壁掛けのランプなどがあり、ガラス窓が一つ設置されている。

見たところ綺麗に清掃されていて、これで銀貨一枚なら悪くはないだろうと、そう感じた。


しかし、俺自身に一つ問題があった。

俺は荷物を下ろし布を解くと、硬貨の数を数えた。

俺は元々銀貨十枚に、銅貨を何枚か持ってたはずだ。

だが、適正調査に五枚、通行証に三枚、そして宿に一枚、合計九枚も使ってしまっている。

改めて手元の硬貨を数えてみると、銀貨一枚と銅貨四枚しか残っていない。


圧倒的に金がないのだ。


俺は床に座り込み、どうにかして金を稼ぐ方法を見つけなければならないと考えるのであった。

まだまだ未熟者なので、表現や設定の矛盾、見ずらい部分等を指摘していただけると大変助かります。

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