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姫様!魔王様!  作者: 煌黒星
アリア王位奪纂
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第五十四話=目覚める寝坊虫

 姫様がそれをつぶやくと、ラルフの体が若干動いた。指が、ぴくんと跳ねた。それは何かしらの呪文だったりして……いや、ないでしょう。

  「……うん……?」

 しばらくすると、ラルフが目を覚ました。目をこすった後は、大きく背筋を伸ばして、やっと目覚めを迎えたようだ。

  「お前……!」

  「うわわ、お、お姉さん!?」

 この前、頭突きをくらわしたのはラルフで、今回はまさかの姫様だった。姫様が、ラルフを抱きしめた。

  「ど、どうしたのですか?どうしてお姉さんがボクを……」

  「いい、何も言うな。」

 質問を飛ばすラルフだが、姫様は答えるつもりはないみたい。ただ、静かに彼の頭をなでり倒すだけでした。

  「と、ところで、お姉さん……ここは?そして、あの方たちは?」

 強引に姫様を引き離す。後ろに居る衛生兵の皆様に疑問の的を集めた。まぁ、無理もないでしょう。

  「ま、魔王様、ようやく、お目が覚めましたね!」

  「え、ええ!?ま、魔王様!?ボクが!?いや、元々はそうかもしれませんけど、今は……うーーん!!」

 どうやら自分をいまだに魔王と思う魔族がいることに対して、あんまり信じていないようだ。

  「ここに居るのは皆、ラルフ、貴方を王と認めている方たちですよ。」

 簡単に、ざっくり説明した。

  「ええ!?ぼ、ボクを、ですか!?そ、それはうれしいのですが、カルカッサ兄上がいるんでしょ?どうして?」

  「それは追々と……さ、行くか。」

  「行くって、どこへ、ですか?」

  「わかっているんだろ?」

 そして静かに、レイチェルさんの剣を持ち上げてラルフに渡した。

  「カルカッサのやつに、とどめを刺すんだ。」

  「ええ、ええええ!?て、ていうか、どうしてレイチェル姉が!起きて、起きてくださいよ!」

 これは……しばらくは説明で頭いっぱいになりそうだ。


 何とかラルフに説明をした後、私達は前線から伝令のために戻ってきた兵士に会えた。伝令の内容は簡単だった。

(御大将捕まり、いつでも王位奪還できる)とのことでした。

 ここであえてチェレスさん自分がカルカッサを倒さないことは、簡単に言うとラルフに止めを刺させるためだろう。そうでもしなければ、王位を奪還できたとは言えない。と思っているのでしょう。

 まぁ、反逆者は、自分の手で処分しなければならないってのはなんとも魔族らしいことでしょう。

 ラルフを連れて、急いで玉座の間へ行こうとした。


………………

…………

……

  「おやおや、こんなところで眠っているなんて……」

  「誰か、居るんですか?魔王様たちはすでに……あ、貴方は……!」

  「いや、心配するな、私は悪意をもってここに来たわけじゃないんだ。」

  「な、何を言うのですか!貴方は……貴方のせいでこの国が……!」

  「それについては謝る。だが、必要なことだと理解してくれ。さてと、邪魔されたくないんで、出ていてもらえますか。」

  「は!?レイチェル様に、何をしようと……!ちょ、ちょっと、なんですか、この見えない壁は!」

  「ふぅ、さてと……そろそろ目覚めて、貴方の役割は、まだ終えていないんだ。」

 静かに、狂神がレイチェルの体に触れ、闇に蝕まれた心は、浄化された。

  「さてと、すぐに起きてくるから、彼女に急いで玉座の間に行くよう、伝えてくれよ。」

 そして、アレは突然に消えた。風が吹くと同時に現れた、そして風が吹くと同時にアレは消失した。まるで、最初からそこに居なかったようだ。


………………

…………

……

 急いで玉座の間についたら、そこには跪いて、足も腕も拘束されているカルカッサがいる。玉座の前に、跪いている。

  「アンタら、わかってんのか!?俺様は王だぞ、魔王だぞ!」

  「あーはいはい、それは聞き飽きたね。そろそろ観念してもらえないのか。」

 騒ぐカルカッサ、それを止めるのはチェレスさんだった。私たちの到着を見たらすぐにこちらに手を振った。隣には師匠も居る。

  「おーい、早く、こっちに来てくれー」

  「はい、わかりました!では、急ぎましょうか。」

  「……うん。分かりました。」

 若干いやそうに見えるラルフ、そして横顔しか見ていないけれど、寂しそうな姫様。やはり、ラルフと離れるのはいやなんでしょうか。

  「てっめぇ……ラルフ!俺様を殺そうとするのか!それで国民に理解を得られると思っているのか!?」

  「そうじゃないの、兄上。どうか、話し合いをして、くださいませんか。」

  「なんだ?今更……てめぇのせいで、数多くの国民が苦しんでいた。てめぇとてめぇが信頼していたグランさんのせいでな!」

  「……」

 それを言い返すことをしなかった。

  「国民はわかっているんだ、てめぇのせいで国がだんだんダメになっているって!そして、てめぇがちゃんとしなかったから俺様とリクリームは反逆の道を選んだ!」

  「……」

 相変わらず、静かに聞いている。

  「少しくらい言い返せやごら!」

  「いいえ、言い返しません。だって、事実ですもの。」

 現場に居るすべての存在が、驚きを隠せなかった。

  「ボクがしっかりしていれば、この国は、アリアこうならなかったでしょう。」

  「……はっ。」

  「だから、お願い。兄上も一緒にボクを支えてほしいの。兄上や、姉さん、そしてレイチェル姉と一緒なら、ボクは……」

  「……アンタ、それでいいのか?」

 質問を投げ飛ばすのは、カルカッサだった。

  「いいんです、ボクは本当の王じゃなくてもいいんです、ただ、ただ……!」

 そして立ち上がる。

  「ただ家族みんなで、楽しく生きていけて、国民のみんなも幸せに生きていけるなら、それだけでいいの!だから、お願い、お願いします、兄上。」

 拘束をしている兵士に解くよう命じた。すると、カルカッサは静かに立ち上がった。

  「……本当、甘ったるいだな、ラルフ。」

  「甘ったるくていいんです、みんなが、幸せに……」

 一瞬、空気が冷え込んだ。

 瞬く間に、ラルフが持つレイチェルの剣が抜かれた。引く抜いたのは、カルカッサだった。

  「甘ったるいんだよ、お前は……!」

  「――!!」


 突き刺される前に、カルカッサは体を貫かれた。

 ラルフに、ではなく、姫様でもなく、私でもない。ましてや一般の兵士なんてできるもしない、それをやったのは……

  「アンタは相変わらず頭が腐ってるな。」

  「チェ、レス……!」

 パタン!と、倒れるカルカッサ。

 カランカラント、落とされるレイチェルの剣。

 そして迎えたのは、やっとの勝利でした。


(つづく)

 この戦を勝ったのは、一体......どこの誰でしょう。

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