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姫様!魔王様!  作者: 煌黒星
アリア王位奪纂
32/68

第二十八話=王を継ぐもの

 扉は開かず、中に居る魔族たちの対話に参加することが出来ずにいるプリスティン達。参加は出来ないけれど、彼女らにはその対話の全部が丸聞こえである。そして、いきなり口を開いたのは、ゆうしゃだった。

「この方たちは一体、何を……?」

 驚きを隠すことは出来なかった。

 彼女達は、ラルフに王になることを、こんなに望んでいるとは。ラルフが姫様に攫われた時、レイチェルという方は、表はカルカッサに王にならせたけど、実はそれもラルフが帰ってくるまでの話?

「……」

 姫様と師匠は、一言も発さなかった。静かに、聴き続いた。

 中で、三人の魔族が対話を続いた。どうすれば「ラルフ」を呼び覚めさせるのを、彼女達は繰り返し討論をしていた。

 元々計画していた家族うちゲバ大作戦は失敗に終わったと、チェレスさんがおっしゃった。けれど、チャンスは一度きりではないことを、レイチェルさんが話した。そこで、ラルフは話を割って、僕にはそんな力はない!と、強く叫んだ。

 そんな話をしばらく続いたら、レイチェルさんが別の誰かと話をし始めたようだ。

「……申し訳ございません、作戦は、失敗に終わってしまいました。」

「はい……誠に、申し訳ございません。」

「分かりました、今すぐ戻ります。」

 どうやら、彼女が仕えている方と話しているようだ。その方はきっと、カルカッサでしょう。

 彼は思いもしないでしょう、自分の腹心が実は、自分の退位を望んでいるとは。

「じゃ、またいつもの方法で連絡する。」

「チェッ。わぁッたよ。じゃあな、レイチェル。」

 別れようとしたが、ラルフに引き止められた。

「本当に、行っちゃうの?レイチェル姉……」

「……ごめんな、ラルフ。」

 それだけ置き去りにして、レイチェルは恐らく窓から飛び出したんだろう。

 しばらくしたら、扉に掛かっていた魔法は解かれ、中へ入ろうとするとチェレスさんが出てきた。

「チェレス、さん……」

「あぁ、アンタらにゃあ関係ねぇ。さっきの話は聞かなかったことにしろ。」

「……ッ!」

 何故か、姫様は舌打ちをした。しかし、チェレスさんは姫様の舌打ちには反応せず、師匠に話しかけた。

「クリア、頼めるか。」

「な、何をです?」

「……いつものアレだ。」

「えー?いつものアレって、なんですか~?」

「チッ!良いのか、ダメなのかを決めたら、部屋に来いよ。」

「うん、考えておくね。」

 そしてチェレスさんに返されたのは、満面の笑顔だった。これは恐らく「YES」だったんでしょう。

 師匠とチェレスさんは旧友だってことは教えてもらったけど、どんな秘密があるのかはさすがに分からない。師匠に聞いてみてもどうせ教えてくれなさそうだし、いいか。

「プリス……あれ、プリスティンは?」

 姫様に話しかけようとしたら、いつの間にか消えていた。

「あ、あれ?姫様、姫様!?」

 そして慌て始める私。

 姫様はどこへ行った?何で急に何も言わずに消えた?

「まぁ、寝るときには戻ってくるでしょう。ほっとくか。」

「え、ええ!?ほ、放って置いていいんですか!?」

「まぁ、大丈夫っしょ。仮にでもプリスティンだし。」

「そ、そんな……!で、でも、姫様だし……」

 ちょっとした葛藤。しばらく悩んでラルフに聞いてみようと思ったら、周りにはすでに誰も居なくなった。


………………

…………

……

「ほうほう、これは面白いじゃねぇか。」

「何がです、神様?」

「チェレスの記憶は消したはずなのになぁ、どうして……まぁいい。それより、あいつはどこだ?」

「あいつとは、誰のことですか?」

「あいつ、あいつだよ!ほら、あいつだ!覚えているんでしょ?」

「分からないわ!アヤカちゃんはこの前の戦闘で壊れたんでしょ?アサカも、アオカも!どのドールの話をしているのかは知らないわ!」

「そう、だったんだね……アヤカ、アサカ、アオカ……ゆっくり眠れ。」

「何を言うのですか、私達ドールは、最初から命はなかったんでしょ。」

「そう言わないで、あなたたちは皆、私の大事な、大事な家族だから。」

「ふんだ。」

「やれやれ……しかたない、力を使って探すか。」

「……どこに居るんだ、『デュランダル』。私の生き人形よ。」

………………

…………

……

 声が、聞こえる。

 その声は、俺の名前を呼んでいる。

 プリスティン様、プリスティン様と……その声に、何故だか少し腹立つ。

 あいつが部屋から出てきてから、俺は外で一人頭を冷やしていた。さっき起きたことに、驚きを隠せそうにないから。

 あの部屋から伝わった声、ラルフ、チェレス、そしてもう一人の魔族……名前はレイチェルだったか。まぁ、どうでもいいか。あの声は、なんと言うか……腹立つようで、その同時に、何故だか心が安らぐ。

「あぁもう!!なんなんだよ!!!」

 シャッキ!ズサーと、剣を抜いて乱雑に振るった。頭ん中のすべてを、斬りたくて斬りたくて……でも、それは出来なかった。

「レイチェル……姉?」

 アンタは、一体……誰?


 深夜、チェレスの部屋にて。プリスティンが眠りについてから、クリアはこっちに移動した。約束のために。

 寝室の分配は、ラルフとゆうしゃが一部屋で、残りの二人がもう一部屋。ラルフと同じ部屋に出来なかったことに、プリスティンは若干不満げになっていたが、受け入れた。

 コン!コン!ココン!と、昔からの暗号でノックをしたクリアを、チェレスは扉を開いて迎え入れた。

「ははっ!やっぱきてくれるんだ、嬉しいぜ。」

「……」

 頬を赤く染め、モジモジしているクリア。恐らくゆうしゃであっても、こんなクリアを見たことはないでしょう。

「ささ、中、入れ。」

 周りに誰か居ないかを目をきょろきょろして探った。誰も居ないという答えを得た彼女は、急いで中へ入った。その後、パタンと、小さな音を立てながら扉を閉じた。

「単刀直入で聞く。」

「うん?」

 突然の質問に、チェレスは若干驚いた。

「『神』は、こちらへ来たこと、ありますか。」

「神?何の話だ?」

「神様の話によると、この前、リクリームを食い止めたのは彼だった……そのことについて、どう思う?」

「リクリームを食い止めた?……レイチェルなら何か知っているはず。それがどうした。」

「……」

 少しだけ沈黙をした。そして、クリアは話し続けた。

「アタシは、神を探しております。彼の名前を、貴女も聞いたことがあると思います。」

「ほう、それは誰のことだ?まさかとは思うが……」

「そうです、貴女方が目の敵にしている……」

「アマドリ=スー……?」

「その通り。彼についての情報を、持ち合わせておりませんか。」

 ここに来て、チェレスは急に剣を抜き、クリアに向かって構えた。

「あらあら、どうしたのですか、チェレスちゃん」

「テメェはなにもんだ!アタイのクリアちゃんは、『アレ』のことなんかを神と呼ばねぇはずだ!」

 しかし、クリアは剣を抜かなかった。ただ、ただただ悲しそうな顔をして、チェレスに言い続けた。

「……そう、かも知れませんね。でも、チェレスちゃん。」

「なんだ?」

「時間は、一人の人族を、容易く変えられるよ。」

「……」

 そんなクリアの言葉を聴き、目を見たチェレスは、剣を納めた。

「アレの情報が欲しいなら、レイチェルに聞いてくれ。アタイにはねぇんだ。すまんな。」

「いえいえ、いいの、いいの……」

 しかし、どこか、やはり目の中には孤独な光が光っているように、チェレスは思った。

「じゃ、そろそろ、始めようか。」

「……うん。」

 クリアの頬は急に熟成したリンゴのように赤く染められた。

 チェレスは、事前に用意されたボードゲームというものを取り出して、二人で遊び始めた。そのボードゲームには、二人だけのルールが施されており、それはとても人に言えないような特別ルールでした。


………………

…………

……

「ここは、どこだ……?」

 真っ赤な月の下で、一人の男が彷徨う。

 彼の体はボロボロで、精神ももうすぐ限界を迎えそうだ。

「グラン……俺は、お前を……!」

 己の両手を見て、男は嘆き叫んだ。

「グラン、グラアアアアアアアアン!!!」

 月の下で、彼はまるで狼だった。

 男の名前は「デュランダル」。狂神「アマドリ=スー」の、新たな操り人形。


………………

…………

……

 その日の深夜、ゆうしゃは再び夢を見る。奇妙な、奇妙な夢を、また見ることになる。


「よっ、どんな感じ?今。」

「これは、スー様ではございませんか。この前は失態を晒すことになってしまいまして、まことに申し訳ございませんでした。」

「あぁそれはいい。気にしてないから。」

「い、いいえ!そういうわけには参りません!どうか、私めに謝らせる機会を……!」

「しつこいのは、嫌いだぞ。」

 あれ?この人は、だれ?これは、夢ですか?

 私は、ゆうしゃ……なのに、目の前に居る魔族は私のことをスー様と……私は今、誰なの?それに、ここはどこだ?

「はい、畏まりました。では、本日はどういったご用件でございますか。」

 思い出した、目の前のこの魔族は、カルカッサだ!しかし、何で?何で彼が私にこんなに畏まっているの?おかしくないですか?

 ……つまり、今の私は、彼が言うスー様は、今回の事件の黒幕ということでしょうか。

「知っていると思うが、あえて聞こう。レイチェルの奴の動向は、知っているか。」

「レイチェル、ですか。それについては心配ございません、しっかり把握しております。」

「そうか。」

「ところで、本日は、ケン様は一緒ではございませんか。」

「見れば分かるだろ、私一人だ。」

 ケン様?ケン……?そして、スー……今、私が見ているのは一体……!?しかも、レイチェルさんのことも把握されているようだが、どういうこと?レイチェルさんは最初からラルフたちに協力的なのを、知っていたの?

「ふむ、良かろう。」

 少しだけ思考に陥ったが、再び口を開いた。

「私はおもちゃを探し出す、アンタらのやることは分かっているよな。」

「……はい、存じております。」

「それで良い。では、すべてはーー」

「神様の仰せのままに。」

 ッ!!

 この人は、やはり、チェレスさんたちが言う狂神「アマドリ=スー」だ!


(つづく)

 皆様、ご無沙汰しております。煌黒星でございます。では、本日も黒き星の導くままに。

 この一話は話が飛び飛びしてて、大変読みにくかったでしょうか。いいえきっとそうに違いない。誠にスミマセンでした。しかし、私的にはこの一話はどうしてもこのような形で書きたかったので、すみません、私のワガママに付き合ってくださいwww。

 では、次の更新日になるはずの6月21日まで、またね!

 以上です、煌黒星でした!

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