第十六話=先ずは情報収集
アリア帝国―公暦18年3月21日
「なぁ、これって本当に意味はありますの?師匠。」
「まぁまぁ、姫様が言ったことだし、たぶん、あるんじゃないかな?」
路地裏で、私と師匠は姫様たちの尾行をしている。
姫様の策はいたって簡単。姫様とラルフに先頭を立たせて、私と師匠は裏で姫様たちの尾行をする。意味?そうだね、分からない。
姫様は「こうすれば、俺たちの後ろに付いているゴミクズどもはアンタらに姿を晒すだろ。」と。
そんなで出てくると思わないけど、どうも姫様も、ラルフも、師匠まで賛成しているようだ。……一体どうすればいいのやら。
「おい、アンタ。」
「なんだ、俺に用か?」
突然に、姫様はある通行人に声を掛けた。そっと耳打ちして、姫様はその通行人を驚かせた。
「ばっ!お前、カルカッサ様にむっ!?」
まだ言い終えずにいるが、その魔族の青年の口を、ラルフが塞いだ。
「てか、アンタはおかしいとと思わねぇか?」
「な、なんのことですか?」
「どうしてラルフ王が急に死して、カルカッサが王になったのか。」
「そ、そんな!滅相もない!王族のことを疑うとかありえません!」
そして姫様は急に舌打ちをした。
確かに、姫様が舌打ちするのには納得する。私たちの国、エリハイアなら王に疑問を抱くのは当たり前。だがそれでも王に従うのが、私たちの国である。王に疑問を抱き、そして直接王に質問を投げかけて、質問を解消したら民からの信頼がさらに厚くなる。それこそが本当の国の有るべき姿なのではないのかな?
「お、俺は、べ、別にそんなことちっとも思わねぇし、よ、他所を当たってくれ!」
そして一目散に青年の姿が消えた。姫様がこちらに一目を配り、ラルフにこっちに来るよう命じたみたい。
「さっきは何があったんだ?」
「お姉さんは、街の人に謀反の企みを投げかけているみたい。」
「えっ、え!?」
「しーー!!」
思わず大声で叫んでしまった。
「で、でも、よくラルフだとバレないですね。」
「は、はは……ボク、ちょっと引き篭もり体質みたいでね、ほとんどの民はボクの姿を見たことがないんですよ。」
「なるほどね。さて、プリスちゃんがまた動き出したようだよ、行きましょ?」
「あっ、もう、まったくお姉さんは……」
シュタッタッタと、ラルフは姫様の後ろを付けた。
そんな事を何回か繰り返して、ようやく成果が出たのか。
「君キミ、ちょっといいかな?」
「あぁん?」
何人かの男が、姫様を囲んだ。剣を抜いて、姫様たちの助太刀に行こうかと思ったが、師匠に止められた。
「君は、カルカッサの野郎に謀反を企む、人族ですよね。」
「そうだが、文句でもあんのか?」
こっちでも感じ取れるほどの殺意を、姫様が出している。
「そ、そんなに怒らないで欲しいなぁ、ほら、こっちへおいで。」
「……何の真似だ?」
「俺たちも、キミと同じだから。」
一人の優男が姫様に話しかけた。その優男を見て、ラルフは大いにはしゃぎ出そうとした。
「リームお兄様!」
「しー!!ラルフ、こっちも狙われてるから、大声でその名前を呼ばないでくれ。」
「やはり!へへ、久しぶりですね、リームお兄様。」
「だーかーらー!まったく、お前ってやつは……」
姫様とラルフを囲んだ大勢の魔族が、ようやく道を空けて、姫様たちを導いたようだ。そして、そのリームお兄様って呼ばれた人は、私達にもついてくるよう伝えた。
やっと尾行が終わり、これ以上犯罪みたいなことをしなくて良くなった途端、今度はレジスタンスのアジトへとついていきました。
本当、勇者の名が泣いているような気がする。
………………
…………
……
「うーむ、これは面白い。」
「何が面白いのだ、スー。」
「ほら、プリスティンの奴がレジスタンスたちのアジトへ行ったよ?これはもしかしたら……」
「本当、お前ってやつは……これは明らかに外国の内政干渉じゃねぇか。しかも、そのレジスタンスたちは皆死刑になるのでは?」
「くっくっく、それが面白いんだよ。レジスタンスの魔族もそれを知ったの上でやってるんだろう。」
「まったく、お前ってやつは……」
(つづく)




