↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイレント・キラー  作者: 喜楽 一膳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/29

霊媒師清宮の完全無敵チャンネル

 あらかた予定していた目的を果たすと、心にポッカリと穴が開いたように、何かをやらねばならない衝動とエンジンのかからない車体とで、拮抗している。新しい目的が欲しいが、新しく何かが起きるのを待たねばならない状態が続く。仕方がないので、ブログの機能に備わっているメールを確認してみる。より大きな愛を伝えたい人や出版の打診をしたい人などが、この欄に集まるというわけだが、当然この私にかかる言葉など半分以上が罵詈雑言であるから、当然いわゆる”愛の言葉”などは届かないだろう。


「警告です!!!」


このようなタイトルのメールが届く。それを開くには勇気がいるのだが、馬鹿馬鹿しい事柄と向き合わねばならないという勇気だ。

 震えるカーソルの標準を”開く”へ合わせる。


「初めまして、私は以下のYouTubeチャンネルを運営しております。清宮でございます。」


その続きよりも、コピペされたURLに興味がそそられて、本文を最後まで読まずにクリックした。そこには、霊媒師清宮の完全無敵チャンネル、とある。サムネイルには、気の良いおばちゃんのような女性が映っており、白い衣装はまるで教科書で見た卑弥呼のようである。


「祓いたまえーー!!!」


動画を閉じて、元のメールを確認しよう。

 霊媒師として活動をしているが、気になることがあると言うのだ。


「あなた、悪い気に憑りつかれているわよ。それにあなたは気に入られて、近いうちに災いが起こる。」


これで信じろというのだから無理がある。荒唐無稽な言論ほど、極端な反応を招きやすいため、距離を置いて観察していたいものだ。それを織り込み済みであったのか、これから起こる事象を具体的に言及してくれている。


「信じていただくためにあなたの未来を見ます。外に出ると犬に吠えられます。」


そうであろう。吠えられるだけの人生を送ってきたのだ。しかし、それが未来視の説得力にはならない。


「ショッピングモールに行くと、あなたの高校時代のご学友にお会いできます。それは女性です。」


迷惑メールだろうとそのまま無視をして、ブログを閉じた。出版の打診もなく、数字を稼げたといっても簡単に製本化されるわけではないか。

 しかし、ショッピングモールと聞くと行きたいと思うようになった。目的を作ってもらったということで、先ほどのメールの件は良しとしよう。自転車で向かうには億劫であったので、電車を利用して揺られて行こうと思う。市内を走る電車は一両編成の地電であり、ベルをちんちんと鳴らして走ることから、ちんちん電車と呼ばれている。10分に一本のペースでやってくるが、これを待つのには苦労はしない。問題は、どちらの方面に乗ればよいかがイマイチわからないことである。

 

「お母さん、いつも乗ってたほうの駅ってどっちだったっけ?」

「え?川の方の駅が松山駅方面よ。だから川沿いの方。」


どこにいても踏切の音は変わらず、どこかへ向かう船の出港を絶えず伝えてくれる。交互に照らし合う赤色のネオンが、聞こえる踏切の警告音を強調している。黒と黄色の遮断機を越えれば、あの日と同じようにかなりの怒号が飛んでくるのだ。そうしてかつての友人が、学校全体で怒られていたのを静かに笑いながら見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。