第15章 アイドル仲間、遅めの昼ごはん2
やがて紬が、スプーンを持ったまま小さくリズムを取った。隣の莉音も、同じ速さで足先を動かしている。
「莉音ちゃん、今日すごく合わせやすい」
「私も思いました。いつもよりタイミングが合わせやすいかも」
「店の中で踊るなよ」
「踊りません」
二人の返事がきれいに揃った。
「今のも、合わせたのか?」
「違います。でも、やっぱりバフ飯の効果かもしれません」
「オムライスを食っただけだろ」
「ライブで確かめます」
飯を食う前から元気そうだったのに、何を確かめるつもりなんだ。
二人が食べ終えるころには、外の客の列も途切れていた。
莉音は皿に残ったケチャップまできれいにすくい、大盛りのオムライスを全部食べる。
「ごちそうさまでした。また来てもいいですか?」
「他の客と同じように並んでくれるなら、いつでも来ていいよ」
「次も大盛りにします」
「莉音ちゃん、次は私も大盛りにするから」
「おう、大盛り待ってるよ」
紬が俺のスマホを手に取る。
「晃一さん、今日のライブは公式ページで配信されます」
「勝手に触るな」
「配信ページを開くだけです。店が終わったら見てください」
紬が、公式ページのURLを登録した。
「見られたらな」
「見てください」
「うーん、まあ、出来るだけな」
紬は、満足そうにスマホを戻した。
「行ってきます」
「ライブ、うまくいくといいな」
「晃一さんが見てるんだから、必ず成功させます」
「いつも通りでいいんだ。平常心だぞ」
俺は、並んで出て行く二人を見送った。




