表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
31/67

第13章 眞子はいつも大食い1

 その日の行列が一巡したころ、店の扉が勢いよく開いた。

 入ってきたのは、赤い髪を短く切った背の高い女の子だった。がっちりしていて、肩で風を切って歩いてくる。


「晃一さん、またうちのパーティーメンバー連れてきたよ。面白い子だから、今日も撮らせて」

「まあ、いいけどな」


 天音が、後ろから現れて、そう言った。紬と里沙もいる。

 眞子は、ハートフルレイズの戦士だそうだ。出渕眞子。よく食べ、よく笑い、細かいことは苦手な子らしい。


「晃一さん、回鍋肉定食、十人前!」


 挨拶より先に注文が飛んできた。


「……十人前?」


 聞き返した俺の前で、眞子は胸を張った。


「あたし、今日めちゃくちゃ腹減ってるんだよね」

「めちゃくちゃにしても多すぎるだろ」

「昨日の夜から何も食べてないし」

「そういう問題か?」


 眞子は悪びれもせず、カウンター席にどっかり腰を下ろした。続いて、紬と天音が店に入ってくる。


「眞子ちゃん、本当に十人前?」


 天音がカメラを手に聞いた。


「本当に十人前。お前らには分けない。あたしが全部食べる」

「この後も、ダンジョン探索なのよ。大丈夫なの?」


 紬が眉を寄せる。


「大丈夫だって。おいしいものは、多いほうがいいじゃん」

「多すぎます」

「でも、ここの飯は絶品なんだろ?大丈夫だって」


 さらっと言うな。そう言われたら、こっちも頑張って作るしかない。

 天音はもう録画の準備を始めていた。


「今日は大食いチャレンジ回だ。これ、見たい人、多いと思いますよ。食べる前からもう面白いです。眞子ちゃん、十人前って言っても全然ひるんでない」

「本当に食えるんだろうな」


 眞子は笑いながら、まだ何も出していないのに箸を手に取った。もう止めても聞かない顔だ。

 俺はエプロンを締め直して、冷蔵庫から材料を取り出した。

 背中のほうで、紬が「食べすぎたら動けませんよ」と小声で注意している。眞子は「このくらい、いつも食べてくるから平気」と返していた。

 いつもから、この量なのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ