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第1章 ダンジョン定食屋開店!!3

 ダンジョン入居の登録窓口は、思っていたより静かだった。


 受付の机がいくつか並び、その向こうで職員が端末を操作している。探索者志望らしい格好の連中や出店希望の奴等が、順番を待っていた。飯屋開店希望の親父が一人まじっていても、案外浮かなかった。


「次の方どうぞ」

「俺です」


 前へ出ると、職員が書類を一枚よこした。


「地下1階で新しく商売を始める方ですね。職業確認と、簡単な適性確認をします」

「商売だけです。探索者とか戦う方は、ちょっと向いてないので」

「では、ステータスをオープンして下さい。目を閉じて、開きたいと考えれば大丈夫です」


 言われた通りにすると、目の前に薄い画面が浮いた。不思議だが、ここではゲームと同じような法則が働いており、自分にどんな適性があるか分かってしまう。


 画面には、探索者クラスなし、料理人と並んでいた。


 まあ、予想どおりだ。俺は飯を作るのが仕事だし、探索がしたいわけじゃない。


 その下を見て、思わず声が漏れた。


「料理人……スキルS」


 しかも、料理スキルはS。


「料理人で、スキルS……?」


 職員が目をぱちぱちさせる。


「それ、かなり珍しいですよ。普通、料理人スキルにそこまで出ません」

「いや、でも、俺はただの家庭料理が売りの定食屋だったんですけど」


「ただの、という数値ではないですね」


 数字で言われても困る。俺は母親から受け継いだ家庭料理しか出来ない。和洋中とこなすが、全部そこまで難しい料理ではない。しかし、端末の表示は何度見ても変わらず、料理人とSが並んでいた。


「料理人なら、料理が上手いのは普通じゃないですか」

「普通ではないから、Sなんです」


 職員が即答した。


 俺は首をかしげた。料理は母親のまねをして覚えた。火加減を見て、味を見て、客の顔を見て、少しだけ調整する。それをずっと続けてきただけだ。特別なことをしているつもりはない。


「まあ、いいです」


 職員は書類をまとめながら、少しだけ声を落とした。


「探索者クラスが無くても、地下1階なら定食屋はやれます。むしろ、その方が向いているかもしれません」

「そうですかね」

「ええ。少なくとも、今のスキル表示を見る限りは料理人が向いてると思いますよ。定食屋には勿体ないですが。」


 窓口を離れた俺は、さっき見つけた洞穴の店を思い浮かべた。許可は取れそうだ。これからは、あそこで定食屋を再開出来る。


 登録窓口の外へ出ると、頭の中で繁盛している自分の店を思い浮かべた。

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