第4章 配信に載る店2
食べ終わるころになっても、天音のスマホはずっと鳴りっぱなしだ。コメントが増えているらしい。店の名前を見て行くのを決めた、という話も混じっている。
「ほら、見て。神崎屋ってもう調べられてる」
「そんなにすぐか」
「リアルタイム配信、強いからね。今日のは、たぶん伸びる」
紬が皿を置いて、天音のほうを見た。
「伸びるって何」
「配信を見る人が増えて、ここに来るってこと」
「……それは困るような、困らないような。いや、ありがたいか」
俺は、頭をかいた。
「でも、おいしかったから、客が来るのは仕方ないわ」
紬は、得意げな顔で、そう言った。
「来るのは店にとってはありがたい」
「でも、人が増えると、晃一さんが忙しくなる」
「それが、何か問題でも?」
紬は不機嫌そうな顔をして、それ以上は何も言わなかった。天音は天音で、次の配信の話をしはじめた。
「ねえ、いつか里沙や眞子も連れてきていい?」
「他のパーティーメンバーか?」
「だって、みんな来たがると思う」
「来るのはいいが、他の客に迷惑をかけるなよ」
「じゃ、次は席取り合戦だ」
「だから、他の客優先だぞ。配信は余裕があったらな」
また妙な配信が始まりそうだ。
でも、店名が広がるのは悪くない。そう思いながら、俺はフライパンを洗った。まあ、悪くない気分だ。新しい店に、客を呼んでくれるのは、ありがたい。
明日から、ここを見つける人が増えるだろう。
こいつらの配信も、悪くはないと思い始めていた。




