28話 女がどれほど弱いか分からせてやる
薄暗いワンルームのアパートで、DV野郎はベッドに腰掛けたままスマホを握っていた。
体はまだ重く、特に顎と股間が鈍く疼き続けている。
少し動くだけで顔を歪め、息が荒くなる。
それでも、虚しい時間を埋めるように、彼はついSNSを開いてしまった。
指が止まった。
画面に映っていたのは、緋奈子の投稿だった。
職場復帰を報告する写真。
笑顔で同僚たちと並び、明るくピースサインをしている彼女の姿が、画面いっぱいに広がっている。
DV野郎「……っ」
胸の奥が、ずしりと重く沈んだ。
あの笑顔。
自分が知っていた頃の、怯えて目を伏せ、小さく縮こまっていた笑顔とは全く違う。
今は自信に満ち、生き生きと輝いている。
まるで自分が知らない別の人間のようだった。
DV野郎(心の中で)
(なんで……お前がそんな顔してんだよ……
俺のせいで会社を辞めたはずじゃねえか……
俺が……あんなに苦しめてやったはずなのに……)
スクロールを続けると、別の写真で朱莉と並んで写っている緋奈子を見つけた。
二人が赤い服を着て、楽しそうに腕を組んでいる。
キャプションには「大切な仲間と。これからも一緒に強くなっていきます」と書かれていた。
DV野郎「……朱莉?」
彼の目が細くなった。
指が画面を強く押しつける。
DV野郎「待てよ……朱莉も……元彼をやっつけたのか……
あの男も、俺と同じようにやられたってことか……」
胸の奥で、黒くねばついた感情がゆっくりと膨らんでいった。
悔しさ、怒り、屈辱、そして底知れぬ嫉妬。
DV野郎「ふざけんな……
2人して男を倒すなんて、生意気すぎるだろ……
女の分際で……俺たちを……」
彼はスマホを強く握りしめ、歯を食いしばった。
指の関節が白くなるほど力を込める。
DV野郎「朱莉の元彼……連絡を取ってみよう。
あいつと組めば……上手くいけば、最高の復讐ができそうだ」
画面を見つめる瞳に、暗く濁った光が宿った。
DV野郎(心の中で)
(何だかんだで、強いのは男だ。
弱いのは女。
本気を見せてやる……
今度は絶対に、泣き叫ばせてやる……
2人で一緒に、徹底的に壊してやる……)
スマホの画面に映る緋奈子の笑顔が、
DV野郎の歪んだ復讐心を、さらに激しく掻き立てていた。
彼はゆっくりと立ち上がり、部屋の隅に置いてあった酒瓶に手を伸ばした。
痛む体を引きずりながら、一口飲む。
苦い液体が喉を通り過ぎるのを感じながら、彼は低く呟いた。
DV野郎「……もう一度、教えてやるよ。
女がどれだけ弱いか、ってことをな……」
薄暗い部屋の中で、男の暗い決意だけが、静かに燃え続けていた。




