27話 襲うフラッシュバック
薄暗いワンルームのアパート。
DV野郎はベッドに横たわったまま、天井をぼんやりと見つめていた。
体中の痛みはまだ引かない。
特に顎と股間が疼き、動くたびに顔を歪めた。
DV野郎「……くそ……」
瞼を閉じると、フラッシュバックが襲ってくる。
——職場で女性社員たちに囲まれた瞬間。
「最低」「辞めて」「緋奈子さんに何してたの?」
「ひぎゃぁって叫んでたよね? 情けなさすぎ」
「ざまあみろ」
彼は耳を塞いでも、女性たちの冷たい声が頭の中で繰り返される。
DV野郎「う……うるせえ……」
プライドは完全にズタズタだった。
かつて「女なんて俺の言うことを聞いていればいい」と豪語していた自分が、今や会社の笑い者。
誰も近づかず、視線を合わせる者すらいない。
DV野郎(心の中で)
(なぜ……俺は殴ったんだろう……)
いつからだったのか。
緋奈子が社内で認められ、少しずつ出世し始めた頃。
俺が先輩として上だったはずなのに、彼女の評価が自分を上回り始めた。
それが悔しくて、腹が立って、引け目を感じて——
DV野郎「俺が……手を出すようになった……」
最初は軽い暴力だった。
それがエスカレートしていった。
彼女を支配することで、自分の優位性を保とうとした。
でも、それは全部、ただの弱さの裏返しだった。
今になって、すべてが後悔に変わっている。
DV野郎「……緋奈子……」
彼女の強くなった姿、赤いシャツを着てリングに立つ姿、
そして自分をぶっ飛ばしたアッパーカット。
DV野郎「俺はどうすればいい……
このままじゃ……一生……」
最後の逆転はあるのか。
もう、彼女に近づくこともできない。
職場にも居場所はない。
残されたのは、痛みと後悔と、底の見えない孤独だけだった。
DV野郎は枕に顔を埋め、震える声で呟いた。
DV野郎「……もう、全部……終わったな……」
部屋の中には、男の弱々しい嗚咽だけが、静かに響いていた。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
DV野郎が一人、薄暗い部屋で後悔と痛みに苛まれ、赤を怖がる姿を描きました。
かつて傲慢だった男が、プライドをズタズタにされ、孤独に震える——
このシーンは、私が最も「スカッとした!」と思いながら書いた部分です。
女性を傷つけた代償は、決して軽くありません。
緋奈子と朱莉が取り戻した強さと笑顔、そしてDV野郎の惨めな末路。
読んでくださった皆さんが、少しでもスカッとした気持ちになっていただけたら幸いです。




