25話 新しい私のはじまり
その後、数日が経った。
緋奈子は正式に復職が決まり、久しぶりにその職場に足を踏み入れた。
エントランスを抜けると、受付の女性が明るい笑顔で声をかけてきた。
受付「緋奈子さん! おかえりなさい!」
オフィスに入ると、驚くほど多くの同僚が集まっていた。
デスクには小さな花束と「おかえりなさい」のメッセージカードが置かれている。
同僚A「緋奈子さん! おめでとう! 本当に復職できてよかった!」
同僚B「おかえりー! 待ってたよ!」
同僚C「動画見てから、毎日『緋奈子さん、強すぎる……』って話してたんだよ。本当にカッコよかった!」
女性社員たちが次々と駆け寄り、温かい拍手が自然に沸き起こった。
緋奈子は胸がいっぱいになり、目を潤ませながら何度も頭を下げた。
緋奈子「ありがとうございます……本当に、ありがとう……みんなに心配かけて、ごめんなさい。
でも、もう大丈夫です。
強くなって、帰ってこれました」
部長も笑顔で近づいてきて、肩を軽く叩いた。
部長「よく頑張った。これからは安心して働いてくれ。君の席は、ちゃんと残してあったよ」
同僚D「ねえ、今日お昼一緒に食べようよ!
緋奈子さんの強さの秘訣、聞きたい!」
緋奈子は照れくさそうに笑いながら頷いた。
心の中が、温かいものでいっぱいだった。
(やっと……帰ってこれた。
みんなの前で、堂々と胸を張れる……
朱莉さん、ありがとう。私、ちゃんと強くなれたよ)
デスクに座り、赤いマフラーをそっと椅子にかけた。
以前と同じ場所なのに、景色がまったく違って見えた。
緋奈子(これが、私の新しい始まりだ)
オフィスに、温かい拍手と笑い声がしばらく響いていた。
長い戦いは終わり、緋奈子はようやく、自分の居場所を取り戻したのだった。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
緋奈子が職場に復帰し、みんなから「おかえり」と温かい言葉をかけられるシーンを書いている時、私自身も胸がいっぱいになりました。
長い苦しみの末に取り戻した「居場所」と「笑顔」。
彼女の嬉しさを、少しでも読者の皆さんに感じていただけたら嬉しいです。




