24話 女の敵を撃退
その日、DV野郎は激しい痛みで午前中を自宅で過ごしていた。
顎は腫れ上がり、口を動かすだけで激痛が走る。
股間は赤い靴で何度も蹴られたせいで、歩くたびに吐き気が込み上げた。
痛み止めを何錠も飲み、なんとか午後から出社することにした。
DV野郎「くそ……あのクソ女ども……
絶対に許さねえ……」
午後2時を過ぎ、会社に到着した瞬間から空気がおかしかった。
エントランスで数人の同僚とすれ違ったが、誰も挨拶をしない。
むしろ、明らかに距離を取って避けていく。
彼が自分のデスクに着くと、周囲の女性社員たちが集まり始めた。
女性社員A「……あの人、来たよ」
女性社員B「マジで来るんだ……信じられない」
すぐに数人の女性がDV野郎のデスクを囲んだ。
女性社員C「ちょっと、いい?
昨日、緋奈子さんの動画見たんだけど…本当なの?」
DV野郎「は? 何の話だよ……」
女性社員D「とぼけないで。
あなたが緋奈子さんに暴力を振るって、脅迫して、お金を取ってたって全部映ってたわよ。
情けなさすぎて見てられなかった」
女性社員E「しかも、リングでボコボコにされて、
泡吹いて気絶して……
あれ、あなたでしょ? ひぎゃぁって叫んでたの」
DV野郎の顔が一瞬で青ざめた。
DV野郎「くそぉぉぉぉ……!
なぜ俺が…こんな目に遭わなきゃいけねえんだよ!
あいつらが悪いんだろ!」
彼が声を荒げた瞬間、さらに女性社員たちが集まってきた。
女性社員F「あなたが悪いんでしょ!
緋奈子さんが我慢してたのに、ずっと苦しめてたんでしょ!」
女性社員G「会社のみんなに迷惑かけて、よく平気で出社できるね。最低すぎる」
男性社員たちも遠巻きに見ていて、誰も助け舟を出さない。むしろ、明らかに引いた視線を向けている。
DV野郎は汗だくになりながら立ち上がり、必死に言い返した。
DV野郎「うるせえ!
お前らに何がわかるんだよ……!」
しかし、その声は震えていて、説得力など全くなかった。
股間の痛みが再び襲い、彼は思わず前屈みになった。
DV野郎「ぐ……う……」
女性社員の一人が冷たく言った。
女性社員H「もう、会社にいらないよ。
早く辞めて。緋奈子さんが戻ってこれるように」
周囲から「そうだよ」「辞めろ」という声が次々と上がる。
DV野郎は完全に居場所を失った。
視線が痛い。
耳に響く非難の声が痛い。
プライドが、粉々に砕けていくのがわかった。
目頭が熱くなり、涙が溢れそうになるのを必死に堪えていたが、限界だった。
DV野郎「……くそ……くそぉ……」
彼は震える手で荷物をまとめ、泣きながらデスクを後にした。
同僚たちの冷たい視線の中、よろよろとエレベーターに向かう。
女性社員たちが見送る中、小さく囁く声が聞こえた。
「ざまあみろ」「やっと正義が勝ったね」「緋奈子さん、強かった……」
DV野郎は泣きながら早退し、会社を去った。
その背中は、かつての傲慢な男とはまるで別人だった。




