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23話 最大の復讐 ~職場で勝利の報告~

翌朝——


緋奈子は編集したUSBを握りしめ、以前自分がDVを理由に退職せざるを得なかった職場へと向かった。


胸には、赤いシャツを着ていたときの熱い気持ちが、まだ鮮やかに残っていた。


雪が溶け始めた朝の空気が、頰を冷たく撫でる中、彼女は静かに決意を固めていた。


職場に着くと、受付で以前の上司である部長に連絡を取った。


事情を簡潔に伝えると、部長は驚いた様子で声を低くした。


部長「わかった。すぐに会議室を用意する」


会議室に入ると、部長の他に人事担当者、総務責任者、そして十名近い同僚が集まっていた。 


皆が緋奈子の姿を見て、ざわめきが広がる。


緋奈子「突然お呼び立てして申し訳ありません。

実は、昨日……とても大事なことがありました」


緋奈子はUSBを差し込み、動画を再生した。


画面に映し出されたのは、貸切のジムでの決闘映像だった。


緋奈子が赤いシャツと赤いグローブを着てリングに上がるところから、DV野郎の傲慢な態度、激しい攻防、


そして緋奈子の強烈なアッパーカットで

男が倒れる姿まですべてが鮮明に記録されていた。


部屋が完全に静まり返った。


同僚たちが息を飲む音が聞こえる中、部長は最後まで真剣に見つめ、ゆっくりと頷いた。


部長「これは……かなり深刻な内容だ。

緋奈子さんがDVで退職せざるを得なかった理由が、はっきりとわかった」


人事担当者「映像も音声も鮮明です。これは立派な証拠になります」


すると、以前から緋奈子と仲の良かった女性同僚が、声を震わせながら言った。


同僚女性「緋奈子さん……すごいかっこいいよ……!

本当に、よくやったね……!」


その言葉をきっかけに、会議室に次々と声が上がった。


同僚男性「あいつ……マジで最低だな。

緋奈子さんが我慢してたなんて、知らなかった……」


同僚女性「部長! あいつを辞めさせてください!

こんな奴が会社にいるなんて、許せません!」


同僚女性「そうですよ!

緋奈子さんを辞めさせた張本人なのに、平然と出社してるなんて……」


同僚女性「緋奈子さんを、戻してあげましょうよ!

あんなクズのために、優秀な人が辞めるなんておかしいです!」


会議室の空気が一気に熱を帯びた。


多くの同僚が「緋奈子さんを戻そう」「あいつを辞めさせろ」と声を上げ始めた。


部長は皆の声を聞きながら、大きく頷いた。


部長「みんなの意見はよくわかった。


会社としても、この件は真剣に調査し、対応する。

DV野郎……つまり彼については、懲戒処分も視野に入れる。


緋奈子さん、よく頑張った。本当に、えらいよ」


人事担当者「復職の希望があれば、すぐに手続きを進めます。


条件も前より良いポジションを用意できると思います」


緋奈子は目頭が熱くなりながら、深く頭を下げた。


緋奈子「ありがとうございます……

みんなの言葉が、とても嬉しいです。

私は……もう一度、ここで働きたいと思います」


拍手が自然に沸き起こった。


同僚女性「やったね! 緋奈子さん、おかえり!」


緋奈子は涙を堪えながら、静かに微笑んだ。


緋奈子「もう、大丈夫です。私は強くなりました。

この動画は、私が自分で勝った証拠です」


その言葉に、部屋にいる全員が温かい拍手で応えた。


緋奈子は心の中で、静かに勝利を噛みしめた。


(これで……本当に終わった。あんたが勤めているこの職場で、私の勝利を証明できた……)


赤いマフラーを巻いた緋奈子は、職場を後にした。


雪が溶け始めた朝の街を、彼女は胸を張って、背筋を伸ばして歩いていった。


風が冷たいけれど、心は温かく、力強かった。


長い、長い戦いは、ようやく完全に終わった。


そして、緋奈子の新しい朝が、静かに、明るく始まっていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


このシーンはなかなか強烈でしたね。


女性読者にとっては「最高のスカッと展開」ですが、男性読者には少し辛く感じるかもしれません。


男女で反応が大きく分かれるからこそ、この作品の特徴が出ていると思っています。


もし読んでくださった感想がありましたら、ぜひお聞かせください!

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