20話 勝利の余韻 ~女の強さが証明された夜~
リングの照明が、静かに勝利を照らしていた。
緋奈子は赤いグローブをはめた手をゆっくりと下ろし、深く息を吐いた。
緋奈子「私……勝ったんだ!」
その瞬間、胸の奥から込み上げてくる感情が爆発した。
緋奈子(やった!! 嬉しすぎる!!本当に……自分で勝てた……!)
彼女の顔に、ぱっと明るい笑みが広がった。
朱莉がリングに上がってきて、温かい笑顔で緋奈子を抱きしめた。
朱莉「緋奈子さん、カッコ良かったよ!
本当に、本当に強かった!これでスッキリだね!」
緋奈子「ありがとう……!朱莉さん、ありがとうございます!私の気持ち、全部あいつにぶつけたよ!」
二人はリングの中央で、勝利の余韻にじっくりと浸っていた。
汗だくの赤いシャツが、リングの照明に優しく輝いている。
緋奈子「でもボコボコにしすぎちゃったかな……?」
朱莉はくすっと笑った。
朱莉「ちょうどいいくらいだよ。あいつが今までやってきたことの、ほんの一部でしかないから」
その時、リングの床でうめき声が聞こえた。
DV野郎「くそぉぉぉ……何で俺が負けるんだぁぁ……
俺の方が強いのにぃぃぃ……」
気絶から薄っすらと回復したDV野郎が、倒れたまま弱々しく叫んでいた。
顔は腫れ上がり、股間を押さえながら、情けなく体を震わせている。
緋奈子は冷ややかに見下ろした。
緋奈子「あんたの負けだよ!ちなみに、まだ復讐終わってないからね?」
DV野郎「な、何をするんだ……!?」
男の目が明らかに動揺で揺れた。
緋奈子「あたしに負けた証拠撮りますよ!あなたの弱い姿……皆に見せないとだね!」
DV野郎「それだけは……やめてくれぇぇぇ……!」
緋奈子「無理だよ!」
緋奈子はスマホを取り出し、倒れたDV野郎を冷静に撮影し始めた。
緋奈子「はい! チーズ!」
DV野郎「それだけは勘弁してくれぇぇぇ……!
たっ頼むぅぅぅ!!」
緋奈子「絶対無理!!私、徹底的にあんたをやっつけるって決めているから」
DV野郎「そんなぁぁぁぁ……
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」
緋奈子「今までの罪はしっかり償ってもらうよ!
女性に暴力を振るったこと、
お金を脅し取ったこと、
女を見下してたこと……全部!」
朱莉が微笑みながら近づいてきた。
朱莉「緋奈子さん、帰りましょう!もう十分だよ」
緋奈子「はい!」
二人はリングを降り、出口に向かいながら、最後に一言残した。
緋奈子「私たち、あんたは許さないからね!
女舐めんなよ!」
DV野郎「ひぃぃぃぃぃぃぃ……
助けてくれぇぇぇ……」
弱々しい男の声が、静かなジムに虚しく響いた。
朱莉と緋奈子は振り返ることなく、ジムのドアを開けた。
外は雪が静かに降り続き、クリスマスの夜の空気が冷たく澄んでいた。
緋奈子は深く息を吸い、夜空を見上げた。
緋奈子「やっと……終わったね」
朱莉「うん。お疲れ様。本当に、よく頑張ったよ」
二人は並んで歩き始めた。
赤いシャツと赤い靴が、街灯に照らされて優しく輝いている。
緋奈子「朱莉さん……本当にありがとう。
あなたがいてくれたから、私は強くなれた」
朱莉「私もだよ。緋奈子さんが頑張る姿を見て、私も勇気をもらった」
二人は笑い合いながら、雪の降る夜道を歩いていった。
後ろのジムには、完全に気絶したDV野郎が、リングの上で惨めに倒れたまま取り残されていた。
聖夜の夜に、長い間続いた恐怖と屈辱は、ようやく完全に終わった。




