12話 聖夜決戦〜リングに上がる瞬間〜
貸切のジムに、雪の降る音だけが静かに響いていた。
朱莉とDV野郎が会場であるジムに入ると、リングの近くでゆっくりとした足音が聞こえてきた。
赤いシャツと赤い靴を身に着けた緋奈子が、静かに現れた。
リングの照明の下、彼女の姿は鮮やかに浮かび上がる。
赤いコートを脱いだ瞬間、朱莉の赤いシャツと緋奈子の赤いシャツが、リングの上で重なり合った。
二人が対峙する。
しばらく、重い沈黙が続いた。
先に口を開けたのは、緋奈子だった。
緋奈子「今日は、来てくれてありがとう!」
彼女の声は緊張しているのに、どこか晴れやかだった。
緋奈子「プレゼントの決闘状……嬉しかった?
楽しいクリスマスにしようね!」
DV野郎は顔を歪め、低い声で唸った。
DV野郎「テメェ……覚悟できてるよな?
今日は、手加減しないからな!」
緋奈子は一歩も引かず、はっきりと言い返した。
緋奈子「あたしも、手加減しないから!本気で闘おうね!」
DV野郎「クソが……!」
緋奈子は深く息を吸い、改めて静かに語り始めた。
緋奈子「改めて、今日私があんたと決闘をする経緯を説明するね。
1つ。いつも私に暴力を振るうこと。
2つ。恐喝してお金を奪うこと。
そして3つ……女性をいつも見下していること!」
朱莉はリングの外から、力強く声を上げた。
朱莉「よく言った! 緋奈子さん!」
緋奈子「何か言い訳ある?」
DV野郎「くっ……」
緋奈子は静かに続けた。
緋奈子「もう、私は我慢しない。
あなたに殴られるために生きてるんじゃない。
私は、強くなりました。
このジムで、毎日練習して……
朱莉さんに教えてもらって……
今日、ここで証明します」
DV野郎は鼻で笑ったが、その笑いには少し動揺が混じっていた。




