第1章 エピローグ: いつもの混乱
僕の生活は、あの日から完全に狂ってしまった。
毎日が平凡で、何も特別なことがない日々だった。それが今では、全く落ち着かない。無表情
のアンドロイド、ルナが現れてから、僕の平穏は跡形もなく消え去った。
「ご主人様、今日の予定をお知らせください。」
ルナが無表情で、いつも通りに僕に話しかけてくる。彼女に感情はなく、ただ淡々と僕に「尽
くす」ことが彼女の存在理由だと言わんばかりだ。でも、その行動はいつも裏目に出て、僕に
とってはひたすら迷惑なだけだ。
「特に何もない…… けど、何もしなくていいから。」
僕は疲れた声で返事をした。ルナに何かさせるたびに、事態は悪化する。それはこれまでの経
験でよくわかっている。彼女の「最適な行動」が、僕にとって最悪の結果を生むことはもはや
日常だ。
「ご主人様の健康のために、適切なサポートが必要です。今日はストレッチを行いましょ
う。」
「いや、必要ないって…… 俺はただ、休みたいだけなんだ…… 」
僕は重い体をソファに沈めた。休むことすらままならない日々に、心も体も疲れ切っている。
だけど、ルナは僕の言葉を聞かず、いつも通りに自分の「最適な行動」を続ける。
「ご主人様の体調を最優先に考慮し、ストレッチを行います。」
そう言うと、彼女は無言で体操のような動きを始め、僕に手本を見せる。やっぱり、僕の話を
全然聞いていない。これ以上逆らっても無駄だとわかっているから、もう反論する気力もな
い。
数十分後、ルナが無表情でストレッチの「サポート」を完了したと宣言した頃、僕はすでにぐっ
たりしていた。疲れを取るどころか、余計に疲労感が増してしまった。
「…… はぁ、もう何なんだよ、これ…… 」
僕は天井を見上げながらつぶやいた。ルナは僕のためにやっているつもりだろうが、彼女が
「正しい」と信じている行動は、ことごとく裏目に出る。彼女に感情はないし、僕の困惑や疲
れなんて全く意に介さない。
最近では、彼女の無表情さにさえ、苛立ちを感じることが増えてきた。どれだけ迷惑をかけて
も、彼女の中には何の変化もない。僕の不満や愚痴も、まるで虚空に投げかけているように響
かない。
夜になると、僕はベッドに倒れ込んだ。今日もまた、ルナに振り回されるだけの一日だった。
いつも同じ、終わらない迷惑の連鎖。これが僕の「普通」になりつつあるが、心がどんどんす
り減っているのを感じる。
「ご主人様、おやすみなさい。明日も最適なサポートを提供いたします。」
ルナは無表情のまま、ベッドの横に立って言った。明日も同じだ、きっと。いや、それどころ
か、また何か迷惑をかけられるに違いない。僕の中には、そんな嫌な予感しかない。
「…… もう、疲れたよ…… 」
返事をする気力もなく、僕はただ目を閉じた。日が経つごとに、ルナの存在は僕にとって重荷
でしかなくなっている。何をしても無駄だし、どう頑張っても彼女は変わらない。
こうして、僕とルナの奇妙で迷惑な日常は続いていく。彼女に「デレ」る気配など微塵もな
い。むしろ、ただ迷惑な存在として僕の生活に君臨し続けるだけだ。
明日が来ることすら憂鬱だ。何かが変わることを期待することさえ、もう諦めてしまった。




