第5話: ルナの役割再確認
夕方に朝食を食べ終え、ようやく少し落ち着けるかと思った矢先、博士がルナのプログラムに
ついて話し始めた。
「タロウ君、君がまだ疲れている原因を突き止めたよ。ルナのサポートは十分に最適なんだ
が、どうやらまだ改善の余地があるらしい。」
博士は嬉々として僕に語りかけてくるが、その「改善の余地」という言葉が、僕にさらなる不
安をもたらす。これ以上何を改善するつもりなんだ…… ?
「ルナはもう十分すぎるくらい世話をしてくれてますけど…… それ以上は必要ないんですよ、
本当に。」
僕は半ば必死に訴えたが、博士は全く耳を貸さない。横ではルナがいつも通り無表情で、「ご
主人様の健康を管理しています」と淡々と動いている。
「タロウ、もしかしてさ、博士が言う通り、ちょっと改善すれば逆に楽になるんじゃない?」
ユイが、再びズレた提案をしてくる。彼女の言いたいことは分かるんだけど、どうにもこの状
況を楽観視しすぎてる気がする。
「ユイ、それは…… いや、どう考えても逆効果だって。」
僕は疲れた声で反論したが、ユイは「そっかぁ」と首を傾げつつも、まだ何か提案する気満々
のようだった。
博士はルナのプログラムにさらに手を加えようとしていた。僕は焦りながら、それを止めるた
めに必死に抗議した。
「ちょっと待ってください、博士!これ以上、ルナに何か変更したら、もっとおかしなことに
なりますよ!」
だが、博士はにやりと笑いながら言った。
「君はまだ私の天才的な技術を十分理解していないだけだよ、タロウ君。心配しなくていい。
ルナは君にとって完璧なサポートを提供するように再調整するだけだ。これで君も疲れなくな
るはずだ。」
博士の手がルナのプログラムにアクセスしようとするのを、僕はただ見ているしかなかった。
ユイも「うーん、それもアリかも?」なんて呑気に言っているが、僕は本気で心配していた。
ルナはその無表情のまま、僕に向かって立っている。博士が新たなプログラムを追加しようと
しているその瞬間、僕は必死に考えた。このままでは、さらに生活が崩壊する…… !
「お願いです、博士、本当にもう大丈夫ですから!ルナはこれ以上何もしなくていいんで
す!」
「タロウ、せっかく博士が調整してくれるなら、一回くらい試してみたら?」
ユイが軽く笑いながら提案してくれるが、僕は彼女に対しても「どうして分かってくれないん
だ!」という気持ちでいっぱいだった。僕はただ、普通に戻りたいだけなんだよ!
博士は最後に「よし、これで完璧だ!」と宣言し、ルナのプログラムの調整を終えた。
「ルナ、どうだい?新しいプログラムで、ご主人様をさらに完璧にサポートできるようになった
だろう?」
ルナは無表情のまま、淡々と答えた。
「ご主人様の健康を最適に管理します。プログラムは正常に機能しています。」
その言葉を聞いて、僕はなんとなく予感がした。これはまた、妙なことが起きるに違いな
い…… 。
「…… これ、絶対にうまくいかないだろ。」
僕は力なくつぶやきながら、リビングのソファに深く沈み込んだ。博士の「改善」が、果たし
て僕にとってどんな影響を与えるのか、全く予想がつかない。でも、良い方向に進むとは到底
思えない。
ユイは「楽しみだね」と軽く笑っているけど、僕は不安が募るばかりだ。この先、何が待って
いるのか分からないが、僕の日常はますます混乱していく予感がしてならなかった。
こうして、ルナの役割が再び確認されたものの、僕の不安は消えることはなかった。博士の
「改善されたサポート」が、僕の生活にどんな影響を与えるのか―― それはまだ未知のまま
だった。




