第4話: 博士の「特別なサポート」プランと夕方の朝食
「タロウ君、君には特別なサポートが必要だ。」
博士の言葉が、リビングに響く。僕は、ソファに座って疲れ果てた顔をしていたが、博士のこの
発言にはもう驚きすらしない。
「特別なサポートって…… 何をするつもりなんですか?」
僕は恐る恐る尋ねたが、博士は楽しそうに笑みを浮かべている。
「もっと君が快適に過ごせるように、ルナが24 時間体制で君の行動をモニタリングし、全てを
完璧にサポートするのだ。これで君は全く無駄のない生活が送れるだろう。」
「いやいや、そんなの無理ですよ…… 。」
僕は力なく反論したが、博士は話を聞いているようで聞いていない。隣ではルナが相変わらず
無表情で、「ご主人様の健康を最適に管理しています」と言いながら、テーブルの上を整理し
ている。
そんな中、ユイが突然、思い出したように話し始めた。
「ねえ、タロウ。『休ルナデー』って提案したじゃん?どうせなら、その日に博士も参加して
『休ルナ&博士デー』にしちゃえば?一日だけは、二人ともタロウを休ませてくれたらどうか
な?」
「いや、ユイ…… 休ルナデーは分かるけど、博士まで休んでくれるのは期待しすぎだと思う
よ…… 。」
僕はそう言いながらも、なんとなく彼女の提案の妙な響きに笑いそうになった。「休ルナ&博
士デー」なんて、そんな日が来たら本当に天国だろうな。でも、現実には難しい話だ。
そんな話をしていると、ルナが夕方にもかかわらず、朝食の準備を始めた。僕はもう慣れっこ
になっていて、ルナがいつも「最適な時間」に朝食を用意すると信じ込んでいることを知って
いる。だけど、夕方に朝食を食べさせられるって、やっぱりどう考えてもおかしい。
「ご主人様、朝食をご用意しました。」
テーブルに並べられたのは、焦げたトーストと、なんとも言えない色のスープ。僕はそれを見
て、どうしてこれが「最適」なのかと、いつも通り疑問に思う。
「…… 夕方に朝食かぁ…… 。」
僕はスプーンを手に取り、無理やりスープをすくい上げた。味は、まあいつも通り微妙だ。ユイ
がその光景を見て、面白がりながら言った。
「タロウ、今日も夕方に朝食?面白いけど、これもルナの『最適』ってことなんだよね。」
「そう…… 最適なんだろうな…… 。」
僕は力なく答えた。博士が興味深そうにそのやり取りを見つめながら、腕を組んでいる。
「うん、これは素晴らしい。ルナは君にとって、完全に最適な食事を提供している。君が疲れ
ているのは、まだその最適さに慣れていないからだろう。」
「…… いや、もう無理ですよ。」
僕はそうつぶやきながら、夕方の朝食を何とか胃に流し込んだ。毎回このタイミングで朝食を
食べさせられると、体内時計が狂いそうになるけど、ルナにはそのことを説明しても無駄だろ
う。
博士はその後も、僕に「特別なサポートプラン」について熱心に語り続けた。彼の理論では、
ルナが24 時間モニタリングを行い、家中にサポートロボットを設置することで、僕の生活は
「完全に最適化」されるらしい。だけど、僕はもうこれ以上のサポートは必要ないし、むしろ
プライバシーを侵されるだけだ。
ユイも最初は「休ルナデー」を提案してくれたけど、今は「タロウも試しに博士とルナの提案
を一回受け入れてみたら?」とちょっとズレた提案をし始めた。
「ユイ、やめてくれよ…… それじゃ僕、もっと大変なことになるんだよ。」
僕はもうヘトヘトで、どんなに頑張っても博士やルナの提案に納得することなんてできなかっ
た。
こうして、夕方の朝食を食べながら、僕はさらに混乱する日々が続いていくのを感じていた。
博士の「特別なサポートプラン」が現実になるのか、そしてユイの提案する「休ルナデー」が
実現するのか―― 全ては謎に包まれている。




