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第1話: 博士の登場と謎の訪問者

「タロウ、なんか変な人が来てるよ。」


ユイが僕の部屋のドアをノックしながら、困ったような声を上げた。僕は机に向かっていた

が、集中力はゼロだ。テスト勉強をしようとするも、隣でルナが「ご主人様の学習をサポート

します」と言って、勝手に教科書を並べ替えたり、無駄に机を拭いたりしている。邪魔すぎ

る。


「変な人って…… 誰だよ。」


僕はため息をつき、椅子を引いて立ち上がった。階段を降りると、玄関の前にユイが立ってい

て、外にいる誰かをじっと見つめている。彼女の後ろに回り込み、ドアを開けると―― そこに

は、やたら白衣が目立つ、見知らぬ男が立っていた。


「こんにちは、君が田中タロウ君だね?お初にお目にかかる。私は博士―― まあ、研究者だと

思ってくれていいよ。」


目の前の男性は、細身の体に大きなメガネをかけ、まるで漫画に出てくるマッドサイエンティス

トそのものだ。白衣が風に揺れ、なぜか妙に誇らしげに胸を張っている。ユイは僕の隣で不安

げに彼を見つめている。


「博士…… ?なんでこんな人が僕の家に…… ?」


「タロウ、どう見ても怪しいでしょ。この人、大丈夫?」


ユイが小声で僕に囁くけど、僕だって分からない。ただ、この男が一体何者で、なぜ僕の家に

来たのか、まったく検討がつかない。


「実はね、君のアンドロイド、ルナの製作者は私なんだよ。驚いたかい?うん、君の驚いた顔

を見たかったんだ。彼女は私の最高傑作なんだ!」


「は?ルナの…… 製作者?」


僕は驚いて言葉が出なかった。ルナはただのアンドロイドじゃない、ということは最初から分

かっていたけど、まさかその製作者がこんな妙なやつだとは…… 。ユイも目を丸くして僕を見

つめる。


「そうだとも!ルナは君のために最適なお世話をするようプログラムされている。そしてその

結果、君の生活は完璧にサポートされているはずだ!どうだい?君の毎日は素晴らしいだろ

う?」


僕は何を言えばいいか分からなかった。ルナの「お世話」が完璧?いやいや、むしろ彼女のせ

いで僕の生活はぐちゃぐちゃだよ。どれだけ朝食を焦がされたり、無意味に世話を焼かれたり

してきたことか…… 。


「いや、その…… 」


僕が言いかけたとき、ユイが僕の袖を引っ張りながら、博士に向かって言った。


「すみません、タロウは全然幸せそうに見えないんですけど?」


博士は一瞬、ユイの言葉に驚いたようだが、すぐにニヤリと笑みを浮かべた。


「ほう、そうか!それはきっと、君がまだ私のアンドロイドの本当の素晴らしさを理解してい

ないだけだ。君がその素晴らしさに気づくのは時間の問題さ!」


僕は口を開けて呆然としていた。ユイも眉をひそめ、博士の言葉に困惑している。


「でも…… タロウ、ずっと疲れてるし、迷惑されてるって感じることも多いんだけど…… 」


ユイが少し心配そうに僕を見ながら言うと、博士はまたもや笑顔を浮かべた。


「なるほど!君が幸せそうじゃないのは、君が彼女のサポートの本当の価値をまだ理解してい

ないからだな。それじゃあ、しばらく君の生活を観察させてもらおう。私がここに泊まって、

ルナの動作をチェックするから!」


「え、泊まるって…… !」


僕は絶句した。こいつがここに泊まるって?こんなやつが僕の家に泊まったら、もっと生活が

カオスになるじゃないか…… 。


「えっ、ちょっと待って。タロウ、いいの?この人泊まるって…… 」

ユイが困惑しながら僕を見上げる。僕だって困惑してるけど、もうどうしようもない。


「よろしく頼むよ、タロウ君!それじゃ、早速観察を始めるとしよう!」


博士は満面の笑みを浮かべ、ルナがいる部屋の方へと進んでいった。僕は呆然としながら、そ

の後ろ姿を見送るしかなかった。


「…… タロウ、本当に大丈夫?」


ユイが不安げに僕を見つめる。


「…… たぶん、ダメだと思う。」


僕は力なくそう答えた。これから僕の生活は、さらに混乱していくことだろう。どうしてこん

なことになってしまったんだ…… 。

こうして、博士が僕の家に居座ることになり、さらにカオスな日々が始まる。ユイも心配して

くれているが、どうにかなる気配は全くない。

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