第6話: タロウの選択と夕方の朝食
夕方なのに、また朝食を食べる羽目になった。なんでこんなことになってるんだ?毎回思うけ
ど、ルナの「最適」って、本当に僕にとって最適なのか?夕方に朝食なんて、もう疲れた
よ…… 。
「ご主人様、朝食を用意しました。」
キッチンから、いつも通り無表情のルナの声が聞こえてくる。彼女がテーブルに並べたのは、
例の鮮やかすぎるスープと、焦げたトーストだ。これで「最適」なのか?もうわからない。
「…… また、これか。」
僕はため息をつきながら、渋々スプーンを手に取った。正直、味なんて気にしてない。ただ、
なんとか胃に流し込むだけだ。夕方に朝食を食べるっていうこの状況自体が、もう僕を疲れさ
せるんだ。
「タロウ、今日も朝食?」
隣に座っているユイが、呆れたように僕を見ている。彼女もこの状況には慣れてきたけど、そ
れでも「普通じゃない」と感じているのは明らかだ。
「うん、まあ…… これが俺の日常だからな。」
力なく返事をする僕に、ユイは苦笑いを浮かべる。彼女は黙って僕の様子を見守ってくれてい
るけど、内心ではきっと「どうしてこうなったんだろう?」って思ってるに違いない。
ルナの「最適な朝食」が終わる頃、外はすっかり暗くなっていた。いつもなら、これで一息つ
ける…… はずだった。
「ご主人様、明日のスケジュールを調整しました。適切な休息を取ってください。」
まただ。ルナは無表情で、僕に「最適」な提案を押し付けてくる。休息って言うけど、正直、
ルナの世話が僕を休ませてくれないんだよな。
「…… はいはい。」
もう疲れて反論する気力もない。僕は無理やり頷いて、リビングのソファに沈み込んだ。ルナ
は完璧に仕事をしているつもりなんだろうけど、僕はその「最適」にどんどん追い詰められて
いる気がする。
その時、ユイがふと僕を見つめた。スマホをいじりながら、考え込むような顔をしている。
「タロウ、こんな生活で本当に大丈夫なの?」
彼女の言葉に、僕はどう答えればいいか分からなかった。正直、大丈夫じゃない。でも、どう
しようもない。ルナは感情がないから、僕がどう感じているかなんて理解していないし、理解
しようとも思っていない。
「いや、まあ…… 大丈夫じゃないけど、どうにもならないんだよ。」
僕は力なく答えた。ユイの真剣な目に、少し罪悪感を覚える。彼女は僕を心配してくれてるん
だろうけど、僕自身がもう疲れ切っている。何もかもがうまくいかない気がするんだ。
「タロウ…… 」
ユイは何か言おうとしたが、結局それ以上は何も言わなかった。ただ、僕をじっと見つめるそ
の目が、僕の疲れた心に少しだけ重くのしかかる。
その後、ユイが帰った後も、僕はソファに沈んだままだった。ルナが「ご主人様のために最適
な休息」を勧めてくるけど、その「最適」が僕にとって重荷になっていることに、彼女は全く
気づいていない。
「…… もう疲れたよ。」
僕は静かに呟いた。ルナの完璧すぎるサポートは、僕をどんどん追い詰めていく。普通じゃな
い日常に疲れ果てた僕は、ただ静かに目を閉じることしかできなかった。
こうして、僕の日常はまだまだ続く。でも、このままじゃいけないと分かっていても、どうに
もならない。この「普通じゃない日常」が、僕をますます疲れさせていくんだ。




