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野球と酒と女と男  作者: 熊出


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11/15

クライマックスシリーズセカンドステージ

「正味阪神に勝ったとしても、勝てるますかね、ソフトバンクに」


 悟が沈んだ表情で言う。

 三神は苦笑した。


「その前に、眼の前の試合に集中だ。阪神も油が乗ってる選手が多い……さらに、再来年のDH制度の導入に備えて外国人のテロスを入れている」


「守備難のテロス、ですか」


「短期決戦に強いと聞く。ミーティングで聞いたろ? 多分、出てくる」


 悟は俯く。


「日本一、なりたいなあ」


「リーグ優勝もできなかったけどな、来年の課題だ」


 バスは球場に到着した。



+++



(佐古田……)


 練習風景に佐古田がいる。

 彼も今やレギュラーだ。

 と言っても、本業の三塁ではなく外野で出場機会を増やした。


 内角打ちの上手さは本物だ。

 打数は少なけれど、打率二割八分に乗せている。

 二年目としては上々だろう。


「厄介な相手が増えたな」


 一ノ瀬が心中を察したように言う。


「あいつと秋田で同じ高校に居たんですよ。反則みたいなもんだ」


 ぼやくように言う。

 おかげで甲子園の出場機会はそんなに多くはなかった。


「それに、彼もな」


 もやっとする。

 高卒で大リーグに加入した双子の兄。

 人生のライバル。


 自分が遠回りをしているような、そんな気分になる。


「眼の前の試合に集中、な」


 一ノ瀬の頭に手を置かれる。

 彼からすれば悟も自分も変わらぬのだな、と苦笑した。


 試合が始まろうとしていた。

 相手ピッチャーは木下。

 今年頭角を表したピッチャーで、一点台の成績を叩き出す新進気鋭のピッチャーだ。



つづく

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