ピンチはチャンス!
「ウワーッ! やめて! エナジードレインはやめて!」
姉川に対する幽霊のエナジードレインは執拗に行われていた!
「早く背後にいる存在を言いなさい……早く答えないと彼女のエナジーを吸い尽くしますよ」
入江義秋は酷薄に笑った!
(このままだと姉川さんのエナジーが枯渇してしまう……くっ、背に腹は代えられない!)
春風は覚悟を決めた!
「背後にいるのは徳川理事長です……徳川理事長に幽霊騒ぎの調査を依頼されてきました」
「あのタヌキが黒幕ですか……まぁ、いいでしょう」
義秋の合図で幽霊はエナジードレインを止めた。姉川はがっくりとうなだれた。
「春風先生!」
美夜は不安そうな声を出した。
「姉川さんが無事が大切よ」
春風は力なく笑った。
「さぁ、私の知っていることを言ったから解放しなさい」
「……交渉は徳川理事長とします。人質は黙っていなさい」
「くっ!」
春風は歯噛みした!
◆◆◆◆◆
特別クラスの教室。名倉先生は教室の様子を見に来ていた。
「……誰もいない」
名倉先生は少し考えたあと、急いで図書館に血相を変えて向かっていった。
◆◆◆◆◆
図書委員の手により真治は医務室に運ばれ桜小路は付き添っていった。
「ここからが正念場ですね」
涼太はおそるおそる旧図書館棟を見渡し意識を妖力の残滓がないか集中した!
「……ここに上里さんたちの居場所ですね!」
涼太は迷いなく書架の一つにたどり着き、白紙の本を見つけ出した。
仕掛けは動き出し地下室の扉が開かれた!
「皆さん待っててくださいね!」
涼太は刀を強く握り地下室に入っていった!
「……ネズミが入ってきましたか」
入江義秋の繊細な感覚が侵入者を感知した!
それと同時にスモークボムが発動した!
あまりに早い仕掛けに入江義秋は目を白黒させた!
煙が晴れた瞬間、葉月涼太が入江義秋に刀を突きつけた!
「……入江義秋、大人しく人質を解放しなさい」
義秋の顔には焦りの表情が浮かんでいた!
「葉月さん……助けに来たんですね」
春風は涼太が助けに来たことに安堵した!
「……人質解放の交渉なら徳川理事長とならやりますよ」
涼太は義秋の言葉に無言で答えない!
「ほう……だんまりですか。会話を続けることによって油断させておいて妖術を仕掛けることを警戒しましたか?」
「……」
「なにか返事ぐらいしたらどうなのですか?」
その時、涼太は刀を振り義秋を斬った!しかし、義秋の姿は霧散して姿が消えた!
「これは……空蝉術」
涼太は一瞬で何が起きたのを理解した!
「よく気づきましたね」
虚空から入江義秋の声が響いた!
「フフフフフ……」
すると幽霊が大量に人質の周辺に集まってきた!
「刀を捨てなさい……さもなければこの人質たちをエナジードレインします」
義秋の無情な宣告に涼太は無言で刀を捨てた!
「いい子です」
義秋は満足そうな声を出した!
(くっ、やはり入江義秋のほうが一枚上手でしたか……しかし、本体を見つけ出す手段は考えてあります!)
涼太は静かに目を閉じて意識を集中した!
「徳川理事長を早く旧図書館棟まで連れてきてください……そうすれば人質を解放します。悪くない条件でしょう」
義秋の言葉に涼太は静かに地下室の暗がりに視線をやると無言でストレートパンチを浴びせた!
「グワーッ! な、なぜ、私の居場所を見つけ出しました!?」
「それはエコーロケーションを使ったからですよ」
「エコーロケーション!? 葉月さんそんな特技があったんですか!?」
春風は涼太のエコーロケーションに驚いた!
「エコーロケーションは解りやすくたとえにしただけで、かすかに残る妖力の残滓で位置を特定したのですよ」
「そ、そうだったんだ」
春風は涼太の言葉に感心した!
「もう少し待っててください……この妖術師を拘束してから拘束を解除しますから」
涼太はしめやかに義秋を拘束するのだった。




