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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第95話 土魔法を使う少女

 街を浮かべるための風の魔力のおおよその量は実験により分かった。

 当初は、僕とエアリスが協力しないとこの大きな街を宙に浮かばせることができないのではないかと思っていたが、必要魔力はエアリスの魔力だけでも問題なさそうだった。ただ、半永久的に宙に浮かべるための魔素爆発による上昇気流を起こすまでは、かなりの魔力が必要かと思われた。

 これはやってみるしかないが、先ほどの実験で、僕の魔力で問題なくできるという確信を得た。その影響で、小さな地震がこの街で起きたことは秘密である。

 また、誰かが誤って風の魔力供給位置で魔力を放出しないように、僕は土魔法でソフィアさんの銅像を作って、その場所に置いた。

 あくまでも、この措置は、非常時のものになるはずだ。

 いきなり、僕の家のホールの中心にできたソフィアさんの像は本人を驚かすかもしれない。


 ワイン造りを見に川の向こうの土地に来ている。

 ジャガイモと同じように土魔法で生育の手助けをしようとおもったのだ。しかし、見ると苗木の状態だったのが、既に小さなブドウの穂が出ている。上手く育てているとブドウ作りの農家の人に感心していると少女が出てきて、ブドウ畑に入った。

 何をしているのか、気になって見ているとブドウの木と話しているようだ。それから、彼女は、しゃがみ込むと、掌を地面につけて俯く。

 瞬間、ブドウの木の周りが光り輝いて、消えた。これと同じ作業をあたりのブドウの木に行い、疲れたのか、飽きたのか、家に戻って行った。


 その木に近づいて見てみると、ブドウの穂から花がでていた。少女が会話していたブドウの木はすべて花が咲いていた。よく観察してみると土魔法の残滓が残っている。僕の使う土魔法とは種類が違うようだ。

 興味が湧いて家を訪ねる。

 これが、ミレリアとの出会いとなった。


 ブドウ作り農家の家を訪ねる。

 以前会ったことのある小柄な偏屈そうな老人がでてきた。

 息子たち夫婦は醸造所の設備の調整を行っているとのことだ。老人に少女のことを聞く。彼女は老人が旅の女に頼まれた子供だと言う。病気で困っていた子供連れに宿を貸したら、迎えに来るからと言って、子供を残して旅だったという。それから、数年待っても迎えに現れず、捨てられた娘でないかということだった。

 いつまでもそこで独りで待つという娘を不憫に思い、ここまで連れてきたということだった。しかし、彼女は不思議な少女で、彼女が畑の作業を手伝うとその作物が早く大きく育つらしい。

 あくまでも、そう思えるだけで確信はないとのことだが、良い話を聞けたかもしれない。話が聞きたいので、その少女を呼んでもらった。


 ミレリアは見た感じ、顔つきが暗く、陰気な感じの少女で、鑑定すると彼女は土魔法の能力を持っていることが分かった。それもかなりの魔力量を持っている。

 しかし、僕が生まれた場所やお母さんのことを聞いても、

 「分からない」としか、答えてくれず、肝心の土魔法の使い方まで教えてもらうところまでいかない状況で途方にくれた。

 それで、ソフィアさんを呼び出した。

 老人とミレリアには状況を話し、気まずいながらもその場で待たせてもらうことになった。老人に言われて、ミレリアはお茶の用意をし、老人にワイン造りの方法と現在の醸造所の設備の進捗を教えてもらった。ブドウさえ取れれば、すぐにでもワイン造りができるように、最終調整をしているということだった。


 表に声がして、ソフィアさんがやってきた。エアリスも一緒だ。

 ウインドコムの魔法で状況は話しており、ソフィアさんは漠然と僕の意図を理解してくれている。ソフィアさんはあまりしゃべりたがらないミレリアの気持ちをほぐしているのか?少しずつ言葉がでるようになったようだ。

 それによると、ミレリアは意識して魔法を使っておらず、植物に話しかけるついでに、地面に植物が育つようにお願いしているということらしい。その作業を見てみたいと僕がソフィアさん経由でお願いすると、見せてもらえることになった。


 ブドウの木の傍にミレリア、老人、ソフィアさん、エアリスと僕と大人数で集まる。ミレリアがブドウの木に話しかけている。木の気持ちが分かるのだろうか?次に彼女はしゃがみ込み、地面に掌を付ける。僕は鑑定を使って、彼女の魔力の流れを見ている。

 ミレリアが一瞬光って地面に彼女の魔力が流れて行く。その魔力の流れがチッソ、リンとカリウムを引き寄せる。そして、それが魔力の拡散とともにブドウの根の周りに広がっていく。ブドウの木の根がそれを吸い上げて育つ未来が見えるようだ。

 しかし、残念なことに、一度しかその効果は表れず、僕の魔法のように絶えず集め続けることができていない。その方法を教えてあげたいが、僕が今話しても、警戒して聞いてもらえない可能性が高い。

 老人は初めて見るのか、驚いている。

 ソフィアさんが誰から学んだのかと聞いている。ミレリアは自分の母親だと言った。


 僕はソフィアさん経由でお願いして、彼女にもう一度、木に話しかけてもらうように、お願いした。僕は悪い事とは知りながら、彼女のステータスを鑑定で表示し、土魔法の項目のアースの項目を触った。

 ミレリアが木に話しかける。そして、しゃがみ込んで、地面に掌を付ける。

 魔法が発動した。


 僕はミレリアの使用した魔法を魔法ぶっくに定着させた。

 魔法ぶっくには、〝アース・ギャザー・スプレッド〟と記述されていた。同時に、魔法ぶっくがあるインベントリに違和感があった。アレクサンドライトの石が輝いて消えたように思えたのだ。

 ソフィアさんにウインドコムの魔法で、状況を説明し、もう一度、ミレリアに魔法を使ってもらうようにお願いする。ソフィアさんからミレリアにお願いして、ミレリアが再度ブドウの木に話しかけた。

 アレクサンドライトの石が輝いて消える。

 間違いない。

 彼女は僕と一緒に新しい国を作る人だ。

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