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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第94話 空飛ぶ街の構想

 現在の街の広さは、500m×500m四方である。

 これが街全体であり、これを空中に浮かすという無謀で大胆な構想をしている。浮かぶためには風の力だと思っている。実際作った車は風魔法による風の吹き出しで浮いて、進んでいる。浮くためには、風魔法による風の吹きだししか、解決する方法が浮かばない。


 崖の階段を下りてみて、崖の上5m程度のところで、500m×500m四方の鉄板を敷くイメージをして、掌をあてて土魔法を使う。

 「アース・アイアンプレート」


 街に戻り、できるだけ、既存の家を避けるように大きな魔法陣を描く。そして、その跡を土魔法で石畳の道にしていく。街の道、全体が魔法陣となるようにして、魔法陣の星の位置に共同浴場、学校、診療所、警察署、食糧倉庫を置いて、外周の円を現す円形の道も作った。

 そのため、街の構造としては不思議な道路になった。

 最後に、僕の住んでいる家を魔力の入力部とする。

 今回は、魔法インクの代わりに僕の血を薄めて使い、それぞれを魔力線でつなぐ。

 家にたどり着いた頃には、貧血と魔力欠乏で気分が悪くなった。そのまま、床に倒れ、死んだように眠る。


 目が覚めたら、傍に涙ぐんだソフィアさんがいた。

 夢かと思ったが、現実だった。

 起き上がった僕は、ソフィアさんからきつく怒られた。

 「王子、どんな無茶をしているのですか?指輪が反応するのに、呼びかけても答えがないので、心配して探していたら、床に倒れているのを発見して、びっくりです。

 駆け寄って、体を揺り動かしても反応がないので、死んでいるのではないかと心配しました。無理しないでくださいって、言ってましたよね。

 王子がいないとこの街は運営できないのですよ。もう、無理はしないって。私に約束してください」

 いつになく顔がきつくなっていて、不謹慎かもしれないが、こんなソフィアさんも可愛いと思ってしまった。

 ともかく、こんな時は謝るに限る。

 「申し訳ありません。夢中になり過ぎてしまって、魔力枯渇になってしまいました。少し、寝ていれば治ると思います。今後は、気を付けますので、今回は大目に見てもらえないでしょうか?」

 余計怒られると思い、貧血で頭が重く、気分が悪い事は僕は内緒にした。

 「王子、私は責めている訳ではないのです。王子がいないこの世界で私は生きていけないのです。だから、無理する時は私の心配する顔を思い出してください。良いですか?」

 「は、はい」

 「分かってもらえば良いのです」

 ソフィアさんは納得したようで、いつもの笑顔になった。

 とりあえず良かった。


 その後、僕は、気分が悪いのを隠しながら、ソフィアさんに空飛ぶ街の構想を話した。その話にソフィアさんの目が輝く。

 「王子、それは凄い考えですね。そうなれば、襲撃や戦争による略奪や殺戮から逃れることができますね。それを少しずつ作っていくのですね。素晴らしいことだと思います」

 ソフィアさんが嬉しそうに話す。

 そんな彼女の笑顔に水を差すように僕は答える。

 「いえ、もう作ってしまいました。さっき倒れていたのはそのせいです」

 「えっ、どういうことですか?それだけの設備がもうできているのですか?」

 「はい、この床、変だと思いませんか?」

 「そうですね、昨日までの白黒の市松模様の床ではなく、魔法陣のように大きな黒い丸から線が出ているような幾何学模様になっていますね」

 「その通りです。この床は魔法陣の魔力入力部で、街全体に風魔法の魔法陣を書き終わりました。これから、実験したいのですが、風の魔力を使うエアリスの協力が必要です。彼女を呼んでもいいですか?」

 「良いですけど、危険なことはないですよね」

 「勿論です」

 と、僕は嘘をついた。どれくらいの魔力が必要かは分からないので、風の魔力が枯渇して魔力欠乏状態になる可能性もあり、危険が全くない訳ではないのだ。しかし、彼女の協力がないと、今の僕の状態の魔力では街が浮かないと思っている。

 「彼女はどこにいますか?」

 「学校で子供達に数を教えていますよ。子供も少ないので、自習にすれば時間もとれるはずなので、呼べば来ると思います」

 「分かりました」

 僕は学校の方に向けてウインドコムの魔法を使い彼女を呼び出した。


 「何の御用でしょうか?」

 エアリスが来た。僕はこの街に風の魔法で浮かす実験をしたいと言った。

 「私は何をすれば良いですか?」

 「僕と一緒に、この丸い位置に立って、風の魔力を放出して欲しい」

 「分かりました。簡単ですね」

 準備が整った。

 「ソフィアさん、これから実験しますので、家の外にでて街がどうなるか、見ててもらえませんか?そして、状態を指輪で伝えて下さい」

 「分かりました」

 と言って、ソフィアさんは外へ出た。

 「じゃ、エアリス、準備はいいかなぁ。行くよ。さあ、魔力を放出して!」

 僕とエアリスは丸い円に立って、風の魔力を放出し始めた。

 ソフィアさんがウインドコムで情報を伝えてくる。

 「変化ありません」

 「変化ありません」

 「……」


 「エアリス、もう少し、強めに魔力を出して」

 と僕が言うと、エアリスは顔を真っ赤にし始めた。かなりの勢いで魔力が流れて行く。僕もそれに合わせるように魔力を放出する。

 「変化ありません」

 「変化あり、ます。ブドウ園へ渡る川に架けられた橋が少し斜めになりました。このままでは橋が壊れます」

 「ソフィアさん、ありがとうございます。実験は成功です。これからゆっくり下ろします。エアリス、魔力の放出を止めて」

 僕はエアリスに魔力放出を止めさせ、僕自身の魔力放出で調整しながら、街を静かに着陸させた。

 「エアリス、ソフィアさん、実験が終わりました。これでこの街は守れます」

 実験成功の高揚感に、僕は貧血気味の気分の悪さがなくなっていく気がした。

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