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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第89話 塩をつくる

 なんでも揃うお店を作りたい。

 本来は、フローラさんが作るはずのレバークレーゼン商会の支店の横に作るはずのこぢんまりとした店舗を大きく作りたいとロベルトさんとソフィアさんに話した。

 また、機材のデモンストレーションも問題なかった。

 しかし、課題は人だ。

 お店となるスーパーマーケットを運営する人がいない。

 残念だが、しばらく諦めるしかない。

 配給制はまだ続くという事か?


 裏の畑の作物は順調に育ち、ジャガイモ、トウモロコシは収穫時期を迎えている。ジャガイモは掘り出してみると、栄養状態が良いのか、直径10cm程度のかなりいい芋になっていた。

 どうやって食べよう。

 やっぱり、茹でて塩とバターで食べるのがいいのか。

 塩か?

 砂糖はできそうだが、生活に必要な塩の自給ができていない。

 塩であれば海から抽出するか?

 それとも塩山を探すほかない。

 塩山は鉱山付近の探索でも見つからなかったから無理だろう。やはり、海を探すほかないのか?

 探すとしたら、この街の川から滝になっている先の世界が海につながっている可能性にかけてみるのも良いのかもしれない。


 川から海をたどるには滝壺まで下りていく必要がある。

 土魔法で滝壺まで階段を作り、川そばまで下りてきた。

 川自体の流れは緩やかだ。

 船着き場のような広場を作る。この川の水が何処まで続いているのか、また、同じような滝がないか、分からないと不安でしょうがない。

 掌を水につける。

 手の先から水魔法の魔力線を川の水に流し、川の状況を調べてみる。

 魔力線はゆるく蛇行しながら進んでいき、滝のような高低差もなく、塩成分を見つけた。この川を下れば、海があるらしく、その距離は意外に近いと判断した。

 船で降りて、海から海水をインベントリに保管して持ってくる方法も考えたが、船を作る時間や船が座礁する可能性、途中で発見される可能性もあって、船を使う方法は時期尚早と判断した。

 魔力を膨大に使用するが、水魔法でチューブ状の膜を作り、それを川で流して海まで到達させることにした。

 そこから、海水を吸い上げることにした。そして、海水を貯める大きさ25m×25m×2mのプールを作った。


 「ウォーター・イクステンド・チューブ」

 掌から1cm程度の水魔法のチューブが伸びていく。

 先ほどの調査では感じなかった魔力の減少が分かる。

 長い時間がかかったように思うが、塩成分を見つけた。

 汽水域かもしれず、念のためにその先までチューブを伸ばす。

 塩成分の濃さを感じて、チューブの延長を止め、チューブの先を開き、チューブ内で魔素を活動させ、少しずつ海水を上流へ吸い上げる。それに併せて、魔力も次第に減っていく。次第に、海水が集まってきた。プールに八割程度溜まると吸い上げる魔力を停止し、水魔法のチューブを開放する。


 このプールから水成分を取り除くように、水魔法を使う。

 「ウォーター・セパレート・ピュア」

 海水プールから水が取り除かれ、川に流れて行く。そして、プールの底にキラキラ光る白い物質が残った。

 「やった。塩が作れた」

 僕は樽を作り、樽に塩を詰め込んだ。

 五樽できた。

 インベントリに保管する。


 ロベルトさんとソフィアさんに塩ができたことを話す。やっぱり、驚いた顔をしていた。それと、とってきたジャガイモを見せる。

 「これを食べるのですか?」

 ソフィアさんが言う。

 「はい、これはジャガイモというのですが、小麦ができない地域で主食となる食べ物です。これは蒸かしてそのまま食べても美味しいし、揚げても、煮込んでも美味しい食べ物です。

 しかし、食物として扱うには取り扱いが難しいのです。芽が出ていたり、陽に当たって緑になった部分を食べるとお腹を壊すので、その部分は取り除く必要があります。

 調理に癖があるので、この世界では主食となっておらず、家畜のえさになっていると思っています。しかし、調理の方法さえ間違えなければ本当に美味しく、腹持ちも良いので、良い食べ物だと思います。

 調理ですが、僕がやってみますので、改善点があれば少しずつ改善していきましょう」

 と、彼らを三階の実験室に招待して、僕はジャガイモを魔法水で洗い、少量の水を入れた鍋に放り込む。火魔法で鍋全体を包みながら高温で温めて蒸す処理の代わりとする。

 また、ミルクを瓶に入れ、何十回か分離するまでシェークして脂肪部分を取り出し、今回作った塩を混ぜて、簡易バターとして皿にのせた。

 さらに、ジャガイモの皮をむき、小さなサーキュラーブレードで横スライスして、チップ状にする。

 一方、スライスではなく、食べやすい大きさで切って、フライドポテト状にする。

 今度は、油の試作で作ったトウモロコシ油を入れた鍋を温め、ポテトチップス、フライドポテトを揚げていく。揚がったら、網状の金属パレットに移していく。全て揚げ終ったら、作った塩を軽く振って、完成。

 試食してもらう。

 「揚げたもので、薄いものはポテトチップス、縦長のものはフライドポテトと言います。チップスは乾いた感じで食べやすくしており、フライドポテトはポテトの触感を残しています。どちらも塩味で食べます。また、蒸かしたジャガイモには、皿に作ったバターをのせて、バターと一緒に食べてください。感想を聞かせてください」

 「このチップスはパリパリと食べられてご飯じゃなくてもいけますね。エールとかワインとか一緒に食べると最高かもしれません」

 とロベルトさん。

 「フライドポテトは小腹が空いたときに良いですね」

 と、エアリス。

 「蒸かした芋は熱々で、バターがとけて、ミルク風味と塩味が食欲をそそります。これはパンとの付け合わせでも良いし、パンがなくても良さそうです。とにかく美味しいです」

 と、ソフィアさんが言う。横でエアリスがパクパクと頬張っていく。リスか?これは無言の美味しさの表現なのだろう。

 「良いですね。ジャガイモ。美味しいです。これを増産することができれば食料不足にも対応できます。王子できますか?」

 「大丈夫です。やりましょう。世話をする人を用意していただけますか?また、ジャガイモ料理のレシピを開発してくれる人も用意していただけますか?」

 「人に関しては任せてください。王子のおかげで街への移住者も順調に増えていますので、後でソフィアの元に送ります。ソフィアから連絡があるのを待っていてください」

 「分かりました。順調に人も増えていくのは良い事です。そのうち、スーパーマーケットも運営していく人もいたら紹介してください」

 僕が言うと、

 「うーん、そちらの方はレバークレーゼン商会からの紹介が早そうです。計算スキルと運営スキルが必要ですので、しばらく待っていただく他ないですね」

 困った顔でロベルトさんが答える。

 「ところで、病人やけが人は門の前に並んでいますか?」

 僕はロベルトさんに尋ねた。

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