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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第84話 神の奇跡

 ロベルトさんから、定例で待っている病人の対応を促され、今日も五人を目途に若い人を中心に選ぶつもりでいる。

 帰ってもらう人も多いはずだが、住人になった家族や治った人の評判が呼んでいるのか、待っている患者の人数は減るどころか、増えてきているように思え、テントが村の外に立ち始めた。

 また、その順番待ちの場所とりで金をとったり、患者として選ばれるためにはどうすれば良いかとの指導料金をとっている者も出てきたらしく、ロベルトさんとどうするものかと議論したが、逆に、取り締まって、大騒ぎになるくらいなら、このまま放置するのが良いと判断した。

 待っている住人が先に並んでいても、僕が鑑定で重症患者から選んでいくので待つこと自体は無意味なのだが、おとなしく待ってくれているのは助かる。

 命の重さは皆等しくかけがえのないものなのだが、選ぶという作業が選ばれなかった人を差別するような気がして気持ちが良くない。それに、あまりにも長くテントとか野外で生活すると衛生面でも別の病気が蔓延することも考えられ、この状況が続くのも良くないと思われた。


 それで、ロベルトさんに相談して、神の奇跡として、エリアヒールをかけてしまうのはどうだろうということを話した。一旦、この場を解消するためには仕方がないということでロベルトさんも納得した。

 しかし、ソフィアさんは僕が全面的に目立つのは得策でないという。気休めかもしれないが、僕は無理やり村長の服を着せられ、髪に白い灰をまぶして髪をぼさぼさにした変な老人の恰好で待っている人々の前に立つことになった。僕は喋らず、ロベルトさんが皆に語り掛ける。


 「皆さん、今日は、この村の領主代行のロベルトです」

 ロベルトさんが皆の前で、話し始めた。

 「皆さんの中で、病気の方はここに集まってください。このお方が治してくださいます。

 そのうえで、二つの約束をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。

 一つは、治ったら、速やかにこの場所を退去していただきたいのです。この土地は道であり、住むように作られておりません。糞尿の処理もひどく、新たな病気が発生するのも時間の問題です。もし、この村に住むことを希望されるのなら、村または街から移動証明書を持ってきてください。その証明書があれば、この村の住人となることも検討できます。

 ふたつ目は、難しいと思いますが、ここで起きたことは内緒にしてください。その噂を聞いた新たな病人が集まれば、今以上に、この村の活動が止まってしまいます。そうなれば、ひとつ目でいったような皆さまの受け入れもできなくなります。

 よろしく、お約束厳守お願いします。

 よろしいでしょうか。

 では、ご病気の方はできるだけ一か所にお集まりください」

 ロベルトさんが僕の方を向いたので軽くうなずく。ロベルトさんが続ける。

 「皆さん、集まっていただけましたか?いきますよ」

 『王子、お願いします』

 と、ロベルトさんが手を挙げる。僕は、エリアヒールを唱える。

 「エリアヒール」


 ヒールのイメージに具体性がないので、どこまで、回復できるか分からないが、僕にできる精一杯のあらゆる回復治療の呪文を唱えた。その後、彼らを綺麗にする。

 「クリーン」


 まばゆい光が患者やその周りの人を包み、やがて消える。その次に、クリーンの呪文の淡い光が静かに降り注ぎ消える。

 しばらくして、

 「治っている」

 「もう、痛くない」

 「傷がなくなった」

 「指が生えてきた」

 なんか、変な言葉もあるが、とりあえず、皆、喜びにあふれている。

 それから、自然に、うおっーという大きな叫び声が上がる。それと同じようなどよめきが続いている。


 ひとしきり続いた歓喜の声も消え、テントもなくなりつつある。三々五々に帰っていった。帰っていく彼らにロベルトさんの声が響く。

 「この街の住人になるには移動証明書を持ってきてください。あと、この街で起こったことは内緒にしてください。繰り返しますよ。絶対、喋ってはいけませんよ」

 なんか、これはフラグが立った気がする。

 彼らが去った場所に再度、浄化の魔法をかける。

 「クリーン」


 綺麗になった村の前が寂しい感じになった。僕らはその光景をしばらく眺めて、村の門を閉め、しばらくは静けさが訪れることを信じて、僕らは街に帰った。

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