↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/92

第46話 甘酸っぱい親心を編集

 朝ご飯である。食卓につく。オルフェス先生とマチルダさんだけがいる。アンナさんはまだ機嫌が直らず、ソフィアさんは引っ越しの準備中だということだ。


 昨夜はライトの魔法陣の空間定着がうまくいったことで何回も繰り返してしまった。発動もスムーズになり、屑魔石を集めて使う魔石ボックスも用意して、連続動作させる時間を延ばす方法も考えた。ただ、あくまでこの方法は、使い捨ての魔法陣としての実験的な意味合いが強い。最終的には石盤の魔道具を作るべきであろう。食事の前にオルフェス先生に報告する。

 「風魔法で作成した円盤状のヒカリゴケのスクリーンを作って、ライトの魔法陣を定着しました。魔力がキラキラ光って魔法陣を流れていくのです。その結果、ライトの魔法が発動しました。こんな感じです」

 「定着」

 と呟き、肉眼では見えないライトの魔法陣を食卓上に作成し、魔法陣の中心核位置に魔石ボックスを置く。ほどなくして、天井近くにライトの明かりが灯る。陽の光もあって分かりにくいが、確実に別の光源からの光が食卓を照らす。

 「魔石ボックスも作成しましたので、魔石を交換すれば、連続点灯も可能となります。魔石ボックスは最大五個の魔石が並べられるようになっており、色が透明になったものから取り替えてください。何度か、実験してみて分かったのですが、魔法陣自体は魔力が流れ始めると維持する別の魔力は必要ないようです。また、一度、覚えた魔法陣は定着という呪文で再現可能となりました」

 昨夜の実験結果の成果を披露した。

 「凄いですね。実験的な要素は大きいですが、空間に魔法陣を描いて、その魔法の効果を出す手法は、新しい魔法の世界が広がるような気がします。家族には、もう、王子のやることに驚くことはやめようと言いましたが、やはり、目の当たりにすると驚愕してしまいます。私は思うのですが、王子は魔法の世界を広げていく人なんですね。それについていけない古い魔術師は淘汰されていくのかもしれません。私も努力しますし、当然、妻も娘たちも王子に導いていってもらいたいとあらためて思います」

 と、オルフェス先生は自分を納得させるような話ぶりで会話を引き取った。

 「王子は好きなことを好きなだけやってください。その方が、王国建国の早道かもしれません。資金は後からついてきます。また、ソフィアの部屋の引っ越しもありますので、食後はお手伝いお願いします。王子は、引っ越しが終わったら、いつでも出かけられる準備をしていてください。私は今日の謁見に向けて準備します。また、謁見時に魔法を使う機会があった場合は私が指示するまで自重をお願いします」

 いつものようにオルフェス先生は言うだけ言って出ていった。残ったマチルダさんからは、

 「王子、この光、シャンデリアみたいにキラキラ出来ないの?キラキラ出来たら、貴族の屋敷のダンスが華やかになるから、引っ張りだこかもね。考えといて。それとクリーンの魔法をお願い」

 「クリーン・ウインド・ウォーム・低」

 マチルダさんの体が淡く光って消える。

 「やっぱり、王子のクリーンが最高だわ。あと、ソフィアを置いていくけど、アンナみたいに泣かしてはダメよ。責任とってもらいますからね。ふふっ」

 含み笑いをする。

 「アンナもそうだけど、ソフィアも学院の中だけで育った世間を知らない娘なの。オルフェスも私も、どこに出しても恥ずかしくない女性となるように彼女たちを育ててきたつもり。オルフェスは王子のやることはすべて認めると思うけど、私は違うわ。娘たちを不幸にする人は許せない。それだけは覚えておいて」

 いつにないマチルダさんの真剣な言葉に戸惑う。魔法を使った後の高揚感が一気にしぼんでいく。その気持ちが表情に出たのか、

 「王子は誠実な人だと分かっているの。ただ、約束してください。私達家族を悲しませないって。ちょっと私の方をちゃんと見て言ってください。もっと、近くによって、ここに座って」

 僕はおそるおそるマチルダさんに近づき、近くの椅子に座り、目を見て話す。互いの視線がぶつかる。

 「僕は貴方達を悲しませることはしません。誓います」

 僕は真剣に言葉を紡ぐ。

 「ふふふっ。結婚式みたいね」

 いきなり、彼女の腕が僕の首に巻かれ、彼女の顔が僕に近づき、彼女の唇が僕の頬に触れた。その唇はやがて離れ、すべすべの彼女の頬が僕の頬をかすめ、僕の耳元でマチルダさんが囁く。

 「ありがとう。私からのお礼の気持ちです。ソフィアをよろしくね」

 マチルダさんは、自分の匂いを残して出ていった。残されたライトの魔法の光が煌々と光っていた。


 僕が呆然と立ち尽くしているとソフィアさんが食堂にやってきた。

 「王子、どうしたの?引っ越しするので手伝ってもらえますか」

 「あー、そうですね。分かりました。手伝います。指示してください」

 「じゃ、こちらにきてもらえませんか?」

 ソフィアさんが近づいてきて僕の手を握る。一瞬のことで固まる。

 「こっちです。私のお部屋。でも、なんかおかしいなぁ。王子からお母さんの匂いがする。王子、お母さんとなにか、あった?」

 「いえ、何もありません。先ほどクリーンの魔法をつかったので、マチルダさんの匂いが床に落ちているのかもしれません」

 「フーン、どうでもいいけど。じゃ、お手伝いお願いします」

 と手を引かれて、彼女の部屋へ。

 『この距離感は親譲りか』

 二階は四部屋あるとのこと。オルフェス先生夫婦の部屋。ソフィアさん、アンナさん、ゲスト用。階段を上って、すぐの部屋のドアが開いていた。そこが、ソフィアさんの部屋だ。ベッドと机、椅子。ドレッサーとクローゼット。魔法の本がある本棚と杖?が保管されている別の棚。床には高級そうな絨毯。

 「綺麗にされているのですね」

 「住んでいると物がいつの間にか増えていて、昨晩、整理するのに時間がかかったわ」

 「大変でしたね。では、仕舞いますね。インベントリ」

 一瞬で部屋のものがなくなる。

 「掃除しますね。クリーン」

 部屋が淡く光って、ところどころにあった傷んだ箇所も修復され、新築のようだ。

 「お父さんが王子のやることなすこと驚くなと言ったけど、慣れないな」


 離れにソフィアさんと戻り、ソフィアさんの新しい部屋にきた。ベッド以外何もない。ベッドをまず、インベントリにしまって、

 「インベントリ。それから、クリーン」

 綺麗になった部屋にソフィアさんの指示通り、ベッド、ドレッサー、クローゼット等すべてのものを設置した。配置のやり直しの時間もあり、1時間程度で引っ越しが終わった。

 「王子がいると便利ね。これだけでも新しい事業が出来るかも」

 これはソフィアさんからのおほめの言葉かもしれない。

 「今日からここが私の家になったわ。よろしくね、王子」

 ソフィアさんはマチルダさん譲りの可愛い笑顔を僕に向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。