↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/88

第42話 土魔法でレンガを作る

 アンナさんが居なくなり、離れの玄関に一人たたずんでいる。

 アンナさんが向かった母屋であるオルフェス先生一家の住居を見ていても、アンナさんが戻って来る可能性は低そうだ。というか、0%ですよね。

 仕方なしに目に入る木々を見ていたら、未使用の属性である土魔法はどんな魔法なのか知りたくなった。


 土魔法と言えば、土を掘り起こしたり、それで壁を作ったりする事を考えてしまう。しかし、アースの語感からは何かを作るイメージはなく、土そのものの本質を探るように思えた。そう、土を鑑定するような感じだ。

 そう言えば、ファイアは魔素を圧縮して燃やす、ウォーターは空気中の魔素の凝縮と同時に水成分を集める、ウインドは空気を揺らす事で効果を作っている。

 それから類推すると、アースの呪文で土を作るという事は、空気中の土の素を集めて土の形にするという至極曖昧な事を実行する必要があり、土の素というのが何なのかが分からないと実現出来ないような気がしている。

 土の素というイメージできないものを考えるより、見方を変えて、アースは目的にあった土成分を集めたり、解析するものでは無いかと考えなおしてみた。


 離れの玄関でしゃがみ込み、掌を土に当てる。魔力の膜を自身の1m四方に広げて、アースを唱える。

 「アース」

 何ら変化しない。

 しかし、魔力を広げたあたりの土の成分とか水分量とかが頭の中に入ってきた。という事はアースの次に何かの動作を繋げたら何かが起こるという事か。


 「アース・揺れろ」

 一瞬、1m四方が揺れ、転びかける。

 『成功だ』

 嬉しい。

 転びかけたが嬉しい。気分が高揚してくる。

 そうか、そうなんだ。

 僕が省略しているけど、魔法の授業で唱えていた、〝天地の理に沿って〟という導入句はこういう制限がある事を知って唱えなさいという事なのか。

 なるほどな。その意味がわからず、魔力だけ放出しても、魔素を使って魔力が何にどう関与するかをイメージできなければ、魔法にならないという事か。魔法について少し分かった気がした。


 この考えを実証するためには、まず、土魔法で何かを作ろう。

 土魔法といえば、定番はレンガだ。いきなり、陶器を作るのはレベル高いと思われ、単純な形と簡易なつくり方を考えるとレンガだろう。それに、レンガがあれば、ちょっとした建物が作れる。これは便利に違いない。


 「アース・粘土を集めろ」

 粘土が集まる。集まった粘土に、

 「アース・レンガ状に並べろ」

 よくあるレンガの形が10個出来た。

 「ウインド・ウォーム」


 何回か風魔法を使って、温かい風を作り、粘土のレンガを乾かすと、乾いた日干しレンガが出来た。この日干しレンガを使って、最終的に焼成レンガを作ろうと思った。最終的には、日干しレンガの窯では耐久性に問題があるため、これを焼成レンガにし、それで窯を作り、窯で陶器を作ってみたい。この窯で、皿とかカップとかを商品化したら学院の副収入になるのではと提案してみたい。

 しゃがんで掌をつけて土魔法で確認すると、この辺りには粘土がもうなさそうである。粘土を探すために、別の場所へ移動する必要があるようだ。インベントリに出来た日干しレンガをしまう。

 そう言った事を繰り返し、100個の日干しレンガが出来た。


 オルフェス先生に窯の設置場所は確認するとして、まずは、焼成レンガを作る必要がある。

 魔法で日干しレンガから焼成レンガが出来そうな気がしている。

 日干しレンガをひとつインベントリから取り出し、地面に置く。

 そのレンガ全体を魔力で覆い、ファイアで焼いてみる。タイマーは心拍数を使って秒タイマーを作る。

 「ファイア・10秒連続・停止」

 この時、出来るだけ魔素を圧縮して高温にした。


 しばらくして、あたりの熱を風魔法で追い払い、日干しレンガを見ると、赤い焼成レンガに変化していた。

 しかし、よく見るとレンガにひびが入ってしまっている。急激な温度変化に粘土がついていけなかったのだ。

 火加減が難しそうだ。

 もうひとつ取りだし、今度は、ゆっくり加熱し、ゆっくりと熱を下げるようなイメージで、ある頂点温度になるまで加熱し、それからはゆっくりファイアからプチファイアになるように、

 「ファイア・連続・土が赤く光ったら・プチファイア5秒・停止」

 と、まるで魔力のプログラミングだ。

 見ると、綺麗な赤い焼成レンガが出来ていた。まだ温かく拳を握って軽くたたくとコンコンと乾いた音がした。

 『成功だ』


 複雑な魔法を使うためには、複雑な呪文で制御を指定しないといけないし、そのイメージをつくるための詠唱に時間がかかる。

 ただそれに対する解決策も考える。

 呪文の作り方はプログラム構文に似ているので、あらかじめ予約語を作成して、様々な表現を単純化していくと詠唱は短くなってきそうである。これは今後の課題としよう。

 MPを確認すると、まだ余裕がある。

 このMPの残量だと、魔力枯渇を心配せず日干しレンガを焼成レンガにすべて出来そうである。このまま地面に置いただけでは、熱損失が大きいから、穴を掘って、そこに日干しレンガを並べて焼成レンガをつくることにした。


 「アース・50cm×50cm×50cmの穴を掘り、穴の土は1m後ろに積め」

 

 穴が開き、土が後ろに盛られる。レンガの間に敷く木の枝を近くの林から拾ってくる。出来た穴に日干レンガをインベントリから取り出して、拾ってきた木の枝で隙間を作って、残りを並べる。次に、先ほど成功した呪文を唱える。

 「ファイア・連続・土が赤く光ったら・プチファイア5秒・停止」


 魔力が覆うまで少し時間がかかったが、魔法は成功したようだ。

 インベントリに保存するにも、熱を冷ます必要がある。

 「ウインド・ウォーム・低・3分間・ウインド・コールド・低・5分間・停止」

 僕の心拍を使ったタイマー処理を利用する呪文を唱える。


 ゆっくり穴の中が燃え、その後、温かい風が吹いて、それが徐々に冷たい風に変わり、やがて、風が治まる。

 赤いレンガが穴の中に見える。思わず、手で触ってみると、熱がとれたレンガが出来ていた。

 これでインベントリにしまえる。


 「インベントリ」

 ひび割れたものは棄てて、99個のレンガがインベントリに保管された。

 土魔法も使うことが出来た。一安心である。オルフェス先生への報告も出来る。

 僕の気分は高揚した。


 土魔法の次の課題は魔道具の修復である。魔法銀はどこにあるのだ。困ったときの魔法エンサイクロペディアに聞いてみる。


 〝特定の鉱山か遺跡にある。偶にダンジョンから入手出来る〟

 ということだ。

 結果はわかっていたけど、今ではいかんともしがたい。マチルダさんの実験室にあることを期待しよう。さらに、魔法インクの代替はないのか、聞いてみた。

 〝魔力を帯びた血で代用出来る〟

 と言ってきた。


 また、自分の血を使うのか。

 貧血、魔力切れ、どちらかで意識を失う未来が見える。

 しかし、出来るのならやってみたい。

 いや、でも……。

 考えながら、離れの自分の部屋に戻ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。