第39話 風魔法は合わせ技で
ガラスの無い窓から日の光が漏れてきて僕は目が覚めた。
部屋が水浸しになっており、僕の服も濡れていて気持ちが悪い。
テーブルの上に、鷹の彫刻はなかった。インベントリを覗くと、ちゃんと入っている。倒れる間際に放り込んだらしい。自分のことながら、よくやったと思う。
クリーンの魔法を使うが、濡れた服までは乾かすことは出来ないようだ。
乾かすにはドライヤーか?
温めるのと冷やすのは出来るが、風魔法はまだ使っていなかった。ウインド、出来るかなぁ。風が噴き出すのか。風が流れるイメージが湧かない。
魔力の膜で魔素を覆って爆発させると、風はあらゆる方向へ流れていくような気がする。風の届く範囲まで魔力で50cm四方で覆って爆発させたらどうだろう。
そのイメージで、
「ウインド」
と唱え、右掌を前に向ける。
窓から外へ勢いよく風が噴き出した。窓枠がガタガタ揺れて、先にある大きな木に当たって木が揺れ、軽い衝撃音の後、木の葉が落ちた。
「やり過ぎた」
制限しているつもりだが、発動しないイメージが強くて最初の魔法はどうしても強めに出る。なんとなく加減もわかった。
今度は、発動座標を顔の50cm前に指定して、顔に向けて
「ウインド」
そよ風が顔に吹いた。
後ろから吹かせたらどうかなぁ。
「ウインド」
そよ風が後ろから当たる。
楽しい。
それから、頭の上、左右、足元から上に、色んな方向からウインドの魔法を使ってみた。すべて上手くいった。楽しい。
次はドライヤーだ。
今度は、暖かい風を吹かせたいので、熱源を作ってそれに風を当てる感じか?
目の前の50cmくらいで顔に風が吹き出す感じで、
「ウインド・ウォーム」
暖かい風が来た。
やった成功だと喜んでいると急に風が熱くなった。
やばい、失敗だ。
慌ててしゃがみこんで風をよける。
手を頭の上にあげ、熱風が無い事を確認すると、立ち上がる。
もう一度やろう。
熱源の火魔法はもう少し温度を下げてと、
「ウインド・ウォーム・低」
ほんのり暖かい風が数秒吹いた。
上手くいった。
次は冷風である。
極冷えの危険を避けて、さっきの氷を少しだけ作り、それに風を吹き付けるイメージで
「ウインド・コールド・ウォーター・低」
冷たい柔らかな風が顔に吹き付ける。
気持ちが良い。
色んな方向からやってみた。
楽しい、やばい、昨夜と同じ感覚になり、気分的に高揚してきた。
服を乾かしてみよう。
クリーンに暖かい風を組み合わせて
「クリーン・ウインド・ウォーム・低」
体全体が洗われる感じになり、そのあとを暖かい風で乾かされている。
最高に気持ち良い。
服に触ってみると乾いている。
成功だ。
部屋全体の湿った感じもこれで、なんとかなるか?
部屋全体に
「クリーン・ウインド・ウォーム・低」
濡れた床が乾いて、それ以上に部屋全体が見違えるようにピカピカしている。
薄暗い部屋がなんとなく明るく感じた。
やばい、楽しい。
底抜けに楽しい気分がしてきた。
まだ、魔法を使いたい。
でも、このままでは、昨夜のように魔力枯渇で倒れてしまう。
いや、楽しければいいじゃないか?
次はどうしようかなぁ、考えていると、
「王子様、ごはんですよ」
ミーナさんのごはんの呼び出しに救われた。




