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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第38話 氷ができた

 夕食後は離れに戻り、魔道具修復のために魔法ペンと魔法インクをどう作るか?を考えていた。魔法インクは魔法銀を入手する必要があるが、これをどう入手するか分からないので、明日にでもマチルダさんに聞いて見よう。

 今のままではどうしようもない。ペンに関してはある程度構想が出来た。

 綿を固く円筒形にし、外周をコーティングして、インクが漏れないようにする。その先に万年筆のように金属ペン先を装着する。

 書く時は、魔力をこめながら書く事でインクに魔力を混ぜ込む事が出来る、という工夫である。

 しかし、コーティング処理はどうやれば良いんだろう。

 日本であればビニールの接着剤を使って固めるので簡単に出来そうだが、インクを含ませる綿の棒状の表面だけを固くするのは魔法で出来るのか?

 綿自体は固体だから土魔法で出来そうだが、そもそも、綿は土か?

 固めるには必要なものは熱だから、火を使って風で乾かすか?

 そうか、魔力で液体がこぼれないように包むのはどうだ?

 でもそれだとペンが、ボディが柔らか過ぎて握れない。

 困った。

 行き詰まった。

 考えあぐねてたどり着いたのが氷である。

 正確に言うと氷のグラスだ。氷のグラスは氷に穴を開けて飲みモノを入れて冷えた状態で飲む。同じ液体なのに相の違いで器を作っている。

 だから、インクを保持する綿自体を固くするので無く、綿から染み出したインクの水分を固めて、中のインクは液体として保持する方法である。

 冷やせば器になる。だが、手に持ったままだと熱で溶けてしまい、インクが最終的に漏れだすことが容易に想像出来る。その前に、冷たさで長時間の使用は難しいだろう。

 では、冷やさずに固められないか。

 水分子同士が引き付けあうような力を与えたらどうなるのか?

 そうすれば水の塊が出来るに違いない。そして、その力が強くなればなるほど固体化する。だとしたら、水の表面に薄い魔力の膜を数ミリの袋状にして魔素によって強い圧縮をかけるとどうだろう。

 水という液体が常温で固体化するのではないか?

 まず、水魔法の水をバケツに溜める。

 「ウォーター」

 水が出来たので、

 「プレ・スウォーター」

 と呟く。

 凄い発熱があり、水蒸気が立ち上る。数秒、あっけにとられていると、氷の膜が張っていた。

 失敗である。

 圧縮すれば発熱する。当たり前だ。蒸発した分だけ気化熱を奪われて、残りが凍る。常温で固めるどころか、正反対の結果になった。

 物理法則はこの世界でも変わらない。


 反省した。

 何でも魔法で解決しようとするのは間違いだと言うことだ。ペンはオーソドックスに、羽ペンか竹ペンを作ろう。

 ペン作成に課題が見えたと同時に、実験のときに出来た氷を今度は意識して作ってみる。


 3×3×3cmのキューブの魔力の膜を作って、そこに水魔法で魔力水を注入し、一挙に圧縮する。

 「プレス・ウォーター」

 一瞬水蒸気が出て、キューブの氷が出来た。

 面白い。

 今度は、直径3cmの丸い氷。

 星型の氷。

 ハート型の氷。

 自由自在である。

 面白い。

 「プレス・ウォーター」

 どんどん作る。なんか、止まらない。

 段々、気分が悪くなってきた。魔力枯渇が近い。

 やばい、最後にしようと、鷹が羽を広げた氷細工のイメージで魔力の枠を作って魔力水を注入し、一挙に圧縮。

 「プレス・ウォーター」

 凄い水蒸気とともに綺麗な氷の彫刻がテーブルの上に出来た。綺麗だと思いながら、意識が遠のいていく。

 『魔力切れか?』

 我ながらやり過ぎを後悔する。

 そのまま、深い眠りについた。

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