第25話 魔法学院
玄関に用意された馬車で学院まで送ってもらうことになった。馬車の中で学院生活のレクチャーがあり、シラバスの説明があった。揺れる馬車は高級住宅街を離れ、商業区へと下っていく。学院は、住宅街に近い商業区の外れ、墓地の隣にあった。
馬車から降りて、送ってきてもらったお礼を御者に言い、見送っていると、
「土地が安いのですよ。学院を営んでいますが、死者の弔いも生業として行っております。やはり、そんな学院の卒業生は普通に働いている人から見ると怪しさ満点ですよね」
自嘲気味にオルフェス先生が話す。なんて答えて良いか分からず、生返事をする。
「えー、まぁー、そうなのですか?」
門に着き、守衛に挨拶して中に入る。
「カズン、新入生だ。これからよろしく頼む」
「ハイ、先生。分かりました」
「カズンさんですか?ラインハルトです、よろしくお願いします」
「おう、よろしくな」
とあいさつする顔を見ると冒険者っぽい。
「国を出て以来、代々付き添ってくれている家族なのです。ありがたいことです」
学院へ続く道をゆっくり歩きながら、オルフェス先生に学院を見える範囲で簡単に説明して貰う。
「正面に見える3階建ての建物が学舎です。左にあるのが居住棟です。私ども一族、教員もそこに住んでいます。学舎の右横にあるのが研究棟です。ささやかですが、温室もあり、魔法植物も栽培しています。研究棟の横に攻撃魔法の訓練所がありますが、魔法と言うよりは武術訓練所という感じです。さらにその横の墓地に隣接しているところに弔い所があります。これが学院の簡単な配置の説明になります。
次に、日々の暮らしですが、先程申し上げた月1000Gの費用は寮費となります。授業料は特待生扱いになりますので不要です。貴方には学院の顔として魔術師のイメージ向上に努めていただこうと考えています。ただし、生活費用はご自身の負担となります。仕事が必要であれば学院で斡旋いたします。ギルドより負担が少ないのでご利用ください。
また、ラインハルトさんの学院での所属ですが、学生でなく聴講生として学院に所属して貰おうと思います。現在の魔法レベルでは基礎魔法とか基礎学力とかは退屈かと思いますし、新入生が入ったばかりでレベルの違う貴方が入ると落ち着いてきたクラスが混乱するはずです。まず、好きな授業を受けてもらって結構です。その中で自分にあった授業をお取り下さい。
ただし、あまり自由に動きすぎて、学院の評判を下げる行為を行った場合には退学とさせて頂きます。私からは以上です。何かご質問はありますか?」
「いえ、特に思いつきません」
「そうですか、では、居住棟に行きましょう」
オルフェス先生に従う。
「帰ったぞ」
玄関の扉を開けて入ると
「はーい」
と大きな声がした。
「旦那様、お帰りなさいませ」
と、いかにもメイドらしい小太りの中年女性が現れた。
「ミーナ、妻と娘はいるか?」
「生憎、奥様もお嬢様も授業中でございます」
「うん、そうか、紹介は夕食のときにするか。ミーナ、こちらはラインハルトさんだ。聴講生として学院で勉強される。離れに案内してほしい。私は学院に行ってラインハルトさんの入学手続きをやってくる。ラインハルトさん、あとはミーナが面倒みますので、食事が出来るまで、くつろいでください」
「あのー、時間を過ごすにあたり、何か魔法の本は無いのでしょうか?なんでも良いんです」
「うーん、知識に貪欲ですね。いきなり入学前の学院の図書室というのもおかしいので我が家の書庫を覗いてみてください。興味がある本があれば持って行って問題ありません。ミーナ、ラインハルトさんを書庫に寄ってから、離れに案内してくれ。ラインハルトさん、ごゆっくり」
そう言うと、オルフェス先生は出て行った。




