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異世界の魔法をプログラムする~日本生まれの異世界の王子は培ったプログラミング技術で魔法国家を建設する~  作者: 霧里 野蒜


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第22話 デバッグ解析

 「ヒロシさん、ヒロシさん、探しましたよ。起きてください。こんなとこで寝てちゃだめですよ」

 体を強く揺り動かされる。

 薄く目を開けると、ケビンである。


 「旦那様がお呼びです。一緒についてきてください」

 「分かった」

 「立てますか?」

 と言いながら無理やり僕を立ち上がらせる。

 「宿にもいないでどこに行っていたんですか?」

 少々、きつめに言われてしまった。横を見ると魔道具が四つ並んでいて、その先に実験していたものがあった。

 「待って!ちょっとその石盤を拾っていくから」

 と言って、魔道具を集める。

 遠くに放り出された一枚をつかむとこの魔道具の不具合原因が分かった。

 プログラムが暴走した時に出来るコアダンプを解析しているようなものか?解析ツールはなくても、自身の体が状況を記憶していた。


 この魔道具は、魔力の貯蔵回路が壊れ、穴が開いている。実験中は、僕の魔力が供給されても漏れ続けていたが、わずかに届いた魔力で魔道具の火が発動しそうになっていた。しかし、その間も僕の魔力は過剰に吸い続けられ、魔力がなくなり意識を失った。体を維持することが出来ず、倒れることで、魔道具から手が離れて結果的に魔力を吸われることがなくなり僕自身は回復出来たのだ。

 もし、ずーっとそのまま魔力が吸われつづけたら、死んでいた可能性もあった。

 危ない、あぶない。


 もうひとつ分かったことがある。この魔道具の構成が分かったのだ。僕の魔力の残滓から魔力の通り道をトレースすることで制御の方法が確認出来たからだ。

 多分、こうだ。

 中心の円が魔石から魔力を吸い出す箇所で、それが、最初の赤い星につながる。今回はこの星の線がよく見ると一部欠けており、そのため、漏れ出す魔力のせいで魔力が十分に貯蔵出来ない状態となった。

 そして、その星から未だ処理の分からない星を経由して、三か所の星と外周の円につながる。魔素を集める星と魔素と魔力を混合し、圧縮させる星、それと僕がスターターと呼ぶことにした火魔法を爆発させる星。さらに、外周の円である。外周の円は魔素が拡散しないように魔力の覆いを作る。集められた魔素は次の星で圧縮され、中心部に噴き出すようになっている。その状態で火魔法が発動し、炎が安定して出力されることになる。ファイアの魔法とほぼ同じ考えだ。

 線に書かれている文字は呪文のようで、僕がイメージしている内容を言葉としていると思われる。現在の知識では頭の中のイメージをこの呪文へ変換する方法は分からない。


 さらに残念なことは、この魔道具の修正箇所は判明したのだけど今は直せないことだ。実際に魔力を閉じ込める線をどういった材料でどう描くか皆目見当がつかないからだ。

 しかし、大きな進歩があったのも事実。

 命の危険はあるにしても魔道具の解析が出来たからだ。

 どのくらい時間がかかるか分からないが、元の世界へ転移をする魔道具を見つけられれば、壊れていても解析することにより修復することが出来る。また、修復出来なくても、新たに作成することで元の世界へ戻れる可能性がでてきたことを意味する。それを見つけるためには、この世界で埋もれた多くの魔道具を探し出し、解析する必要がある。もしも、僕の母親が使った魔法陣が入手出来れば一挙にその期待が高まる。

 ワクワクしてきた。

 

 ケビンに追い立てられるようにして、エミリアさんに挨拶してギルドを出る。レバークレーゼン商会にある魔道具を見せてもらえないか、頼んでみよう。ギルドの外には喧騒があった。

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