第17話 魔法ぶっく
フロントには気の良さそうな男の人がいた。
「すみません。ヒロシといいますが、予約は入っていますか?」
「ヒロシさん?その変わった恰好はレバークレーゼン商会から予約済みのお客さんかな。ともかく、身分証を見せてもらえますか?」
出来たばかりのギルドカードを見せる。
「間違いないですね。お話は聞いております。こちらがお部屋の鍵となります。そこの階段を2階に上がって、廊下の奥、突き当たりの部屋になります。食事、まだでしたら簡単ですが夕食が出ます。暗いのでこのランプをお持ち下さい。その他に何か、ご質問ありますか?では、ごゆっくり」
事務的にランプと鍵を渡され、階段を上る。
廊下には月明かりしかなく薄暗い。ランプの灯りを頼りに手探りのように廊下の端まで行くと目的の部屋があった。扉の引き手の近くに鍵穴を見つけ、鍵を差し込む。ひねるとカチャと音がして開いた。押して入る。
ランプの灯りで部屋を確認すると八畳くらいの広さで端に大きめのベッドがある。チープな机と椅子があり、本当に寝るだけの部屋のようだ。机にランプを置いてベッドに腰掛ける。
「どうしようか?」
呟いたものの何も考えが浮かばない。よく考えるとインベントリのパン以外食べていない。急にお腹が空いてきた。
「食べよう」
フロントに降りて先程の気の良さそうな男に食事をお願いする。
食堂に案内され、ランプをテーブルに置くと、すぐに料理が運ばれてきた。大きな皿に、何の肉かわからないステーキと青ものの付け合わせ、それに小さなパンとスープ。これで、全部だ。
鑑定を使う。これは牛とブロッコリーらしい。
ナイフとフォークで塩味だけのステーキを口に運ぶ。味付けはシンプルだが、お腹が減っているせいか、美味しく食べられた。
『長く住むなら、もう少し凝った味付けが欲しいなぁ』
漠然と考える。
「ご馳走さま」
誰も聞くことの無い言葉を呟いて部屋に戻った。ベッドに腰掛けてランプの灯りのみの部屋でこれからの事を考える。一人になると不安ばかりで泣きそうになる。でも、前を向いていこう。小さな決意。まず、気分転換に服を替えよう。そうだ、明日は服を買おう。何をやろうか?次は、今日見つけたものの解析だなぁ。
「ステータス」
NAME:ラインハルト・フォン・グリム
AGE:29
職業:ロードLv1
称号:この世界を継ぐもの
状態:◎健康
EXP:0/100
HP:450/450 MP:520/520
STR:45 DEX:74 AGI:52 INT:72 VIT:35 LUK:72
武器:なし
防具:なし
アクセサリ:なし
魔法:光魔法Lv3、火魔法Lv0、風魔法Lv0、水魔法Lv0、土魔法Lv0
スキル:言語理解Lv1、鑑定Lv1、インベントリLv1
インベントリ:100万G、パン(99)、水(100)、アレクサンドライト、紐を通した紙、石の円盤(5)
MPが回復している。
あっ、アレクサンドライトとゴミの山で拾った紐を通した紙が光ってる。取り出そうとしたら、暗い部屋のなかで自分の体が一瞬輝く。光が落ち着くと表紙に魔法ぶっくと表示された。
その下には数行空けて、文字が続く。




