第16話 ごみの山から
ギルドの裏にくると夕陽の下、野ざらしになったこんもりした山があった。壊れた椅子や机、食器や鍋。時に草花が咲いているモノもある。確かにゴミである。
僕はやってみたいことがあった。スキルにあった鑑定を使う事である。ケビンとかセバスさんとかに使ってみたが、なんの反応も無かった。しかし、ギルドのカウンターの後ろの地図とかプレートを見ていたら、街の様子とかプレートに書かれているその人の顔とか浮かび上がってきて、不思議な気持ちになっていた。もしかしたら、物には鑑定が使えるんじゃないかって。酒場のエールのジョッキや料理を見ていたら、成分が分かった。
だから、このゴミの山からも何かを見つけられるような気がした。
ゴミの山を漠然と眺めていると頭に何か浮かんできた。本らしい。ゴミの山に斜めに埋もれた机の引き出しの中のようだ。
ゴミの山を登り、目的の机を見つけ、引き出しを力いっぱいに引く。ガタガタ動く引き出しの中からボロボロになった本のようなものが出て来た。表紙も無く無造作に紙に紐を通してある。黴臭くインクも薄くて文字なのかも判別出来ない。
本が欲しいと思ったからこれが見つかったんだろう。とりあえず、良しとしよう。本をインベントリに放り込んで、慎重にゴミの山を降りて行く。
山を降り、同じ位置に立つ。今度は本でなく、魔法を思い浮かべてゴミの山を眺める。
すると、すぐ手前の、ゴミの隙間の奥に転がっている石の円盤が光っている。
腹ばいになって引きずりだす。色んなゴミがついている。5枚あった。こすっていくと、古臭い黄ばんだ匂いが鼻をつく。見るとRPGで見た魔法陣のようだ。でも、ところどころ線が切れている。じっと見ていると頭の中がモヤモヤしてくる。何かありそうだ。これもインベントリに放り込む。
また、同じ位置に立って武器をイメージする。反応がない。次に防具のイメージをする。やはり反応がない。イメージも湧かず、薄暗くなってきたので、ギルドに戻る事にした。中では、ケビンが見知らぬ誰かと陽気に騒いでいた。エミリアさんに近づいて戻ったことを告げる。
「ゴミばかりで何もなかったでしょう?」
「えー、はい。特に何もなかったです。でもありがとうございました」
誤魔化した。でも、お礼は言う。
『気づかれたかな』
ケビンの元に行く。
「ケビン、ギルドカードも受け取ったから宿に行きたいんだけど」
「あー、ヒロシさん、何処に行ってたんだよ。探したよ。見つかんないんでうろうろしてたら、昔の友達見つけて、こいつが積もる話をしたいからってさ。
ガッハッハ。
一緒に飲もうよ。
えー、帰りたい?
夜は今からだよ。
これから楽しいことがいっぱいあんだよね。
えー、しつこい。じゃ、一人で行ってくんないかなぁ。この道の向かいにある〝雲雀の気持ち〟っていう宿だよ。もう話はついているからギルドカードを見せれば泊まれるから。コイツが飲もうとうるさいから悪いんだぜ。俺のせいじゃないよな、分かるだろう。ガッハッハ」
このままじゃ、酔っ払いの世話をする羽目になりそうなので、一人で宿に向かうことにした。よくある異世界小説ではこのあたりで誰かに絡まれるのだが、そういったイベントもなく、宿に到着した。




