第15話 Fランク
「呼ばれているので、カウンターに行ってきます」
ケビンに断って、カウンターに向かう。
「ヒロシです。ギルドカードを受け取りにきました」
エミリアさんに話しかける。
「はい、これよ。これが、Fランクのギルドカード。無くさないでね。再発行には不正確認があって簡単には発行出来なくなるし、場合によっては不正使用で犯罪歴に残るようになるのよ。また、高額な発行費用が必要になるわ。今回の発行費用は、レバークレーゼンさんに請求するから問題ないけどね。
名前とか読める?
ほら、ここに書いてあるのだけど」
と、言ってカードを渡される。カードを見るとどこで撮られたのか、顔写真が貼ってある。その横に大きくFの文字。その下に名前 ヒロシ。その下に職業 魔法使いと書いてある。住所がその下に書いてあれば、運転免許証みたいだ。
エミリアさんが続ける。
「一言余計な事を言うと、作られたばかりのカードではこの国の住民の証明にならない。何かギルドの依頼を受けたという実績がないとね。偽造したと思われてもしょうがないのよ」
「ご忠告ありがとうございます。では、できるだけ早く依頼を受けたいのですが、今からでも問題ありませんか?」
「うーん、夜が近いから今からはやめた方がいいわね。王都付近は安全だけど、依頼を達成する場所まではかなりの距離があるし、夜が更けてくると魔物だけで無く、悪い輩がでてくるし、初心者がいくには危険過ぎるのよ。明日の朝、出直した方が良いわ」
ちょっと考えたが、
「分かりました、そうします」
と、素直に忠告を受ける。
「質問良いですか?」
「良いわよ」
「魔法に関する本とか資料とか何処で手に入りますか?」
「魔法を使える人は少ないの。だから、学校に行くか、使える人から教えてもらうしか無いわ。どちらもかなりの費用が必要だからお金がないと無理ね。このギルドにも魔法が使える冒険者はいるけどみんな引っ張りだこで、忙しいの。でも、魔法は使えたんじゃなかったの?」
「使える事は使えるのですが、見よう見まねでやっていて本当にこれで良いのか不安なんです。これから、魔法学校に通う予定なのですが、少しでも事前に勉強したくって、本当になんでも良いんで、資料かどなたか紹介してもらえませんか?」
「紹介は本当に難しいし、魔法の本なんて見た事もない。もし、貴方がほんとに治癒の魔法が使えるのなら誰もほっとかないわ。国王でも欲しがる人材よ。疑っている訳では無いけど、世間で魔法使いを名乗っているのは、たいてい火とか水を隠し持って、人前で出してみせて、人をだまして物を売る商売人なのよ。ケビンの態度にも出ていたでしょう。半分信じてないし、バカにされているのよ」
だからみんな半信半疑なのだ。
「そこをなんとかなりませんか?」
「うーん、困ったわね。もしかしたらだけど、ギルドの裏にゴミの山があるの。私が受付係になる前からあって誰も見向きもしないけど、その中に、かなり古い絵とか胡散臭そうなものがあるの。魔法に関係ありそうなものといえば、それぐらいね」
「そうですか、一度見て来ていいですか?もし、欲しいものがあったらもらっても良いですか?」
「いいんじゃない、ゴミだもの」
「どこから行けますか?」
「このカウンターの先の扉を開けるとギルドの裏に出るわ。出たら大きなゴミの山があるからすぐわかるわよ」
「分かりました」
と、言いながら駆け出す。
「期待したって無駄よ。ゴミなんだからね」




