第14話 冒険者登録
広場の噴水を回り込むように行くと、RPGで定番の剣と盾の看板が見えてきた。
『思ったより小さいなぁ』
と、思っていたら、ケビンはその前を通り過ぎて、役所のような門構えのある建物に入っていく。
扉を開けると大きな広間があり、正面にカウンターが並ぶ。また、両横には飲食スペースがあり、くつろいでいる人達もいる。僕はケビンの後をついて右側のカウンターへ。
「この人の冒険者登録をしてくれ」
カウンターの女性へ声をかける。
「ケビン、誰のこと?」
「ヒロシさん、こっちです、こっち」
僕はカウンターの後ろの地図とかぶら下がっている金とか銀の名札のようなモノを見ていた。
「すみません、色んなモノがあって見とれていました」
構わず、ケビンは女性に話しかける。
「エミリア、この方はヒロシさんっていうレバークレーゼンの家のゆかりの方だ。冒険者登録してくれ。冒険者の体格じゃないが、大丈夫だ。魔法の勉強をしていて、かなり凄い魔法を使う。さあ、もう大体分かっただろう。早くFランクの冒険者カードをくれ!」
「ケビン、わかったけど、本人の確認が出来ないとカードは出せないよ。それと、あんた、もう少しこっちへきてよ。話を聞かせてくれないと何も進まないよ。
えーっと、名前はヒロシ?変わった名前ね。
職業は魔法使いと。
手を出して。このオーブに触って!
変化無しで、犯罪歴は無しっと」
ぶつぶつ言いながら彼女は何やらペンで書き込んでいく。
「このあとステータスの確認もあるけど必要?」
『まずい、あれを見られたら』
「いえ、結構です」
「そう、必要無しと。レバークレーゼン家の後ろ盾もあるから保証自体も問題無しと。うーん、こんなもんか。
じゃ、手続きするからちょっと待っていて!」
と確認は終わったようだ。
しばし、待てとの事で、ケビンから声がかかる。
「時間かかりそうだから、喉でも潤そうぜ。エミリア、酒場で待ってるよ。出来たら、呼んでくれ」
と言ってケビンに一方的に酒場へ連れていかれる。
「ローザ、エールを2つ、あと、つまめるモノを何品かくれ。エールはできるだけ早くな。金は旦那からたんまりもらっているから支払いは大丈夫さ」
って、言うなり手近なテーブルを確保して座った。
「おい、アンタも座れよ。飲めない事はないんだろう。話をするには飲むのが一番だよな」
急に変わったぞんざいな態度に僕は呆気に取られている。なんとなく、対面の椅子に座ったら、すぐにエールのジョッキが目の前に置かれた。
「ハイよ」
「おっ、相変わらず早いね」
と言いながら、ぐいっ、ぐいっ、ぐいっと三口で飲み干した。
「ローザ、エールもう一杯。喉が渇いてしょうがないよ」
ケビンが、手持ち無沙汰に僕のエールを見つめる。
「良かったらどうぞ」
僕の目の前のエールを勧める。
「おっ、悪いね」
すかさずジョッキを掴むと、手元に引き付け、先程のように飲み干す。タイミングを計ったかのように次がきた。
「はいよ、エール。相変わらずだね。本当に金はあるのかい?こっちは一口オーク肉のステーキとポテトの付け合わせだよ」
「うるせぇな。あるモノはあるに決まってんだろう、この方は旦那の大事なお客さんなんだよ。たんまりお金を預かっているんだよ」
「でも、それはその人のお金だろう。大丈夫かい?」
「大丈夫に決まっているよ。ヒロシさん大丈夫ですよね?そうですよね。心配することなんかないんだ。どんどん、エール持ってきてくれよ」
なんて言いながら、ケビンは置かれたエールを飲んでつまみをどんどん食っていく。
「ヒロシさんよー、食べねえの?腹すいてんだろう?食わなきゃ元気もでないよ。これでも俺はねー、あのカウンターの後ろのボードに銀プレートがかけられていたんだよ。でもね、悪い奴がいてね、俺を騙しやがって犯罪者にしちまった。旦那様に助けられなきゃ、俺は縛り首になるとこだったんだよ」
いきなり重たい話がでてきた。
「へー、そんなことがあったんですか?大変でしたね。ところで、貴方のギルドでのランクは今どうなっているんですか?私のFランクでは何が出来ますか?」
「俺のギルドランクは今はないよ。犯罪者になったんでとられちゃったんだよ。それに、Fランクは冒険者の仕事は出来ないね。子供の使いくらいだろう。詳しいことはエミリアに聞きな。俺はFランクはやっていないし、最初からEランクの超有望冒険者だったんだ。がははっは」
酒が口を軽くするのか、ケビンはますます饒舌になる。すごい人なのか、ダメ人間なのか、よくわからない。
ともあれ、カウンターから声がかかる。
「ヒロシ様、ギルドカードが出来ました。説明をしますので、おいでください」




