第13話 冒険者ギルドへ行こう
「失礼します」
セバスさんが顎髭をたっぷり蓄えた筋骨たくましい男と一緒に入ってきた。
「ヒロシ様、こちらが当家専属の警護を担当しているケビンです。彼は旦那様の護衛で、お嬢様の旅には同行出来ませんでしたが、元冒険者なので、ギルドの事は私より詳しいです。あと、冒険者ギルドの受付は休む事なくやっておりますので、今からでも時間は大丈夫です。ケビンが同行するので分からない事があればなんでも聞いてください」
「ケビンだ、あー、分からない事があれば聞いてくれ」
厳つい顔を精一杯歪めている。
笑っているつもりらしい。
好感が持てる。
「それと本日の宿ですが、ケビンがご案内します。支払いは済んでおります。何か必要な事があれば冒険者ギルドで連絡頂ければ対応しますのでなんなりと申し付けください。また、学校ですが、手続きが数日かかるようです。こちらも準備出来次第、宿に連絡させていただきます。じゃ、ケビン。ご案内を任せたよ」
と、次の行動を促される。
別れ際に、
「ヒロシ様、今回の件、誠にありがとうございました。お嬢様もご挨拶する予定でしたが、旦那様から行動を控えるよう言われており、都合がつきませんでした。お嬢様も貴方様にご協力を惜しまれないと言われておりました事をお伝えします。お嬢様に代わりまして、改めてお礼申し上げます」
重ねてお礼と同時に頭を下げられる。こちらが助けられているのだが恐縮してしまう。返す言葉も無く僕は頷くだけだ。
「じゃ、行こうか?ついて来てくれ」
ケビンがぶっきらぼうに話しかける。
「分かった。行こう」
反射的に答えた。
「セバスさん、色々ありがとうございました」
と言って、僕等は屋敷を後にした。
出口は大きな門では無く簡素な裏口である。裏口の守衛にケビンが声をかける。
「冒険者ギルドまで行ってくる」
静かに裏門が開いて、僕は王都を歩き出した。
この国の仕組みがわからないまま流される。郷に入っては郷に従え的な感じ。キョロキョロしながら逸れないようにケビンの後を追う。屋敷のある緑豊かな一角から、坂を下るように歩いていく。やがて木々に代わって家々が立ち並び、騒々しさが溢れてきた。
ケビンに声をかける。
「この国では一日いくらぐらいで生活出来る?」
「30G。1日3食だ」
「へー、暦とかあるの?」
「暦ってのはなんだ?
年の始まりのことかー、
年の始まりはいつも祭りがあって、それがあるとみんな歳をひとつとることになっている。それから、小麦を植えて、色んな花が咲いて、小麦を収穫して、それから雪が降る。雪が溶け出して、祭りがあるのさ。そうしたら、また、歳をとる」
要領を得ない。
「今はどのあたり?」
「祭りが終わって、花が咲き始める前だ。偶に腹を空かせた魔物が出る。ある意味一番厄介な時期さ」
そうか、それでオークが出たのか。
一日は何時間?とか聞きそうになってやめた。とても時間の概念があるように見えない。
そうしているうちにどこからか鐘の音が聞こえてきた。
「あー、もうすぐ日が暮れる。ギルドも混みそうだから急ぐぞ」
小走りくらいの速度で緩い坂道を降りていく。街並みが続いて、大きく開けた広場が見える。大きな噴水が勢いよく水を噴き上げている。
もうすぐだ。




