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超獣戯画Ⅱ ~『白鹿と霧の町の闇』原版~  作者: 纏笛


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第87話 病室

 マリウスが起き上がるとそこは病室で周りにたくさんの人がいた。

「起きたな。先生を連れてきてくれ」

 デルアートがミコトに言う。ミコトはすぐ立ち上がると部屋を出て行った。

「気分はどうだ。大丈夫か?」

 マリウスはうっすらとある記憶を辿る。最後はファンネルの子供をデルアートに頼んだ所だった。

「町長、ネルクは? あの子はどこにいる?」

 デルアートは頷いた。

「大丈夫だ。今は役所にいて交代で見張らせてる」

 マリウスはほっと一息ついた。デルアートと達の周りには聖獣隊の面々もいる。

 聖獣隊の面々は聖獣隊を辞めた後マリウスに長らく距離を置かれていて、その理由がようやくわかって安心していた。

「みんな……ごめんな」

 泣き出すマリウスをみんなが慰める。一通り泣き止んだ後、マリウスは聖獣隊の面々のなかにレルベットがいないことに気づく。

「そういえばレルベットさんは?」

 デルアートは頷いた。

「彼なら少し役所で用事を済ませてから行くと言っていたが……」

 

 牧場での戦いが終わった次の日の朝、まだマリウスが目覚める数日ほど前に当たるその日、サラは宿舎でリクに一つ頼み事をしていた。

「リク、私の記憶を見せてくれない?」

 リクは尋ねる。

「自分の記憶が見たいの?」

 サラは頷いた。

「正確な記憶がね、もちろん覚えてはいるんだけど正確ではない……でもあなたなら、あなたは触った相手の正確な記憶を記録できる。そうでしょう?」

 リクは頷いた。

「時の遡りの記憶が見たいんだね」

 サラはうなずく。

「いくつか期間を指定していい?」

 リクは記録の叡智への接続を始めると、サラの記録からいくつか記憶を取り出す。そしてサラと手を繋ぐとサラにいくつか、記憶を見せ始めた。

 いくつか見たところでお目当てのものに巡り合ったようでサラは呟く。

「やっぱりこれだ……この人だけ触り心地が矛盾してる……」

 その後、サラはリクを連れてラビルのいる研究施設を尋ねた。

「これはこれは……今日は何の御用ですか?」

「ここでの研究は続けられるんですか?」

 ラビルは首を振った。

「ここは拠点としては残しますが、もう欲しいデータは手に入りました……残っても王とああなってしまってはね……」

「今日は一つお願いがあってきました」

 ラビルは微笑む。

「聞きましょう」

「ある人の記憶取得の経緯を聞きたいのです。」

「ある人というと?」

 サラはそこから一通り説明を始めた。一通り話を終えると、サラはリクと共にラビルの部屋を後にする。

「どうするの?」

「ずっとわからなかった最後の部分が今日わかった。後は任務を果たすだけ」

 そういうとサラは悲しそうな顔で微笑んだ。のちに、リコという記録師がサラの銀の爪としての強さをグルインに訪ねた時、彼はこう返した。

「あの女の強みは、分析だよ。一度聞いたことがある。どうやって分析をしているのかと、その時あの女はすぐに結論を出さない。それだけを心がけていると言っていた。複雑な原因が絡んでいる物事を解決するときはすぐに結論を下そうとすると、的確な解が返ってえられないんだそうだ。そういう時は他の問題を試しに解いてみたり、いろんな他の情報を手に入れながら頭の片隅にその問題を置いておくと、脳が勝手に解いてくれるとそう言っていた」

 グルインはそう言うと、自分には分からん感覚だと言って首を傾げていた。


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