第86話 戦いの終わり
ラビル達のところでは、レームとロウが激闘を繰り広げていた。
レームはロウの領域に入らないように槍を振るうが、ロウは俊敏にそれを避けるのでなかなか攻撃が当たらない。
だが、その膠着はロウが第二の能力を出したところで変わる。ロウは自身の入れ墨の一部を、気づかれぬように戦いの最中でレームに移す。
すると、レームが次に攻撃してくる場所が刺青を通して伝わって来た。
――この力はこう使うのか……。
はっきりと心の声が聞こえるわけではなく、レームが次に何を狙おうとしているのかの感覚がなんとなくわかるだけだが、それでもロウには充分だった。何回かレームの攻撃をこの能力で避けた後は、一気にロウはレームとの距離を詰めれるようになる。
レームは困惑したが、瞬時に後ろに飛び上がって距離をとった。しかし、一歩遅く、ロウの領域に片足が掛かってしまう。右足だけゆっくりとした動きになり、バランスを取れずにレームは膝から崩れる。
ロウはそれを見逃さずに、一気に角を突き立てに行った。
レームはなんとか槍で受けたが、後ろに弾き飛ばされる。ロウはもう一度追撃のために構える。
レームは、足を引きずりながら立ちあがり、ロウの攻撃を見極めようとする。
しかし、その瞬間鳥が二人の間に入った。そして二人の間を割くように炎を出して二人を遠ざける。
レームとロウが驚いていると、そこにラビルが現れた。
「ありがとうメア」
レームは憤る。
「ちょっとあんたなんのつもりよ」
ラビルは笑う。
「これ以上は少しね……何の意味もない対決で貴重な戦力と研究資源を失うわけには行かない」
ロウも憤る。
「そこを退いてもらえるか」
ラビルは少しため息をつく。
「あなたも随分と安い挑発に乗ったのものです。レームさんはあなたと戦うために過剰なことを言ったまでですよ?」
「お前から相手をしてもいい。どちらかといえばお前の方に恨みがある」
レームは笑った。
「そりゃそうよねぇ」
「もうあなたの用は済んだのではなかったのですか? それともあなたは王としてここで傷を負うか死ぬので満足なのですか?」
ラビルの視線は冷たかった。ロウは苛立った表情をしたが、我に帰ったのか、ぷいと二人に背を向けて歩き出した。
「あらぁ、終わり? せっかく盛り上がってきた所だったのに……」
ロウは返さない。
「ラビルあんた、わかってるんでしょうね?」
レームはギロっとラビルを睨む。
「死ぬ場所を探すのはけっこうですが、ここではないです。もっとふさわしい場所を用意しますよ」
レームは立ち上がる。
「あんたはいけすかないけど、約束は守るからねぇ……その言葉忘れんじゃないよ」
そういうとレームは隊の他の者達を連れてさっていく。ロウ達も、牧場を後にして、最後にはラビルとメアだけが残った。
「助かったよメア」
メアはまた少女に戻っており、ラビルに頭を撫でられて嬉しそうに微笑んだ。




